駐オーストリアの北朝鮮大使館で10日夜、同国の故金日成主席の生誕日(4月15日)を祝う祝賀会が開催された。約40人のゲストを迎え、金大使が10分余り挨拶をした後、故金主席が生前、子供たちをいかに愛していたかを描いたビデオの観賞が行われた。
 ところで、大使館前の写真展示場には故金主席に関連した10枚余りの写真が掲示されていたが、その写真展のテーマは「国民経済の自立を目指して」というものだった。
 「われらの偉大な指導者・金主席は国民経済の自立基盤構築のために生涯を投入された。金主席は国民の英知と努力を総動員するために積極的に現地視察を行った」と説明し、自立経済路線の成果としては、1万トンの圧搾機、水力発動機、NC工作機などの開発を挙げている。
 しかし、北朝鮮の国民経済は目下、自立どころか、韓国を含む国際社会からの支援でかろうじて存続している状況だ。今年も100万トンの食糧不足から多数の国民が飢餓に直面すると予想されているほどだ。国際支援に依存した国民経済……、これが北朝鮮の現実だ。そんなことを考えると、写真展の内容が白々しくなってくる。
 北朝鮮外交官は「現実と公約」の乖離をどのように受け止めているのだろうか。一度、聞いてみたことがある。その時の答えは、「米国が朝鮮半島を分断し、韓国を植民地化する一方、わが国の経済発展を常に妨害してきた。そのため、わが国の経済は発展できないのだ」というものだった。故金主席が標榜した「国民経済の自主路線」が失敗した、とは口が裂けてもいわない。
 故金主席の息子・金正日労働党総書記は訪中して中国経済の発展の凄さを自分の目で目撃し、2002年7月には「経済管理措置」を実施して自主経営を導入するなどの具体的な改革に乗り出す一方、開城工業団地を設置するなど、経済特別区をオープンしてきた。しかし、抜本的な経済改革ではないため、その成果は常に限定付き、という宿命に甘んじなければならなかった。
 ここにきて、北朝鮮は韓国の李明博大統領が提案した「非核・解放3000」構想を「米国の対北敵対政策を模倣したものに過ぎない」として拒否している。なにか、破れかぶれ、といった印象を受ける。