ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁は独立宣言を表明したコソボの国家承認に難色を示している(世界に約11億人の信者を抱えるバチカンは国連でオブザーバーの資格を有する国家であり、国務省長官など閣僚が任命されている)。
バチカンの「キリスト教一致推進評議会」議長のヴァルター・カスパー枢機卿は5月末、ロシアを訪問し、ロシア正教会の最高指導者アレクシー2世と会談した。そこでコソボ問題が重要テーマとなったが、同枢機卿は「バチカンとしては近い将来、コソボを国家認知する計画はない」と述べ、コソボの独立宣言に強く反発する正教会の立場を支持している。
バチカンがコソボの国家認知を拒否する理由は、「歴史的に見ても、コソボはセルビア正教の揺籃の地であり、正教徒の権利は尊重されなければならない」というものだ。ちなみに、セルビア共和国に帰属してきたコソボでは住民の90%以上がアルバニア系イスラム教徒であり、正教徒は少数派に過ぎない。
今年2月17日のコソボ独立宣言後、コソボを国家として認知した数は現在、40カ国と伸び悩んでいる。その背後には、独立国家認知の基となる国連安保理決議が採択されていないため、多くの加盟国がコソボ独立の認知に抵抗を覚えているからだ。特に、セルビアの主張を支持するロシアがコソボ独立に反対している今日、安保理決議が採択される見通しはまったくない。
ところで、バチカンは現在、バルカン地域の教区体制の刷新に乗り出している。セルビアのシュジェムをジャコボから切り離して独立教区として司教を任命する一方、クロアチアでもザグレブ教区に所属してきた地域を独立させて新司教区を新設している。正教、イスラム教が支配的なバルカン地域でカトリック教会がその体制強化を図っているわけだ。
コソボの独立認知を拒否する一方、多民族、多宗派が交差するバルカン地域で勢力拡大を目指すバチカンの外交は、宗教の自由、少数派民族の権利擁護など綺麗な標語が常に伴うが、実際は、米国や他の国と同様、国益外交といえる。すなわち、バチカンのバルカン政策は、正教と連携してイスラム教の北上を阻止するという狙いがあるのだ。
バチカンの「キリスト教一致推進評議会」議長のヴァルター・カスパー枢機卿は5月末、ロシアを訪問し、ロシア正教会の最高指導者アレクシー2世と会談した。そこでコソボ問題が重要テーマとなったが、同枢機卿は「バチカンとしては近い将来、コソボを国家認知する計画はない」と述べ、コソボの独立宣言に強く反発する正教会の立場を支持している。
バチカンがコソボの国家認知を拒否する理由は、「歴史的に見ても、コソボはセルビア正教の揺籃の地であり、正教徒の権利は尊重されなければならない」というものだ。ちなみに、セルビア共和国に帰属してきたコソボでは住民の90%以上がアルバニア系イスラム教徒であり、正教徒は少数派に過ぎない。
今年2月17日のコソボ独立宣言後、コソボを国家として認知した数は現在、40カ国と伸び悩んでいる。その背後には、独立国家認知の基となる国連安保理決議が採択されていないため、多くの加盟国がコソボ独立の認知に抵抗を覚えているからだ。特に、セルビアの主張を支持するロシアがコソボ独立に反対している今日、安保理決議が採択される見通しはまったくない。
ところで、バチカンは現在、バルカン地域の教区体制の刷新に乗り出している。セルビアのシュジェムをジャコボから切り離して独立教区として司教を任命する一方、クロアチアでもザグレブ教区に所属してきた地域を独立させて新司教区を新設している。正教、イスラム教が支配的なバルカン地域でカトリック教会がその体制強化を図っているわけだ。
コソボの独立認知を拒否する一方、多民族、多宗派が交差するバルカン地域で勢力拡大を目指すバチカンの外交は、宗教の自由、少数派民族の権利擁護など綺麗な標語が常に伴うが、実際は、米国や他の国と同様、国益外交といえる。すなわち、バチカンのバルカン政策は、正教と連携してイスラム教の北上を阻止するという狙いがあるのだ。