舞踏会シーズンのハイライト、ウィーン国立歌劇場(Staatsoper)の舞踏会(2月19日)まであと3週間残す余りとなったが、それに先駆け、29日に歌劇場の大理石ホールで「2009年度舞踏会記者会見」が開かれた。
 ウィーンに長く駐在しているが、舞踏会(Opernball)の記者会見には参加したことがなかったので、経験を積むという意味もあって、今回は参加してみた。
 会場に到着した時、ホールには既に舞踏会関係者や記者たちで一杯。サービスされたシャンペンを飲みながら、わいわいがやがやと談笑したり、写真を撮っていた。
 政治関係の記者会見とはまったく異なった華やかな雰囲気だ。TVで見かけるアナウンサーやショーマスター、ダンサーたちの姿も見られる。
 舞踏会のプログラムをもらって席についたが、関係者の顔と名前が一致しないので、隣りに座った中年の婦人に小声で尋ねた。
 婦人は「彼女は舞踏会開催の責任者、その横にいるのが彼女の主人で、銀行の頭取よ」と熱心に教えてくれた。どうやら、婦人は全てのゲストの名前を知っているようだ。ジャーナリストではなく、上流社会の貴婦人といった印象がするほどだ。
 記者会見は始まったが、舞踏会のスポンサーを紹介することで時間が費やされ、肝心の舞踏会に関する話題は少ない。必要がないのかもしれない。舞踏会ではワルツを踊るだけで、それ以外でもそれ以下でもないからだ。
 VIPゲストの顔ぶれについては、「まだ時間があるので、どのVIPが出席するかどうかの最終確認は取れていない」という。オペルンバルには毎年、世界の政界や米映画界ハリウッドからVIPや著名な女優が参加するので、話題には事欠かない。
 高価な舞踏会チケットの販売状況については、「チケットは既に完売した」と誇らしげな答えが返って来た。金融危機にもかかわらず、というより、金融危機であるからこそ、夜明けまでワルツを踊って日々のウサを吹き飛ばしたいというのが、舞踏会参加者の本音かもしれない。