ロシアのプーチン大統領が23日、オーストリアを公式訪問し、フィッシャー大統領らホスト国の政府首脳らと会談したが、記者会見の場で決して公表されなかった内緒話があった―はずだ。それは2014年冬季五輪大会開催地問題で両国間の取引だ。
 オーストリアは14年度冬季五輪の開催地にザルツブルク市を、ロシアはソチ市を擁立している。それに韓国の平昌市を加えて、3都市が誘致争いをしている。国際オリンピック委員会(IOC)は7月初めに開催されるグアテマラ総会で開催地を決定する。立候補地を抱える国はあらゆる機会を利用して最後の誘致合戦を展開させているところだ。
 総会の第1回投票で当選可能な過半数の票を獲得できる候補地はないはずだ。そこで第1回投票の上位2都市で決選投票が実施される。その際、落選した都市を支持したIOC票の動向が当落の鍵を握ることになる。
 次に、(当方が描く)内緒話に移ろう。プーチン大統領曰く、「同士、ハインツ(フィッシャー大統領)、ここは紳士協定を締結すべきではないか。ソチ市かザルツブルク市が第1回投票で惜しくも落選した場合、決選投票ではわれわれ相手国の候補地を支持することにしたらどうだろうか。韓国の候補地は強い。ここはお互いに助け合うべきだ」。
 フィッシャー大統領は少し驚き、モスクワのゲストの顔を見ながら、「いやー、それはいい考えだ。わが国もザルツブルク市がダメとなれば、欧州の一員でもあるロシアの開催地を応援することに異存はない。でも逆の場合にはザルツブルクを忘れないでほしい」と相槌を打ち、テーブルの上にあったシャンペンをとって乾杯した、ということだ。両大統領はこの話を絶対にメディアに公表しないことで一致したことはいうまでもない。
 14年度冬季五輪開催にかけるプーチン大統領の熱意はすごい。新興財団(オリガルヒ)を総動員させ、インフラ整備に当たらせる一方、テニスの女王マリア・シャラポワ選手らを駆使して熱いメセージを世界に発信させている。
 ローテーション原則から判断すると、ソチ市は最も有利だ。冷戦時代のため欧米主要国が不参加した中で開かれたモスクワ大会(1980)以降、五輪大会が開催されていないからだ。ただし、懸念される点は、ソチ市が国際冬季スポーツ大会を開催した経験に欠けること、インフラ整備がまだ不十分ということだろうか。
 プーチン大統領は新生ロシアを世界にアピールする機会としてソチ冬季五輪大会の開催を考えているといわれる。しかし、それだけではないだろう。ソチ市の五輪開催が決定すれば、2012年の大統領選にプーチン大統領の再登場の道が自ずから開かれるからだ。ロシア憲法によれば、大統領の3選は禁止されているが、一任期(4年間)途切れば、前大統領の再出馬は認められているからだ。