ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁の「正義と平和評議会」委員長のレナート・ラファエレ・マルティーノ枢機卿はいま激怒している。米国発の金融危機で欧米諸国が不良債権を抱える銀行を救済するために20兆ドル以上の公的資金を気前よく拠出する一方、国連ミレニアムの開発目標を達成するために拠出された総額は500億ドルにも満たないことに対し、枢機卿は「貧困対策が忘れられている」と怒っている。バチカン放送は「ダブル・スタンダード」と揶揄しているほどだ。
国連は2000年9月に開催されたミレニアム・サミットで「21世紀における国連の役割」について検討し、世界中の全ての人がグロバール化の恩恵を受けることができるための行動計画を提示した「国連ミレニアム宣言」を採択した。
具体的には貧困、教育、環境などの8項目(ミレニアム開発目標)を掲げ、数値目標と2015年という達成期限を掲げた。
しかし、米国テロ事件の勃発後、ミレニアム開発目標の求心力は急速に失われていく一方、メディアの関心もなくなっていった。「国連ミレニアムの行動計画」といってもピンとこなくなってしまったぐらいだ。
国際テロとの戦いを最大課題に掲げてきたブッシュ米政権が終焉近くなった今日、ミレニアム開発目標の実現が再び叫び出されてきた。その矢先に、米国から今度は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げつきに端を発した金融危機が生じたのだ。タイムングが悪い、といって歯軋りをしてもしょうがない。不良債権を有する銀行を救済しなければ、本格的な金融恐慌が発生することは必至だからだ。
マルティーノ枢機卿がそのようなことを知らないわけがない。しかし、「15年まで貧困人口を半減するという目標はどうしたのか」と叫ばざるを得ないのだろう。同枢機卿によると、国内総生産(GDP)の0・7%を開発支援に拠出する義務を履行している欧州連合(EU)の工業国は5カ国に過ぎないという。米国は0・2%に過ぎない。
国連は2000年9月に開催されたミレニアム・サミットで「21世紀における国連の役割」について検討し、世界中の全ての人がグロバール化の恩恵を受けることができるための行動計画を提示した「国連ミレニアム宣言」を採択した。
具体的には貧困、教育、環境などの8項目(ミレニアム開発目標)を掲げ、数値目標と2015年という達成期限を掲げた。
しかし、米国テロ事件の勃発後、ミレニアム開発目標の求心力は急速に失われていく一方、メディアの関心もなくなっていった。「国連ミレニアムの行動計画」といってもピンとこなくなってしまったぐらいだ。
国際テロとの戦いを最大課題に掲げてきたブッシュ米政権が終焉近くなった今日、ミレニアム開発目標の実現が再び叫び出されてきた。その矢先に、米国から今度は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げつきに端を発した金融危機が生じたのだ。タイムングが悪い、といって歯軋りをしてもしょうがない。不良債権を有する銀行を救済しなければ、本格的な金融恐慌が発生することは必至だからだ。
マルティーノ枢機卿がそのようなことを知らないわけがない。しかし、「15年まで貧困人口を半減するという目標はどうしたのか」と叫ばざるを得ないのだろう。同枢機卿によると、国内総生産(GDP)の0・7%を開発支援に拠出する義務を履行している欧州連合(EU)の工業国は5カ国に過ぎないという。米国は0・2%に過ぎない。