ローマ・カトリック教会最高指導者、ローマ法王べネディクト16世は23日、バチカン法王庁でアルバニア教会の司教団の謁見を受けた際、「われわれは共産主義の残滓と戦い、祖国の再建に貢献しなければならない」と訴えている。
アルバニアのホッジャ労働党政権(共産政権)は1967年、世界で初めて「無神国家」を宣言したが、同国が1990年、民主化に乗り出した後、宗教の自由は再び公認された。その後、同国では国民の間で宗教に関する関心が高まってきている反面、長い共産主義教育の影響は社会の各方面で見られる。
当方は信教の自由が施行された直後、同国の首都ティラナを訪問し、共産政権下で25年間、収容所に監禁されていたゼフ・ブルミー神父と会見したことがある。神父は「アルバニア人は現世の生活が全てではなく、死後の世界が存在することを肌で感じている一方、若者たちの心を神に向けることは容易ではない。共産主義社会を体験した世代は唯物主義の恐ろしさを知っているが、若い世代は知らないからだ。だから、幼少時代からの宗教教育が必要だ」と熱っぽく語ってくれたものだ。ちなみに、同国では、主要宗派はイスラム教、それにアルバニア正教とカトリック教会が続く。数では、カトリック教会は約10%で少数派だ。
民主世界は冷戦時代、共産圏と戦いを繰り返したが、旧ソ連・東欧共産政権の崩壊とその民主化を受けて、「共産主義は終焉した」と一応、受け取られてきた。しかし、実際は、共産主義の残滓はアルバニアだけはなく、旧ソ連・東欧諸国はもちろんのこと、冷戦の勝利国側の欧米民主諸国でも見られる。欧米や日本でも拡大するジェンダー・フリー運動やダーウィン進化論もその例だろう。
政治・思想運動だけではない。政教分離と世俗化で宗教の影響が後退する一方、われわれの生活で物質主義的価値観が広がってきている。すなわち、共産主義はイデオロギーとしては依然、終焉していないのだ。共産主義の「敗北宣言」を聞く前に、われわれは一方的に「勝利宣言」をしてしまったのかもしれない。
「欧州に今、亡霊が徘徊している。共産主義という亡霊が」(マルクス・エンゲルス共著「共産党宣言」)という言葉を思い出すが、われわれが「神」を見出さない限り、共産主義の残滓は払拭されず、その亡霊はいつまでもわれわれにまとわり続けるのではないか。
アルバニアのホッジャ労働党政権(共産政権)は1967年、世界で初めて「無神国家」を宣言したが、同国が1990年、民主化に乗り出した後、宗教の自由は再び公認された。その後、同国では国民の間で宗教に関する関心が高まってきている反面、長い共産主義教育の影響は社会の各方面で見られる。
当方は信教の自由が施行された直後、同国の首都ティラナを訪問し、共産政権下で25年間、収容所に監禁されていたゼフ・ブルミー神父と会見したことがある。神父は「アルバニア人は現世の生活が全てではなく、死後の世界が存在することを肌で感じている一方、若者たちの心を神に向けることは容易ではない。共産主義社会を体験した世代は唯物主義の恐ろしさを知っているが、若い世代は知らないからだ。だから、幼少時代からの宗教教育が必要だ」と熱っぽく語ってくれたものだ。ちなみに、同国では、主要宗派はイスラム教、それにアルバニア正教とカトリック教会が続く。数では、カトリック教会は約10%で少数派だ。
民主世界は冷戦時代、共産圏と戦いを繰り返したが、旧ソ連・東欧共産政権の崩壊とその民主化を受けて、「共産主義は終焉した」と一応、受け取られてきた。しかし、実際は、共産主義の残滓はアルバニアだけはなく、旧ソ連・東欧諸国はもちろんのこと、冷戦の勝利国側の欧米民主諸国でも見られる。欧米や日本でも拡大するジェンダー・フリー運動やダーウィン進化論もその例だろう。
政治・思想運動だけではない。政教分離と世俗化で宗教の影響が後退する一方、われわれの生活で物質主義的価値観が広がってきている。すなわち、共産主義はイデオロギーとしては依然、終焉していないのだ。共産主義の「敗北宣言」を聞く前に、われわれは一方的に「勝利宣言」をしてしまったのかもしれない。
「欧州に今、亡霊が徘徊している。共産主義という亡霊が」(マルクス・エンゲルス共著「共産党宣言」)という言葉を思い出すが、われわれが「神」を見出さない限り、共産主義の残滓は払拭されず、その亡霊はいつまでもわれわれにまとわり続けるのではないか。
