欧州連合(EU)内の域外境界線を決めたシェンゲン協定の範囲の拡大に伴い、今月21日零時から24カ国、約4億人の欧州国民は出入国審査を受けずに域内を自由に往来できるようになった(陸路だけ。空路は来年春以降)。オーストリアのオトマル・カラス欧州議会議員は20日、ウィーンでの記者会見で、「18年目前にオーストリア・ハンガリー間の“鉄のカーテン”が撤廃されたが、第2の鉄のカーテンというべきシェンゲン協定の域外国境線、対ハンガリー、対チェコ、対スロベニア、対スロバキアの境界線(総距離約1300キロ)が撤廃され、自由に往来出来るようになった。シェンゲン協定の拡大は国民に自由と喜びを与える歴史的な日だ」と少々、興奮しながら語り、「スイスとリヒテンシュタインがシェンゲンに加盟した日には、オーストリアの域外国境線はなくなり、わが国は文字通りに欧州の中心に位置することになる」と説明した。
もちろん、「自由な人、ものの移動」は素晴らしいことだ。経済的にも、域外境界線の監視のために配置してきた警備員を国内の警備強化に配置移動できる。また、境界線での出入国管理がなくなれば、待ち時間もなく、自動車が放出するCO2も減少するだろう。
このように書けば、全てが好い事ばかり、といった印象を与えるが、そうではない。太陽が出れば、影も出てくるように、境界線の往来が自由化すれば、それだけ治安問題や不法移住者問題が更に深刻化することが予想されるからだ。実際、オーストリア国民の過半数は「治安の悪化」を懸念している。これまで域外境界線であったオーストリアのブルゲンラント州南部では、急増する犯罪に対応する為に自衛用の武器を購入する住民が増えてきた、という情報もあるほどだ。
カラス議員は「組織犯罪グループが境界線の撤廃を悪用する危険性はある。自由は危険も伴うからだ。そのために、シェンゲン情報システムが重要となる。幸い、同システムは機能している。犯罪者の動向は即時、全ての加盟国に通達できる体制を敷いている」と述べた。
もちろん、「自由な人、ものの移動」は素晴らしいことだ。経済的にも、域外境界線の監視のために配置してきた警備員を国内の警備強化に配置移動できる。また、境界線での出入国管理がなくなれば、待ち時間もなく、自動車が放出するCO2も減少するだろう。
このように書けば、全てが好い事ばかり、といった印象を与えるが、そうではない。太陽が出れば、影も出てくるように、境界線の往来が自由化すれば、それだけ治安問題や不法移住者問題が更に深刻化することが予想されるからだ。実際、オーストリア国民の過半数は「治安の悪化」を懸念している。これまで域外境界線であったオーストリアのブルゲンラント州南部では、急増する犯罪に対応する為に自衛用の武器を購入する住民が増えてきた、という情報もあるほどだ。
カラス議員は「組織犯罪グループが境界線の撤廃を悪用する危険性はある。自由は危険も伴うからだ。そのために、シェンゲン情報システムが重要となる。幸い、同システムは機能している。犯罪者の動向は即時、全ての加盟国に通達できる体制を敷いている」と述べた。