セルビア共和国帰属のコソボ自治州は17日、議会で独立宣言を表明した。コソボ自治州の独立は欧州47番目の国家の誕生となる。民族紛争で多大の犠牲者を出してきたアルバニア系コソボ住民にとって、独立宣言は支配民族セルビアからの解放を意味する一方、セルビア民族にとって、領土約13%の喪失を意味する。
 ところで、新しい国家が誕生すれば、国旗も一つ増え、国連内のシートも一席増す。モンテネグロが独立国家(2006年6月)となり、国連加盟した直後、ウィーンの国連でも同国の国旗掲揚式が行われた。同式典を見ながら、当方は「世界は緩やかだが統合に向かっている一方、人口約60万人の新しい小国家がまた生まれた。統合と解体・分裂という相反するプロセスが同時進行している」と強く感じたものだ。
 欧州連合(EU)は最初、6カ国から成る欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)として出発し、加盟国も15カ国、25カ国、そして現行の27カ国体制となっていったが、加盟国が増加するのにつれ、経済統合から次第に外交・政治の統合を目指す段階に入ってきている。アフリカでもEUに倣い、53カ国からなるアフリカ連合(AU)が設立された。アジアでも東南アジア諸国連合(ASEAN)が拡大するなど、世界の流れは間違いなく統合に向かっている。
 同時に、それに反するように、旧ソ連邦と旧ユーゴスラビア連邦の解体を契機に、数多くの小国家が誕生した。その流れは今も続いている。固有の国家を有さない最大民族クルド人を筆頭に、イスラエルに追放されたパレスチナ人、ロシアのチェチェン人、スペインのバスク人など、コソボと同様、独立国家を目指す民族が多数、控えている。
 欧州の政治学者は「強国に支配されきた民族は独自の国家を樹立することでしか高揚した民族主義を鎮静化できない。統合プロセスへの参画はその後とならざるを得ない」と分析している。すなわち、被支配民族は独自の国家建設というプロセスを通過しない限り、その民族主義を昇華し、統合プロセスに参加できないというわけだ。換言すれば、「独立宣言」は民族主義という爆発性の高いガスの抜き取り作業ともいえるわけだ。
 長期的観点からみるならば、コソボは将来、主権国家としてEU統合プロセスに参加し、そこで再び、過去の盟主セルビアと共存する道を模索していくことになるのだろうか。