国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が来月にも北朝鮮を訪問する予定だが、平壌指導部がIAEA事務局長をどのように見ているかを少し紹介する。訪朝が実りあるものとなるかどうかは、招請側との人間関係が大きな影響を与えると考えるからだ。
北朝鮮の第1次核危機は、同国がIAEA側の特別査察実施要求を拒否したことから生じたが、その特別査察の核保障措置協定(核査察)の法的整備を構築した張本人が当時IAEAの法律顧問を努めていたエルバラダイ事務局長であったという事実を想起すべきだろう。
1990年代のIAEA担当北朝鮮外交官のユン・ホジン参事官が当時、「あいつ(エルバラダイ事務局長)はわが国に特別査察を要求した責任者だ。わが国があいつにどのような思いを持っているか分かるだろう」と述べ、エルバラダイ事務局長に不快感を露わにしたことを今でも鮮明に憶えている。
IAEAには1人の北朝鮮人査察官が働いていた。金石季氏だ。同氏は2003年に定年を迎えIAEAを退職した。金査察官は「エルバラダイ事務局長は北朝鮮職員を雇用する意思はもはやない」と述べていたが、その通りとなった。金査察官の退職後、北朝鮮とIAEAを繋ぐパイプは消滅した。それに先立ち、北朝鮮は02年12月、寧辺の核関連施設を査察してきたIAEA査察官を国外退去している。
ちなみに、北朝鮮が03年、核拡散防止条約(NPT)とIAEAから脱退した後、駐国連機関担当の北朝鮮外交官とIAEA査察局アジア部のチトンボー部長はIAEA本部で不定期的に会い、コーヒーを飲みながら意見の交換を重ねてきたが、それは政府代表とIAEA間の非公式協議といった性格ではなかった。
6カ国協議の合意文書の履行という大義を掲げて訪朝する今回、エルバラダイ事務局長には北朝鮮での評判の悪さにとらわれず、平壌指導部に核放棄に向けた「初期段階の措置」の真摯な履行を強く要求してもらいたいものだ。
北朝鮮の第1次核危機は、同国がIAEA側の特別査察実施要求を拒否したことから生じたが、その特別査察の核保障措置協定(核査察)の法的整備を構築した張本人が当時IAEAの法律顧問を努めていたエルバラダイ事務局長であったという事実を想起すべきだろう。
1990年代のIAEA担当北朝鮮外交官のユン・ホジン参事官が当時、「あいつ(エルバラダイ事務局長)はわが国に特別査察を要求した責任者だ。わが国があいつにどのような思いを持っているか分かるだろう」と述べ、エルバラダイ事務局長に不快感を露わにしたことを今でも鮮明に憶えている。
IAEAには1人の北朝鮮人査察官が働いていた。金石季氏だ。同氏は2003年に定年を迎えIAEAを退職した。金査察官は「エルバラダイ事務局長は北朝鮮職員を雇用する意思はもはやない」と述べていたが、その通りとなった。金査察官の退職後、北朝鮮とIAEAを繋ぐパイプは消滅した。それに先立ち、北朝鮮は02年12月、寧辺の核関連施設を査察してきたIAEA査察官を国外退去している。
ちなみに、北朝鮮が03年、核拡散防止条約(NPT)とIAEAから脱退した後、駐国連機関担当の北朝鮮外交官とIAEA査察局アジア部のチトンボー部長はIAEA本部で不定期的に会い、コーヒーを飲みながら意見の交換を重ねてきたが、それは政府代表とIAEA間の非公式協議といった性格ではなかった。
6カ国協議の合意文書の履行という大義を掲げて訪朝する今回、エルバラダイ事務局長には北朝鮮での評判の悪さにとらわれず、平壌指導部に核放棄に向けた「初期段階の措置」の真摯な履行を強く要求してもらいたいものだ。