国際原子力機関(IAEA)のフィンランド出身オリ・ハイノネン(Olli Heinonen )査察局長(事務次長)が先月31日付けで退職したが、その後任の選出が難航している。
 IAEA関係者は「査察局長の選出は天野之弥事務局長の権限だが、まだ見つかっていないと聞く」というだけだ。ハイノネン氏自身が「容易ではないだろう」と退職前に語っていたことを思い出す。
 査察局Aのマルコ・マルゾ部長は「後継者が見つかるまでは暫く代理を置くことになっている。新しい査察局長は12月の定例理事会前には就任できるのではないか」と述べ、9月13日から開かれる理事会、その直後の年次総会には間に合わない可能性が高いことを示唆した。
 なお、同部長によると、局長代理は、査察局Bのヘルマン・ナッケルツ部長(Herman Nackaerts)が務めることになっているという。
 ハイノネン氏はイラク、イランの査察活動で経験を積み、IAEA内では「ウラン濃縮活動を最も知っている専門家」という評価があった。イランの核問題が重要な分岐点を迎えている時だけに、同氏の退職はIAEAにとって大きな痛手だ。
 一方、IAEA代表のイランのソルタニエ大使は「誰が局長に就任するかは大きな問題ではない」と冷静を装っているが、無関心ということはないだろう。
 天野事務局長は就任後初のイラン報告書で「テヘランの核計画の軍事転用の危険性」を強く示唆した経緯がある。それだけに、イランばかりか反欧米理事国から風当たりが強い。理事会、年次総会ではイラン問題は焦点の一つだ。
 なお、IAEAを構成する6局の内、ハイノネン査察局長のほか、谷口富裕・核安全保安局長も今夏退職したばかりだ。天野事務局長は早急にIAEA内の体制を確立し、イラン問題、イスラエル問題などの難問に専心したいところだろう。