南アフリカで開催中のサッカー・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦の2試合をTV観戦したが、両試合とも副審の誤審が試合の流れを大きく変えてしまった。
 第1試合のドイツ対英国の欧州強豪同士の試合は戦う前から「W杯の最大の好試合」と期待され、熾烈な戦いが予想されていたが、結果は4対1でドイツの圧勝に終わった。
 問題は2対1でドイツに先行されていた前半38分、英国のMFランバードがミドル・シュートをゴールに入れたが、ドイツのGKが素早くボールを取り、打ち返した。主審も副審もボールがゴールライン内に入っていないと思い、ゴールとは認めなかったのだ。TV観戦していると、明らかにボールはゴールラインの内側に入っていた。それも50センチ以上だ。結局、ランバードのゴールは「幻のゴール」となった。
 2試合目のアルゼンチン対メキシコ戦ではアルゼンチンのFWテベスが前半26分、FWメッシからのボールをゴールしたが、テベスは明らかにオフサイドだった。しかし、ゴールと見なされたのだ。メキシコの選手たちは副審に激しく抗議したが、ダメ。TVではこの場面のビデオが繰り返し流されたが、明らかにオフサイドだ。前半序盤は有利に展開していたメキシコ・チームの勢いはこの誤審で大きく乱れ、最終的には3対1でアルゼンチンに敗北した。
 両試合ともミス判定で試合の流れが大きく変った実例だ。ランバードの「幻のゴール」がゴールとなっていたら、前半は2対2で終わっていた可能性が濃い。そうなれば、後半はまったく異なった試合展開が予想される。メキシコの場合も同じだ。
 しかし、「主審も副審も人間だ。彼らが間違ってもそれを批判できない。批判すべきは国際サッカー連盟(FIFA)の幹部たちだ」という声がある。すなわち、数年前から、ビデオ導入や電子チップ入りボールの利用を要求する声があったが、FIFAは頑固にそれを拒否してきたからだ。理由は「サッカーの面白さであるエキサイティングがなくなるからだ」という。詭弁もいいところだ。
 米国人がサッカーをどうしても好きになれない理由は、判定が曖昧で人間のミスで試合が左右されるスポーツだからだ、といわれてきた。テニスのウィンブルトン選手権をみても、ビデオ判定が行われ、判定が間違っていたら、即修正される。何故、サッカーだけが、ビデオ判定を拒否するか。ビデオを導入してもサッカーの面白さが減少することはない。むしろ「幻のゴール」や「テベスのオフサイド」が繰り返されるようならば、サッカーはスポーツ競技としての公平さや面白さを失う事になる。
 判定のミスが誘因で選手やサッカー・ファンたちの暴動が起きる前に、FIFAはビデオ導入を真剣に考えるべき時だ。