世界基督教統一神霊協会(通称・統一教会)の信者、後藤徹氏(46歳)は10日、イタリアのトリノ大学内で開催された「新宗教に関する研究センター」(CESNUR)主催の国際会議で脱会説得工作の専門家グループによって12年5カ月の間、拉致監禁された体験を報告した。同会議は9日から11日の3日間の日程でトリノ大学で「Changing Gods. Between Religion and Everyday Life(変遷する神観、宗教と日々の生活の間で)」というテーマで開かれたもので、参加者は宗教学の学者、専門家など約100人。
 後藤氏は10日のセッション「日本でのデプログラミング(強制棄教)」で自身の体験を語った。同氏は1995年(平成7年)9月11日、突如として無理やりワゴン車に押し込まれて拉致されてから、2008年2月、自力で解放されるまで12年5ヶ月間、拉致監禁されて統一教会から脱会するように強要されてきた。
 同会議にオーストリアから参加した宗教活動家ペーター・ツェーラー氏は当方との電話インタビューに答え、「後藤氏の報告を聞いた参加者は一様に『信じられない』といった反応を示し、ショックを隠し切れなかったようだった」と述べた。
 同氏は拉致監禁に関与した家族関係者、日本基督教団関係者を訴えてきたが、東京地検は昨年12月9日、「現代のホロコースト」と呼ばれる同氏の拉致事件を不起訴にした。その点でも欧州の宗教家たちからは「理解できない」といった声が聞かれたという。
 欧州では刑法に違反したり、「信教の自由」を蹂躙した者は家族であっても起訴される。当方はこの欄で「統一教会信者拉致とトルコ人問題」(2009年11月25日)を書いたが、欧州の警察関係者は相手が誰かで対応を変えることは少なくともない。
 統一教会はキリスト教社会の欧州でセクトと受け取られている点で日本と変らないが、同教会信者たちの拉致監禁問題に対する欧州社会の反応は明確に異なっている。「信教の自由」「人権」は普遍的な権利、との認識があるからだ(「日本の『信教の自由』求める署名運動」(09年10月8日)。