当方は4月、オーストリア商工会議所が公表した同国の2006年度対北朝鮮貿易データーを紹介したが、同国の2007年度対北貿易統計(暫定報告)を入手したので、読者に最新情報を報告する。
 オーストリアの2006年度対北貿易総額は約292万ユーロ、輸出総額は192万ユーロ、輸入総額は98万ユーロであったが、昨年度は対北輸出総額が246万ユーロと前年度比で約27・8%、輸入総額は約140万ユーロと前年度比で42・5%と、それぞれ大幅に増加したことが判明した。
 当方は前回のコラムで、「オーストリアにとって北朝鮮は147番目の貿易パートナーだ。同国企業にとって、北朝鮮市場はまだ未開拓地、といったところだろう」と書いたが、低水準ながらも両国貿易は昨年度、拡大したことが明らかになったわけだ。
 ところで、貿易統計を詳細に見ると、対北輸出が急増したのは、水上用乗物、簡単に言えば、ボートとその関連品(約98万2900ユーロ相当)が平壌に輸出されたからだ、ということが分かった。ボート関連の輸出が2007年度の対北輸出総額を引き上げたわけだ。
 恒常的な食糧危機に直面している北朝鮮が昨年度、不足する日常品や医療関係品を前年度比より大量に輸入した、というのではなく、贅沢品のボートとその部品購入の為に100万ユーロ余りを出費していたということになる。その目的は明確だ。北朝鮮国民にボートの楽しさを教えるためではなく、同国最高指導者・金正日労働党総書記の為だ。
 北朝鮮は過去、金総書記の誕生日プレゼントのためにオーストリアのボート製造会社から高速ボートを購入したことがある。そこで北朝鮮に高速ボートを輸出した実績のあるウィーン市のボート製造会社に電話して確認してみた。会社の責任者曰く、「わが社は知らない。貿易統計が間違っているのではないか」という。
 そういえば、同会社が北朝鮮に高速ボートを輸出した時も、こちらが電話で確認を取ろうとしたら、「商の内容をメディア関係者に公表する必要はない」と言われ、断れたことがあったけ。
 最後に、駐オーストリアの北朝鮮大使館パク商務官にボート関連輸入について聞いた。同商務官曰く「わが国はボート類を輸入できる国力がある。それも100万ユーロ以下のビジネスではないか」と説明し、ボート関連輸入を「スモール・ビジネス」と呼んだ。