「アジア・ニュース」が23日、報じたところによれば、北朝鮮当局はローマ・カトリック教会使節団が国内の病院を訪問し、結核患者を慰問することを初めて認可したという。カトリック教会は北朝鮮で病院の建設などを支援してきた。同教会によれば、北朝鮮国民の10%は結核に悩まされているが、同国には治療施設から医薬品まで欠乏しているという。
 海外の宗教団体の慈善活動が認められたことは朗報だが、宣教や伝道活動が認知されたわけではないから、両手を挙げて「万歳」と喜ぶわけにはいかない。その上、韓国の脱北団体「北朝鮮民主化委員会」が21日、「北朝鮮ではキリスト教徒と判明すれば強制収容者に送られている」というショッキングな報告を明らかにしたばかりだ。
 その一方、平壌で昨年8月、ロシア正教会会堂の献堂式がキリル府主教を迎え挙行されているし、ロシア正教会モスクワ神学校で学んできた4人の北朝鮮留学生が一昨年5月、卒業するなど、一定の宗教活動が容認されてきた兆候も無視できないだろう。
 韓国側の情報によれば、北朝鮮にはカトリック教会1カ所、プロテスタント教会2カ所、そして正教堂1カ所、とキリスト教3派の建物が存在している。もちろん、教会建物が即、「宗教の自由」を実証するものではない。北朝鮮カトリック教会指導者が「わが国は憲法5章68条に基づき、完全な信仰の自由が保証されている」と説明するが、この発言は明らかに当局のプロパガンダに加担したものに過ぎないだろう。
 ところで、米国宗教専門サイトが先日、「世界主要宗教の信者数」を発表したが、そこで北朝鮮の国是、主体思想を「宗教」と見なし、主体思想信者数を1900万人と推定、信者数で「世界第10位の宗教団体」と位置付けている。その数はユダヤ教徒(1400万人)よりも遥かに多い。共産主義イデオロギーが一種の偽宗教といわれて久しいが、主体思想が宗教体系を内包した思想という判断は正しいだろう(信者数のトップはキリスト教で21億人、第2イスラム教13億人、第3無宗教者11億人)。
 このように見ていくと、主体思想を国家宗教とする北朝鮮当局が他の宗教団体の国内宣教活動を迫害するのは、「宗教の自由」の欠如云々ではなく、ロシア正教当局が冷戦後、国内で宣教活動を活発化するカトリック教会に対し、「正教徒をカトリック信者に改宗させている」と批判し、同教会宣教師の査証発行を妨害するのと同じ対応ではないか。換言すれば、北朝鮮当局は他の宗教団体による国民の「改宗」を恐れている、といえるわけだ。