オーストリアの与党「国民党」のヴェルナー・アモン議員(Werner Amon)はウィーン市のオーストリア応用美術博物館(MAK)で開催中の北朝鮮の芸術・建築作品の展示会についてシュミット教育・芸術・文化担当相(社会民主党)に公開質問状を送付した。5月20日付のタイトルは「北朝鮮のプロパガンダ展示会への奨励について」だ。
 同議員は「独裁者・故金日成主席を賞賛する北朝鮮のプロパガンダの芸術展示会を開催することは、人権蹂躙が日常茶飯事に行われ、国民が飢餓に苦しむ独裁国家・北朝鮮を支援することを意味し、オーストリアは世界から批判を受けることになる」と指摘し、「メディア情報によると、オーストリア政府は展示会開催のため638万ユーロの責任を負わなければならない。フィッシャー大統領、シュミット文化相は同展示会開催を常に支援してきた」と明記している。
 その上で、同議員は13項目の公開質問状をシュミット文化相宛てに送付した。以下、その概要だ。

(1)共産主義国で人権蹂躙の独裁国家・北朝鮮のプロパガンダ・ショーを支援することに対し、あなたの考えは何だったか。
(2)MAKの展示会開催のためにどれだけの税金が文化省から投入されたか。
(3)北朝鮮のプロパガンダを連邦財政の支援なく実施するためにどのような行動を行ったか。
(4)北の独裁政権下で芸術や芸術家がどのように扱われ、どのような課題を背負っているか等を展示会コンセプトの中でどのように明確化したか。
(5)北の独裁者が願う展示作品の枠組みの中で、北政権の政策について北と批判的に議論ができると本当に考えるか。
(6)あなたはそのために既に努力を行ったのか。
(7)その答えが「否」とすれば、どうしてか。
(8)「イエス」ならば、その成果はどうか。
(9)この展示会プロジャクト開催について監査委員会で議論したか。
(10)文化省担当官は監査委員会で展示会開催についてどの立場であったか。
(11)MAKは9月に入って「北朝鮮の芸術と文化」に関するシンポジウムを開催予定だが、あなたはそれで満足か。
(12)「金日成への花」展示会の開催期間の総警備コストはいくらか。
(13)誰がこの巨額な警備コストを支払うのか。

 なお、同議員の公開質問に対し、シュミット文化相は8週間以内に回答を義務付けられている。

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