スイスとオーストリア両国共催で開催される欧州サッカー選手権(ユーロ2008)まで「あと15日」を残すのみとなった。欧州選手権はワールドカップ(W杯)に次ぐサッカーの大イベントだ。オーストリアではウィーン、インスブルック、ザルツブルク、クラーゲンフルトの4市で開催され、最終日の決勝戦(6月29日)はウィーンのエルンスト・ハッベル競技場で行われる。
 参加国は16カ国だ。英国チームが予選落ちしただけで、欧州のサッカー強豪国はいずれも出場する。欧州サッカー・ファンでなくても、今から心がうきうきしてくる。
 ウィーン市内では大会の旗やポスターが各地で貼られている。ユーロ2008関連の記者会見がほぼ連日、開かれ、雰囲気は否応なく加熱してきた。ウィーン市庁舎広場には電子掲示板が「あと何日」を示し、大会スポンサーの会社はこことばかり、到る所で宣伝に余念がない。
 例えば、スポンサーの一つ、トイレット・ペーパー会社はサッカー選手とボールを印刷したトイレットペーパーを売り出し中だ。同社の紙を使用している市民は毎朝、これまた否応なく「ユーロ2008開催」を思い出す、といった仕掛けだ。
 いずれにしても、国際会議開催のプロを自他と共に認めるホスト国・オーストリアの大会準備には隙間がない。先日は市内から競技場まで地下鉄が延長されたばかりだ。こんなことは朝飯前だ。
 ところで、問題は、主催国の特権として大会に参加するオーストリア・チームの実力だ。FIFAが定期的に公表するランキングによると、今年4月段階で同国はなんと101番目だ。サッカー後進国のリビア(90)、シリア(97)、タイ(96)よりも低い。同国と共催するスイスでも48番目だ。欧州サッカー選手権ホスト国のFIFAランキングが100以下ということは、これまでなかったことだ。
 だから、大会運営ではまったく心配していないFIFA関係者も、同国チームの実力には密かに懸念している(同国チームは昨年1年間、1度しか勝っていない)。1部リーグ戦に2部リーグのチームが参加するようなものだからだ。
 同国サッカー協会関係者の心配はもっと深刻だ。グループ戦をクリアすれば、各選手に5万ユーロ、準決勝まできたら、監督には10万ユーロのボーナスを与えるなど、監督、選手に人参をちらつかせ、懸命に鼓舞しているところだ。
 オーストリアに長い間お世話になっている手前、当方はもちろん、オーストリア・ファンだ。FIFAランキング101番という嘲笑に負けず、同国チームがその意地を見せ、W杯のドイツ・チームのように、“ウィーンの奇跡”が起きる事を期待している。