オーストリアで23日、社会民主党と国民党の2大政党の連立交渉が合意に達し、大連立政権が発足する運びとなった。両党は24日、党幹部会を招集し、そこで承認を受けたならば、正式に新政権をスタートする。
 グーゼンバウアー大連立政権が発足するまで101日間という長期交渉を強いられたが、今回は56日間で両党は連立交渉をクリアしたわけだ。グーゼンバウアー政権下で対立を繰り返してきた両党が再び連立政権を組むわけで、国民にとって新鮮味に乏しい新政権だ。
 新しい点といえば、社民党も国民党とも党首が入れ替わったことだ。グーゼンバウアー氏(首相)からファイマン現党首に、モルテラー氏(副首相兼財務相)からプレル党首に、それぞれトップが変わった。両党首とも大連立政権支持派だ。
 ファイマン党首は「クリスマス前まで交渉をまとめて、新政権を発足させたい」と国民党との大連立に最も意欲的だった。もちろん、新政権では首相のポストが待っている、ということがある。
 一方、国民党は少し事情が違った。社民党との連立を拒否する声が地方党の州政治家の中に少なくない。また、シュッセル元首相派らは社民党より、自由党、未来同盟との3党連立政権に強い未練がある。そのような中で、プレル党首は党内の反大連立政権派の動きを注視しながら、社民党との交渉を進めていかなければならなかった。
 社民党と国民党が路線の相違を乗り越えて合意に達した背景には、‖舅⇔政権以外の組み合わせでは安定政権は難しいこと、∩甦総選挙が再び行われた場合、極右派政党「自由党」が得票率を伸ばし、第1党に踊り出る危険性がある、等が考えられる。特に、△亮由党の躍進を警戒し、「嫌々ながらも結婚せざるを得なかった」というのが真相かもしれない。
 看過できない点は、米国発の金融危機が発生し、アルプスの小国オーストリアものんびりと100日間以上、交渉を繰り返す余裕などなくなったということだ。国民からは「危機に対処できる安定政権の誕生」を求める声が高まってきた。両党が大連立政権の再現という批判を余り受けることなく、短期間で連立交渉の合意に辿りつくことが出来たのは、“金融危機のプレッシャー”があったからだろう。