駐ポーランドの金平一・北朝鮮大使(55)は現在、平壌に帰国中だ。欧州の北朝鮮消息筋が明らかにした。
 金平一大使は故金日成主席と金聖愛夫人との間に生まれた長男。故金主席と正妻・金正淑夫人(故人)との長男、金正日労働党総書記(67)とは異母兄弟の関係になる。
 日韓メディアでは久しく、「金総書記は国内の軍部に寵愛を受ける金大使を好ましく思っていない。だから大使の帰国を許さない」という憶測が報じられてきたが、実際は「金平一大使はほぼ毎年、平壌に帰国している」という。今年も休暇のための帰国とみられる。
 金平一大使は、異母兄の金正日総書記が権力を掌握すると平壌の中央政界から追放され、駐ユーゴスラビアの武官を皮切りに、駐ハンガリー、駐ブルガリア、駐フィンランドの大使職を転々した後、1998年から現在の駐ポーランド大使を務めている。
 ちなみに、実妹(敬淑)の夫、駐オーストリアの金光燮大使は先月末、夏期休暇のために既に帰国中だ。計画に変化がなければ、9月末から10月初めに帰任する。金平一大使も同時期にワルシャワに戻るものと予想される。
 金総書記の健康悪化情報が流れ、同総書記の3男、正雲氏(26)が後継者に内定したといわれる一方、金総書記の妹(敬姫)の夫、張成沢・労働党行政府長の台頭が伝えられる時期だけに、海外駐在の金ファミリー・メンバーの帰国がどのような波紋を投げかけるか、注目される。
 先の北朝鮮消息筋は「わが国は中国のように権力闘争で家族メンバーを粛清する伝統はない。正雲氏が後継者に内定したとしても、海外組の金ファミリーに大きな異変があるとは考えられない」と述べた。