フランスのストラスブールにある欧州人権裁判所(EGMR)が昨年11月3日、「学校クラス内で十字架をかけることは両親の養育権と子供の宗教の自由を蹂躪する。学校内で十字架を掛けることは『欧州人権憲章』(EMRK)と一致せず、国家は公共学校では宗教中立の立場を維持しなければならない」として、フィンランド出身のイタリア人女性の訴えを支持し、彼女の息子が通う公共学校内で十字架をかけてはならないと言い渡し、イタリア政府に「道徳的損傷の賠償として女性に5000ユーロを支払うように」と命じた。この「十字架違法判決」は今日まで欧州全土に様々な形で影響を与えている。このことは当ブログ欄でも紹介してきた。ここでは、「十字架違法判決」後のイタリアの動向を少し伝えたい。
 イタリアのANSA通信が1月23日報じたところによると、イタリアのカメリオ市の裁判官が1月に入って職務行使を停止された。その理由は同裁判官が「裁判所内の十字架は国家と教会の分離原則に反する」という理由で2005、06年の2年間、裁判業務の拒否したからだ。ANSA通信社によると、同裁判官は上訴する意向で、必要ならば、EGMRに訴えることも考えているという。
 一方、バチカン放送(独語電子版)が1月30日、世論調査所(EURISPES)が実施した調査結果を報じたが、それによると、イタリア国民の60%が「学校を含む公共施設内の十字架」を支持し、12%が「他宗派の信者の心情を損なわない限り、公共場所の十字架を支持」するという結果が出た。イタリアのカトリック教会にとっては、歓迎すべきニュースだろう。ちなみに、イタリア政府はストラスブールのEGMRに上訴するなど、十字架違法判決を覆すべき反撃を開始している。
 なお、ドイツのカトリック教会カスパー枢機卿は十字架違法裁判直後、「欧州の攻撃的な世俗主義がもたらしたこの判決に、われわれは覚醒しなければならない。われわれの声をもっと積極的に発信しなければならない」と述べ、世俗主義に対し宣戦すべきだと檄を飛ばしている。




  <読者の皆様へ>


 友人が「お前のブログの累計訪問者数がようやく10万人を突破した時、俺は当然、お前が紙上で一言、感謝の辞を述べると考えていた。それなのに、いつまでたっても感謝の言葉がない。ブロガーとしてエチケットに欠く」といってきた。
 正直いって、少し気にしていたことだ。しかし、数万人以上のブロガーが存在し、累計訪問者数で数百万人を超えるブログを運営している多数のブロガーがいる時、わざわざ「10万人突破しました」といって、読者に感謝の辞を述べることは少々、滑稽だろうと考え、読者の皆様に感謝を述べるのを控えてきた。
 しかし、友人の忠告はもっともだ。蟻のように遅々たるテンポだったが、読者の支援でここまで歩めたことに対し、率直に感謝すべきだろう。
 当方の小さな世界で起きた出来事、出会いや思い出を忍耐強く読んで下さった読者の皆様、ありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。