韓国の盧武鉉大統領が任期中に北朝鮮最高指導者・金正日労働党総書記と南北首脳会談を開催する意向だが、同サミット会談が年末に実施される韓国大統領選に影響を与えることは必至だ。だから、野党勢力はサミット会談を大統領選に利用すべきではないと警告を発してきたわけだ。
 先ず、一般論を述べてみたい。あと数カ月で任期が終わる大統領は、もはや何らかの政治的拘束のある合意を外国と締結できない。なぜならば、あと数カ月で選出される新任大統領に外交上の拘束を与える結果となるからだ。相手国にとっても、政治合意が出来ない大統領とトップ会談を開いても意味がない。極端にいえば、相手国に対して非礼ともなる。
 具体的にいう。盧武鉉大統領は南北両国の将来に関する政治合意を北朝鮮と締結できない時期に入ってきている。なぜならば、あと数カ月で後任大統領が選出されるからだ。北朝鮮との首脳会談は新任大統領に委ねるべき政治課題となる。
 例を挙げてみよう。シラク仏前大統領は同国大統領選直前(5月6日実施)、ロシアと重要な外交文書に締結はできない。そのようなことをすれば、数日後に選出される新任大統領(サルコジ氏)の外交力を拘束することになるからだ。もちろん、ロシア側も応じないだろう。
 それにもかかわらず、盧武鉉大統領が首脳会談開催に固守する場合、金総書記とサミット会談を開催することで太陽政策の継続を確認する一方、年末の大統領選で太陽政策支持候補者を擁護したいという政治的狙いがあるからだ、といわざるを得なくなる。
 一方、北朝鮮の場合は異なる。すなわち、新任大統領が太陽政策の継続者であることが非常に重要だ。だから、盧武鉉大統領の願いに応じて、年内に南北首脳会談に応じる可能性は高い。
 興味をひく点は、金大中元大統領が今月14日、ドイツ訪問先で「盧武鉉大統領が南北サミット会談を開きたいならば、下半期前に実施すべきだ」と指摘していることだ。正しい政治判断だ。
 このように見てくると、盧武鉉大統領が南北首脳会談を開催できる時間は制約されてきたといえる。遅くとも今夏前までだろう。それ以後の開催は、北朝鮮側が応じたとしても、「大統領選を狙った政治的サミット会談」という批判が付きまとうはずだ。