オーストリアのローマ・カトリック教会の精神的支柱、ウィーン市1区のど真ん中にあるシュテファン寺院(Stephansdom)が同市の2009年度観光賞に受賞した。
 ウィーン子には親しまれ、若いカップルの待ち合わせ場所として誰もが知っている。年間、約300万人の旅行客が寺院を訪ねるというから、観光の都市・ウィーン市にとって、シェーンブルン宮殿(Schloss Schoenbrunn)と共に名所の双璧だろう。
 寺院はゴシック様式の大聖堂で世界で有数の高さ(107メートル)を誇る塔がある。13世紀から300年余りの月日をかけて建てられた。
 エレベーターで約70メートルのテラスまで上れる。そこからはウィーンの森から大観覧車のプラーター(Prater)まで見える。
 音楽好きな人にとっては、天才モーツァルトとコンスタンツェ夫妻が結婚式を挙げ、葬儀が行われた寺院で知られている。ケルン大聖堂のように威圧的な雰囲気はなく、女性的な温もりが感じられる寺院だ。
 寺院から約10メートル離れた処にオーストリアの伝統的な喫茶店「アイダ」(Aida)がある。寺院前で待ち合わせない人はここで待つ。少々、苦いアイダのコーヒーを飲みながら、来る人を待つ。雨降りの日にはアイダは待つ人で一杯だ。
 アイダの主人は数年前、出張先で飛行機事故に遭って急死された。主人は根っからの日本食贔屓で若い奥さんと子供を連れてケルントナー通りから少し入った処にある日本レストラン「天満屋」に頻繁に食べに来られていたという。