ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁は聖職者の未成年者への性的虐待問題が欧州各地の教会で発覚し、その対応に苦慮してきたが、今度はバチカン法王庁の要職にあった高位聖職者が不動産取引きで汚職に関与した容疑が浮上し、イタリア検察庁が調査に乗り出しているという。イタリアのミラノ日刊紙コリエレ・デラ・セラが20日付で報じた。悪い事は重なるものだ。
 汚職容疑を受けた高位聖職者はナポリ大司教のクレシェンツィオ・セペ枢機卿(Crescenzio Sepe)。同枢機卿がバチカン福音宣教省長官時代(2001年〜06年)の05年、ローマの不動産を市場価格より安価で売り、買い手から報酬を得た疑いが持たれている。容疑の詳細な内容は明らかにされていない。
 ちなみに、バチカン福音宣教省は、「東方教会省所管地域を除く全世界の福音化、および宣教への協力を指導、調整する。教皇庁宣教援助事業は、この省に属している」(カトリック中央協議会より)。福音宣教省長官はバチカン保有の不動産を管理し、海外事業や宣教資金を捻出する機関の責任者だ。
 福音宣教省局長、ロベルト・サラ大司教は「わが省は検察庁当局の調査に協力する。疑問を一つ一つ答えていく考えだ」と、ローマの日刊紙レププリカとのインタビューに答えている。
 なお、バチカン法王庁のロンバルディ報道官が「セペ枢機卿を良く知っている。同枢機卿への容疑は調査が進めば解明されると信じている。枢機卿は教会の為にこれまで多大の人力を尽くしてきた聖職者だ。尊敬と評価を受ける権利を有している」と弁明する一方、「セペ枢機卿はイタリア当局の調査に協力する旨を表明している」と述べた。
 バチカン放送(独語電子版)によると、ナポリ大司教のセペ枢機卿の前任者、ミへレ・ギオルダノ枢機卿もセペ枢機卿と同様、汚職容疑を受けたが、調査の結果、その潔白が証明されているという。