オーストリアから銀行を含む8社が9月末、訪朝し、平壌で開催された「第4回秋季平壌国際貿易フェア」を訪問していたことが明らかになった。
 訪朝経済使節団はオーストリア商工会議所(WKO)の外国貿易担当(AWO)が企画したもので、一種のファクト・ファインディングだ。期間は9月20日から24日までの5日間。
 訪朝団に参加した同国企業代表は主に中国にある北京支店から派遣された。参加企業としては、世界的耐火煉瓦メーカー「RHI」社から水力発電所建設メーカー「Andritz/Vatechhydro」社、半導体メーカーの「NXP」社ら一流企業の名前が連なる。銀行は「ライフアイゼン・セントラル銀行」(RZB)社だけだ。それらの会社はいずれも過去、訪朝したことがある。その意味で新顔でない。
 訪朝団は平壌では外国貿易担当次官と会談したほか、朝鮮商業会議所を訪問した。AWOの中国事務所長は「北朝鮮はオーストリアとの貿易に強い関心を示した」と後日、訪朝談を語っている。
 具体的な商談や契約話は聞かない。「NXP」社がへットホーンの組み立て作業を平壌で行う話も聞くが、不明だ。「RHI」社は読者の皆さんに既に報告済みだ。同社は高品質の北産マグネシウムを年間最大2万トン、取引業者を通じて輸入している(同社は現時点では、北朝鮮国内の現地生産は考えていないという)。
 AWO関係者は来年も同様の訪朝使節団を計画している。南北関係が険悪化し、韓国企業の北進出に陰りが見えている中、オーストリアを含む欧州企業の北市場への接近が目立つ。北の経済特別区「開城工業団地」(KIC)にもドイツの「Prettl エレクトロー二ク」社が今年3月、自動車部品製造工場の建設を開始している。独社はKICに進出した初の非韓国企業だ。