欧州駐在の北朝鮮外交官に電話した。同外交官は金正日労働党総書記の長男、金正男氏の親戚に当たる。以下は同外交官との一問一答だ。


 ――聯合ニュースは15日、中国共産党の王家瑞対外連絡部長が今月初め訪朝した際、北朝鮮が中国から総額100億ドル以上の投資誘致に成功したと報じた。100億ドルといえば、北朝鮮の国内総生産(GDP)の約70%にも相当する。この投資計画は事実か。
「公式には何も聞いていない」
 ――誤報の可能性もあるか。
「その可能性は十分考えられる」
 ――北朝鮮の都市部で食料不足から飢餓者が出ているという。確認できるか。
「飢餓者が出るほど食糧不足が深刻とは思っていない」
 ――金正日労働党総書記は今月16日で68歳となったが、総書記の健康状況はどうか。
「悪化したという情報は聞いていない。安定しているのではないか」
 ――金総書記の長男、金正男氏は昨年1月以後、帰国できず、マカオに留まっているというニュースが流れた。昨年1月は金ジョンウン氏の後継者決定が下されたといわれる時期と重なる。
「金正男氏が過去1年間、マカオに留まり、帰国できないという情報は誤報だ。事実は逆だろう。正男氏はほぼ1年間、平壌に留まっている。彼がマカオに留まっているとすれば、自由に外遊できただろうし、連絡も取れたが、事実は連絡が取れない。ということは、正男氏はマカオではない」
 ――金ジョンウン氏の後継決定が事実とすれば、正男氏への迫害や弾圧が出てくるのではないか。
「そういうことはまったくない」
 ――朝鮮中央テレビが13日、金ジョンウン氏の歌といわれる「パルコルム」の歌詞を合唱する農民たちの姿を紹介したという。ジョンウン氏への後継者決定がより一歩公式化されたと受け取っていいのか。
「それは韓国や日本メディアの憶測に過ぎない。歌詞の内容と後継者問題はまったく関係ない。繰り返すが、後継者問題に関する如何なる公式発表もこれまでのところはない」



 もっと、もっと聞きたいことがあったが、いつものことだが、それは出来なかった。同外交官が答えてくれた、ということで満足しなければならないだろう。同外交官の発言内容の真偽は確認できないが、当方の過去の経験から、「かなり正しい情報」と受け取っている。