ギリシャの首都アテネで今月6日、15歳の少年が警察官に射殺されたことを契機に発生した若者たちの暴動は、政府の統治能力すら脅かすほどの規模に拡大したが、若者たちの暴動はギリシャだけではなく、フランス、スペイン、ドイツなど各地に広がる危険性を内包している。
 金融危機で来年、リセッションが予測されている欧州では、若者の失業率が拡大する一方、キリスト教の伝統が次第に消滅し、それに代わる世界観が見いだせない今日、オリエンテーションを失った数多くの若者たちが何かのきっかけで暴発する危険性が高まっているのだ。
 特に、ネオナチ的な活動にエネルギーを注ぐ若者たちが欧州各地で再び増加してきている。最近では、ドイツとオーストリア両国の国境の町パッサオで警察署長がネオナチ活動家に刺される事件が生じたばかりだ。
 オーストリア日刊紙クリアは20日付で欧州のネオナチの活動を特集している。それによると、ドイツでは極右政党「ドイツ国家民主党」(NPD)が活発で、同国では180のネオナチ・グループ、約3万人のメンバーがいると推測されている。ハンガリーでは昨年8月結成された「ハンガリー防衛団」がジプシー、ロマ人、外国人を襲撃し、大ハンガリーを標榜。隣国のチェコでも貧しい北ボヘミアの工業地帯でネオナチたちがジプシーを攻撃している。北欧やバルト3国でも伝統的にネオナチが多く、代表的なグループとしてスウェーデンの国民前線(前・民族社会前線)が存在する、といった具合だ。彼らの多くはインターネットを通じて国境を越えて連帯しあっている。
 吼える欧州の若者たちに、政府もキリスト教会も対応策を提示できず、手をこまねているのが現実だ。