国際麻薬統制委員会(INCB)は24日、ウィーン市内で2009年度年報を公表した。年報では今回、性犯罪目的で使用される通称デートレイプ薬(Date−Rape Drugs)に言及し、「性犯罪目的で薬物が使用されるケースが増加してきた」と警告、「加盟国は薬品メーカーと連係し、厳格な管理強化を実施すべきた」と強く要求している。
 デートレイプ薬として、ロヒブノールと呼ばれる催眠鎮静薬やカンナビスなどが利用され、水やアルコール類に入れて、相手の意識を失わせる。
 また、「処方薬物」の乱用にも大きな懸念を表明、「処方薬物の乱用は隠された問題だ」と強調し、その危険性の啓蒙を説いている。
 特に、米国で「処方薬物」の乱用が著しいと指摘し、処方薬物の過剰摂取で昨年死去したポップス界の著名人の突然死を挙げ、「若い世代に処方薬物の乱用が拡大してきた。処方薬物の恐ろしさを正しく伝える必要性がある」と訴えている。
 また、インターネットを利用した薬物の売買が不法密売に利用されることを阻止するために、政府に「インターネットによる薬物類の売買の禁止、ないしは厳格な管理の実施」を求めている。
 地域別報告では、世界の最大アヘン生産国アフガニスタンのアヘン栽培面積、生産量は昨年度、前年度について減少したが、「アフガンは依然、世界最大の不法ヘロイン生産国であり、不法栽培カンナビス生産国という事実には変らない」と記述し、国際社会にアフガンの支援継続を求めている。同国のアヘン生産量は昨年度、約6900トンで前年度比で約800トン減少した。
 なお、昨年は不法アヘンを監視する「国際アヘン委員会」が設置されて100年目だった。年報では、「1909年の国際アヘン委員会の設置は不法麻薬対策で国際社会が一体化した最初の出来事であった」と評価している。