国際麻薬統制委員会(INCB)のコウアメ事務局長は先月上旬、一週間、北朝鮮の平壌を訪問し、同国政府主催の麻薬管理に関するワークショップに参加、国際社会の麻薬管理やその実態について講義を行ってきた。
当方は20日、国連内で同事務局長と会見し、その訪朝結果などについて聞いた。以下はその要旨だ。
――平壌で開催された1週間のワークショップについて聞きたい。
「参加者は100人を超えた。麻薬担当官だけではなく、税関の関係者から政府関係者まで、各分野から代表が出席した。彼らは非常に真剣に学ぼうとしていた。麻薬問題が将来、大きな社会問題に発展すると予想、その対策を考えようとしていた」
――北朝鮮は2007年3月、「麻薬一般に関する憲章」(1961年)、「同修正条約」(71年)、「麻薬および向精神薬の不正取引に関する国際条約」(88年)の3つの国際条約に加盟した。加盟国は国内麻薬関連犯罪統計をINCBに提出する義務がある。北朝鮮は昨年、国内の麻薬犯罪統計を提出したのか。
「提出済みだ。北国内の不法乱用や取引きなど麻薬関連の犯罪件数は非常に少なかった。国民は麻薬を摂取できる資金も時間も有していないからだ。しかし、隣国・中国でも分るように、社会が開放されていくと、麻薬犯罪も増加する。北当局もそれを知っている」
――北側は具体的に何を学びたいのか。
「税関関係者は麻薬の種類も知らないし、監視カメラやスキャナなどの機材すら設置されていないのが現実だ。麻薬類に関する基本知識がない当局がどうして麻薬犯罪に対応できるか。そこで国際社会から麻薬対策のノウハウを吸収しようというわけだ」
――中国との国境近い地域でアヘン栽培が行われている、という情報がある。
「知っている。国内の医療目的のための小規模なアヘン栽培で、その面積も限られている。米国は北当局が不法麻薬取引きに直接関与していると主張するが、国際麻薬取引き網は一国の政府が簡単に関与できるネットワークではない。多国間に及ぶものであり、複雑な利害が絡んでいる。北当局の不法取引き関与説はその意味で不確かだ」
――事務局長は北朝鮮が開放に向かうと信じているのか。
「私は1984年、中国を訪問した時、中国では麻薬犯罪は少なかったが、今日、大きな問題となっている。旧ソ連も冷戦時代には麻薬犯罪は皆無と主張していたが、冷戦後、ロシアでは麻薬犯罪が深刻だ。同じことが北朝鮮でもいえるだろう。北では現時点では麻薬問題は大きなテーマではないが、同国が解放されていくならば、麻薬問題は必ず拡大していく。北側当局もそのように予測しているはずだ。もちろん、北がどのように開放されていくか、自分は朝鮮半島の専門家ではないから予測できないが、開放は5年、10年以内に行われると確信している」
――事務局長が北の開放を確信する理由は何か
「先述したように、私は開放前の中国やソ連を見てきた。北が例外とはいえないはずだ。平壌では一部、経済分野での民営化の動きがある。その動きをもはや止めることはできないだろう。また、韓国動乱や日本の植民地化時代を体験していない世代が増えてきた。彼らは国際社会の動きを知っている。若い世代の台頭は制止できない。首都平壌では多くの市民が携帯電話を利用し、路上にはベンツなど西側高級車の新車が多数目撃された。北当局が抵抗したとしても変革の波は既に到来している。今回の訪朝でそのことを強く感じた」
当方は20日、国連内で同事務局長と会見し、その訪朝結果などについて聞いた。以下はその要旨だ。
――平壌で開催された1週間のワークショップについて聞きたい。
「参加者は100人を超えた。麻薬担当官だけではなく、税関の関係者から政府関係者まで、各分野から代表が出席した。彼らは非常に真剣に学ぼうとしていた。麻薬問題が将来、大きな社会問題に発展すると予想、その対策を考えようとしていた」
――北朝鮮は2007年3月、「麻薬一般に関する憲章」(1961年)、「同修正条約」(71年)、「麻薬および向精神薬の不正取引に関する国際条約」(88年)の3つの国際条約に加盟した。加盟国は国内麻薬関連犯罪統計をINCBに提出する義務がある。北朝鮮は昨年、国内の麻薬犯罪統計を提出したのか。
「提出済みだ。北国内の不法乱用や取引きなど麻薬関連の犯罪件数は非常に少なかった。国民は麻薬を摂取できる資金も時間も有していないからだ。しかし、隣国・中国でも分るように、社会が開放されていくと、麻薬犯罪も増加する。北当局もそれを知っている」
――北側は具体的に何を学びたいのか。
「税関関係者は麻薬の種類も知らないし、監視カメラやスキャナなどの機材すら設置されていないのが現実だ。麻薬類に関する基本知識がない当局がどうして麻薬犯罪に対応できるか。そこで国際社会から麻薬対策のノウハウを吸収しようというわけだ」
――中国との国境近い地域でアヘン栽培が行われている、という情報がある。
「知っている。国内の医療目的のための小規模なアヘン栽培で、その面積も限られている。米国は北当局が不法麻薬取引きに直接関与していると主張するが、国際麻薬取引き網は一国の政府が簡単に関与できるネットワークではない。多国間に及ぶものであり、複雑な利害が絡んでいる。北当局の不法取引き関与説はその意味で不確かだ」
――事務局長は北朝鮮が開放に向かうと信じているのか。
「私は1984年、中国を訪問した時、中国では麻薬犯罪は少なかったが、今日、大きな問題となっている。旧ソ連も冷戦時代には麻薬犯罪は皆無と主張していたが、冷戦後、ロシアでは麻薬犯罪が深刻だ。同じことが北朝鮮でもいえるだろう。北では現時点では麻薬問題は大きなテーマではないが、同国が解放されていくならば、麻薬問題は必ず拡大していく。北側当局もそのように予測しているはずだ。もちろん、北がどのように開放されていくか、自分は朝鮮半島の専門家ではないから予測できないが、開放は5年、10年以内に行われると確信している」
――事務局長が北の開放を確信する理由は何か
「先述したように、私は開放前の中国やソ連を見てきた。北が例外とはいえないはずだ。平壌では一部、経済分野での民営化の動きがある。その動きをもはや止めることはできないだろう。また、韓国動乱や日本の植民地化時代を体験していない世代が増えてきた。彼らは国際社会の動きを知っている。若い世代の台頭は制止できない。首都平壌では多くの市民が携帯電話を利用し、路上にはベンツなど西側高級車の新車が多数目撃された。北当局が抵抗したとしても変革の波は既に到来している。今回の訪朝でそのことを強く感じた」