韓国は2014年度冬季五輪大会開催候補地争いで平昌市を擁立して戦ったが、グアテマラ市で行われた国際オリンピック委員会(IOC)の総会(7月4日)で、ロシアのソチ市に惜敗したばかりだ。敗北の無念さがまだ癒えていない中、韓国は現在、もう1つの挑戦に臨んでいる。2012年の万国博覧会(万博)開催地の誘致戦だ。
 パリに本部を置く万国博覧会国際事務局(BIE)が公式認定した候補地は、モロッコのタンジール市、ポーランドのウロツワフ市、そして韓国の麗水市の3都市だ。韓国側は昨年5月22日、立候補を表明した。今年6月にはパリのBIE総会でIT技術を駆使して海洋観光都市のイメージをアピールするプレゼンテーションをしたばかりだ。
 韓国の外交は今日、南北外交以外では麗水市の万博候補地の獲得を優先課題として掲げているという。同国の金雨植副首相兼科学技術相は国際原子力機関(IAEA)年次総会に参加するためにウィーン入りし、総会初日の17日午後に一般演説を終えたが、その前後のスケジュールは超多忙だった。オーストリアのフィッシャー大統領を表敬訪問したほか、19日にはグーゼンバウアー首相とも会談している。総会に参加した副首相の日程としてはかなり異例だ。知人の同国外交官に聞くと、12年度国際万博開催地問題で麗水市を売り込む目的があったからだという。
 金副首相は18日夜、ウィーン市内の日本レストランで夕食をしたが、1時間半で食事を切り上げると次の日程をこなす為に出て行ったほどだ。夕食もゆっくりとして取れない、といった感じだ。これもIAEA年次総会の為というより、12年度万博開催地の誘致外交のため、というわけだ。
 前回(2005年)の愛知万博には、121カ国4国際機関が参加して開催された。万博開催期間の185日間で2200万人を超える入場者があり、経済波及効果は数兆円にもなると見積もられた。万博開催は開催国の経済発展に大きな影響を及ぼすのだ。
 タンジール市はアフリカ初の万博開催を掲げて健闘し、ポーランドのウロツワフ市は麗水市と同様、2010年度の開催地争いで上海に苦杯をなめている。それだけに再挑戦にかける意気込みは凄い。麗水市も油断できない。
 なお、BIEは11月26、27日に第142次総会を開催し、12年度の開催地を決定する予定だ。