イタリア中部ラクイラで7月8日から10日まで主要国首脳会議(G8サミット)が開催されるが、オバマ米大統領や麻生太郎首相らの首脳たちがサミット会議開催前後にバチカン法王庁(ローマ・カトリック教会総本山)を訪問し、ローマ法王べネディクト16世と会見する予定だ。
 バチカン放送によると、G8首脳陣の先頭を切って、日本の麻生首相が7日、バチカンを訪問し、べネディクト16世と会見する。日本首相としては最初のカトリック信者の首相誕生ということもあって、バチカン側も大歓迎だ。
 9日には、カナダのハーパー首相が続き、10日にはオバマ米大統領が法王を謁見訪問することになっている。
 世界に約11億人の信者を誇るローマ・カトリック教会最高指導者、ローマ法王との会談は首脳会談に慣れている米大統領や日本首相にとっても特別な意味合いがあるらしい。忙しいスケジュールにもかかわらず、法王との会見を望む。
 ところで、法王と首脳たちの会談では通常、中東和平問題、環境保護問題、金融危機などの国際問題が議題として取り上げられるが、時には、ゲスト国が抱えている問題についても、意見の交換が行われる。
 例えば、麻生首相との会談では、法王から死刑廃止への要請が出てくるかもしれない(バチカンは死刑廃止論者)。また、オバマ大統領との会談では、中絶問題や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究問題がテーマとなるだろう。一部中絶容認者の米大統領にとって、法王との会談は快いものとはならないかもしれない。欧州で人気の高いオバマ大統領もバチカンでは一般的に批判的に評価されているからだ(参照「解放神学者が駐バチカン米大使に」2009年6月3日掲載)。
 いずれにしても、麻生首相やオバマ大統領のバチカン詣ででどのような発言が飛び出すか,注目される。特に、衆院総選挙を控えている麻生首相、べネディクト16世との会談では失言にくれぐれも注意して下さい。