国連安保理で追加制裁決議を受けたイランは目下、どういうわけか日本バッシングに汗を流している。
安保理は9日、安保理決議と国際原子力機関(IAEA)理事会決議を無視し、ウラン濃縮関連活動を継続、拡大するイランに対して追加制裁を明記した決議を採択した。対イラン決議としては4回目だ。
同制裁決議がイランに核開発計画を断念させるとは米国もさすがに考えていないだろう。3国が反対、棄権という採択結果からみて、安保理の結束とは程遠いが、ロシアと中国が賛成に回ったという事実は大きい。
ところで、制裁決議の採択前後、イランの日本バッシングが始まった。その激しさは対米批判を凌ぐ勢いすら感じさせる。
「どうして今、日本を」といった声が聞かれる。イランと日本両国の良好関係を知っている者にとって、なお更だ。
イランのIAEA代表、ソルタニエ大使は9日、理事会内で「日本は大量のプルトニウムを保有している」と指摘し、日本の核武装容疑を示唆する発言をした。
ソルタニエ大使は職業外交官ではなく、核専門家だ。その大使ならば、「日本が保有するトン単位のプルトニウムが安全管理されていること」「日本が核保障協定締結国の模範国であること」を熟知しているはずだ。にもかかわらず、理事会の席で日本批判を行ったのだ。
それだけではない。イランのアハマディネジャド大統領は13日、国連安保理の対イラン制裁決議に賛成した日本について「安保理で自主的な行動を取ったことがない。米国に追随するだけだ」と批判。日本の追加制裁決議賛成は「価値がまったくない」と一蹴したのだ。
「イスラエルを地図から抹殺してしまえ」といった暴言を吐くことがトレード・マークとなった感があるイラン大統領の発言だ。余りカッカする「価値はない」かもしれない。
しかし、イランの日本人外交批判はまったく見当外れだろうか。ソルタニエ大使は2年前、IAEA事務局長選で当方とのインタビューに応じ、日本人外交をこっぴどく批判している(「イラン大使、日本へ厳しい注文」2008年11月1日)。
「日本の天野大使(当時)は優秀な外交官だが、日本政府の外交政策には満足できない。原爆被爆国にもかかわらず、核軍縮問題で努力が足りない上、米国の核拡散防止条約(NPT)違反に対しては沈黙してきた」
すなわち、日本外交は米追随一辺倒であり、日本独自の外交イニシャティブがないという。ソルタニエ大使は2年前に大統領と同じことを指摘しているのだ。
その批判に対し、日本人外交官が「そうではない」と堂々と反論を展開したとは聞かないところをみると、テヘランの対日批判は大きくは間違っていないのだろう。
いずれにしても、追加制裁決議に激怒したイラン指導者がその怒りの矛先を日本人外交に向けたのは賢明な選択だった、といえるかもしれない。
安保理は9日、安保理決議と国際原子力機関(IAEA)理事会決議を無視し、ウラン濃縮関連活動を継続、拡大するイランに対して追加制裁を明記した決議を採択した。対イラン決議としては4回目だ。
同制裁決議がイランに核開発計画を断念させるとは米国もさすがに考えていないだろう。3国が反対、棄権という採択結果からみて、安保理の結束とは程遠いが、ロシアと中国が賛成に回ったという事実は大きい。
ところで、制裁決議の採択前後、イランの日本バッシングが始まった。その激しさは対米批判を凌ぐ勢いすら感じさせる。
「どうして今、日本を」といった声が聞かれる。イランと日本両国の良好関係を知っている者にとって、なお更だ。
イランのIAEA代表、ソルタニエ大使は9日、理事会内で「日本は大量のプルトニウムを保有している」と指摘し、日本の核武装容疑を示唆する発言をした。
ソルタニエ大使は職業外交官ではなく、核専門家だ。その大使ならば、「日本が保有するトン単位のプルトニウムが安全管理されていること」「日本が核保障協定締結国の模範国であること」を熟知しているはずだ。にもかかわらず、理事会の席で日本批判を行ったのだ。
それだけではない。イランのアハマディネジャド大統領は13日、国連安保理の対イラン制裁決議に賛成した日本について「安保理で自主的な行動を取ったことがない。米国に追随するだけだ」と批判。日本の追加制裁決議賛成は「価値がまったくない」と一蹴したのだ。
「イスラエルを地図から抹殺してしまえ」といった暴言を吐くことがトレード・マークとなった感があるイラン大統領の発言だ。余りカッカする「価値はない」かもしれない。
しかし、イランの日本人外交批判はまったく見当外れだろうか。ソルタニエ大使は2年前、IAEA事務局長選で当方とのインタビューに応じ、日本人外交をこっぴどく批判している(「イラン大使、日本へ厳しい注文」2008年11月1日)。
「日本の天野大使(当時)は優秀な外交官だが、日本政府の外交政策には満足できない。原爆被爆国にもかかわらず、核軍縮問題で努力が足りない上、米国の核拡散防止条約(NPT)違反に対しては沈黙してきた」
すなわち、日本外交は米追随一辺倒であり、日本独自の外交イニシャティブがないという。ソルタニエ大使は2年前に大統領と同じことを指摘しているのだ。
その批判に対し、日本人外交官が「そうではない」と堂々と反論を展開したとは聞かないところをみると、テヘランの対日批判は大きくは間違っていないのだろう。
いずれにしても、追加制裁決議に激怒したイラン指導者がその怒りの矛先を日本人外交に向けたのは賢明な選択だった、といえるかもしれない。