バチカン法王庁筋が20日、明らかにしたところによると、バチカンとベトナム両国は23日からローマで両国の外交関係樹立問題について協議に入る。両国は過去3年間、政府レベルの作業グループを設立し、両国関係の正常化を話し合ってきたが、今回、両国の国交回復に合意する可能性が高いと見られる。バチカン筋では、「ローマ法王べネディクト16世の来年のベトナム訪問が現実味を帯びてきた」と期待している。
 両国関係は、ベトナムで1975年、共産政権が樹立して以来、途絶えてきたが、べネディクト16世が2007年1月25日、法王庁内でベトナムのグエン・タン・ズン首相と会談し、両国グエン・ミン・チェット国家主席が昨年12月11日、同様にバチカンを訪問し、同16世と会談するなど、ベトナムとバチカン両国間の首脳交流は急速に進展してきた。
 ちなみに、「アジアニュース」は先月、「バチカン市国とベトナムはももなく国交を樹立し、べネディクト16世が来年初めにもハノイを訪問する可能性がある」と報じた。その根拠として、ローマ法王が4月、ピエトロ・グエン・ヴァン・ノン(Pietro Nguyen Van Nhon)氏をハノイ大司教区のゴ・クアン・キエト(Ngo Quang Kiet)大司教の補佐に任命したことだという。
 ベトナムでは過去、キリスト教会の活動は厳しく制限され、聖職者への迫害は絶えなかったが、グエン・ミン・チェット国家主席が06年10月、ベトナム司教協議会メンバーと会談し、「共産党と政府は今後、国民の信仰、宗教の自由を尊重する」と確約するなど、政策を修正してきた。
 一方、バチカンはズン首相との首脳会談後、「ベトナム首相の訪問は両国関係の正常化への新しい重要な一歩である。ベトナムではカトリック教信者は信仰の自由を一層享受してきた」と評価し、関係正常化に意欲を示してきた。
 バチカンにとって、ベトナムはフィリピン、韓国と共にアジアのカトリック国(推定信者約600万人)であり、バチカンのアジア宣教にとって非常に重要な国だ。
 なお、両国間には過去、司教任命問題や聖職者数の制限問題などで対立してきた。最近では、カトリック信者たちがハノイの旧バチカン大使館の土地の返還を要求して集会を開催し、ベトナム当局側は「教会が自発的に返還した」として、信者達の要求を退けている。