独ローマ・カトリック教会の2009年度教会脱会者数は12万3585人で、前年度(12万1155人)比で微増した。
 同教会司教会議議長ロベルト・ツォリチィ大司教が同国27教区の脱会者数を合計した数字だ。昨年度の統計だから、聖職者の未成年者への性的虐待事件の影響はまだ反映していないが、「懸念すべき数」(ツォリチィ大司教)であることには変らない。
 また、昨年度の洗礼者数は約17万8000人(前年度18万5600人)だ。主に、新生児の洗礼数だ。その他、約4000人が教会に入会し、約8500人が再入会している。
 上記の数字からいえることは、新生児の洗礼数が教会脱会者数を上回っている限り、教会の勢力は急速に低下することはないということだ。実際、ローマ・カトリック教会の信者数は微増だが、増え続けている。世界で今日、11億人を超えるカトリック信者がいる。
 ここまでくると、「聖職者の未成年者への性的虐待問題で信者たちが教会から大量脱会したとしても、教会の土台は揺るがないのではないか」と質問されれば、信者数では「その通りだ」と答えざるを得ない。
 しかし、それは教会脱会者数と洗礼者数を同列に置いて計算することからくる錯覚だ。実際、ツォリチィ大司教は「洗礼者が多いということは、教会が生き生きしている証拠だ」と誇示している、
 前者と後者はその意味するところがまったく異なる。新生児の洗礼は、キリスト教会社会では一種の通過儀式だ。洗礼を受ければ、立派に信者に数えられる。問題は、教会脱会者数の増加であり、幼児洗礼者の数に騙されてはならない。少子化が急速に進む欧州では、幼児洗礼者も減少傾向にある。
 そのように考えれば、ドイツ教会の昨年度の実質的成果は新加入者と再加入者を合わせた数、1万2500人だ。教会脱会者数の12万3585人にははるかに及ばない数字だ。独教会司教会議が洗礼者の数を喜んでいたら粉飾財政で破綻したギリシャの二の舞となるだろう。独ローマ・カトリック教会は次第に溶け始めているのだ。