セルビア共和国帰属のコソボ自治州は来年初めにも独立宣言する意向だが、同自治州の独立はセルビア経済に大きな恩恵をもたらすだろう。ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)の旧ユーゴスラビア連邦経済専門家のウラジーミル・グリゴロフ教授は当方との会見の中でこのように説明しながら、「皮肉なことだが、政治的観点からは容認できないコソボの独立も、経済的側面からみれば、セルビア経済の発展に大きな恩恵となる」と主張するのだ。
教授によれば、「コソボ経済が回復し、中小企業が活発化すれば、その最大の恩恵を受けるのはセルビア経済だ。コソボには地下資源、特に褐炭が豊富であり、セルビア側もその利点を利用できる。セルビアはコソボ最大の貿易国となるだろう」という。
セルビア共和国とコソボ自治州は過去1年間以上、自治州の最終地位問題で直接交渉を重ねてきたが、コソボは「独立」を、セルビア側は「自治権拡大OK、独立反対」の立場を固守し、交渉ではいかなる合意も実現できずに終わった経緯がある。
ところで、教授が懸念する点は、欧州連合(EU)がコソボの独立を容認した場合、セルビア側はその後、EUとの関係が難しくなるのではないか、ということだ。EUがコソボ独立承認の代償として、セルビアの欧州統合プロセスの促進を約束したとしても、セルビア側にその善意が通じるかどうかは分からないからだ。
セルビアでは来年、大統領選、地方自治体選が実施されるが、EUとの関係問題が選挙の大きな争点となることは必至だ。民族派政党がアンチEU路線を有権者に訴えて支持を獲得する可能性だって十分考えられる。だから、グリゴロフ教授は「セルビアは来年、将来の方向について重要な政治決断を強いられることになる」とみている。
いずれにしても、バルカンの政情安定はEUの発展にとっても不可欠な条件だ。そのバルカンの盟主・セルビアの動向は、それゆえに、欧州の発展の死活を握っている、ともいえるだろう。
教授によれば、「コソボ経済が回復し、中小企業が活発化すれば、その最大の恩恵を受けるのはセルビア経済だ。コソボには地下資源、特に褐炭が豊富であり、セルビア側もその利点を利用できる。セルビアはコソボ最大の貿易国となるだろう」という。
セルビア共和国とコソボ自治州は過去1年間以上、自治州の最終地位問題で直接交渉を重ねてきたが、コソボは「独立」を、セルビア側は「自治権拡大OK、独立反対」の立場を固守し、交渉ではいかなる合意も実現できずに終わった経緯がある。
ところで、教授が懸念する点は、欧州連合(EU)がコソボの独立を容認した場合、セルビア側はその後、EUとの関係が難しくなるのではないか、ということだ。EUがコソボ独立承認の代償として、セルビアの欧州統合プロセスの促進を約束したとしても、セルビア側にその善意が通じるかどうかは分からないからだ。
セルビアでは来年、大統領選、地方自治体選が実施されるが、EUとの関係問題が選挙の大きな争点となることは必至だ。民族派政党がアンチEU路線を有権者に訴えて支持を獲得する可能性だって十分考えられる。だから、グリゴロフ教授は「セルビアは来年、将来の方向について重要な政治決断を強いられることになる」とみている。
いずれにしても、バルカンの政情安定はEUの発展にとっても不可欠な条件だ。そのバルカンの盟主・セルビアの動向は、それゆえに、欧州の発展の死活を握っている、ともいえるだろう。