当方のブログ読者は既に気づいておられると思うが、当方は定期的に北朝鮮外交官と会い、話す機会を持ってきた。その外交官のプロフィールを詳細に説明することはできない。記者として貴重な情報源であるという理由もあるが、それ以上に、当の外交官の立場を配慮しなければならないからだ。多分、その外交官は当方と定期的に話していることを上司に報告済みかもしれない。さもなければ、自身の安全問題にかかわるからだ。
 さて、その北朝鮮外交官と先日、今年最後の会う機会をもった。来年2月には60歳を迎える同外交官は当方の質問を、ある時は無関心を装って、ある時は笑いながら聞いた。
 北朝鮮外交官は通常、メデイア情報には関心を示さない、というより、知らないことが多い。インターネットをサーフィンして情報を集めるといったことは、その担当分野の外交官しかしないことだ。しかし、知人の北外交官は通常のジャーナリスト以上にメデイア情報に精通している。金正日労働党総書記の健康悪化情報が流れた時も、その外交官は米韓日のメデイア情報を驚くほど熟知していた。
 「金総書記の健康回復が伝わってきたが、来年はどのような年となるか」と聞いた。外交官は「変わりないだろう」と疲れた声でいう。変革、改革という言葉は北では死語だ、とでもいいたいのかもしれない。
 オバマ米新政権の誕生についても「大きな期待はしていない」という。当然かもしれない。金総書記が健在である限り、路線や政策の大きな変化は考えられないからだ。米大統領は変わるが、北では金総書記が生きている限り、何も変わらないことを、この北の外交官は知っているからだ。
 ここにきて、金総書記の快復情報が頻繁に流れてきた。ほんの一時期、かすかに感じた変化、改革の可能性が再び遠ざかっていくのを、この知人もひょっとしたら感じているのかもしれない。