米国のローマ・カトリック教会といえば、聖職者の性犯罪の増加とそれに伴う被害者への賠償金支払い問題を抱え、破産に瀕している教会が出てきたとは聞いていたが、イエス・キリストの福音を伝える聖職者たちが米国民の平均よりかなり太り気味と判明し、教会指導者が「聖職者の肥満対策」で頭を痛めているとは知らなかった。これは「カトリック・ニュース・サービス」が先日、伝えたものだ。
 2500人以上の聖職者を対象とした調査結果によると、聖職者の76%が太り気味、ないしは肥満であり、米国の平均値より15ポイント高かった。昔は「教会のネズミは痩せている」といわれたものだが、現在は「ネズミだけではなく、その主人の聖職者も太ってきた」というわけだ。
 そこで、教区の司教たちは神父たちに「もっとスポーツを」とアピールしている。教区によっては、聖職者専用のスポーツ・センターを開いたり、スポーツ・クラブを作るなど、あらゆる知恵を駆使して「聖職者の肥満対策」に乗り出しているわけだ。
 聖職者の日課は通常、早朝の祈祷を終えると、朝食、その後は聖職に励み、シスターたちが準備してくれた昼食と夕食を食べ、夕拝で終わる。礼拝の日はその準備をする一方、信者たちとの会合に顔を出したりする。聖職者の日課は結構、多忙だが、口を使う機会が多い割には体全体を動かし汗をかく機会は非常に少ない。その結果、中年を過ぎると聖職者たちは次第に肥満となっていく傾向にある。若い聖職者の方が中年、老年の聖職者より健康なライフ・スタイルを維持しているという。
 欧州教会の一部では、聖職者希望の神学生に対して一種の心理審査が実施されている。同性愛者の聖職者任命を回避する狙いがあるからだ。しかし今後、心理審査だけではなく、体力測定を定期的に実施すべき時かもしれない。昔から「健全な精神(魂)は健全な身体(肉体)に宿る」というではないか。