ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁の「統一とミッションのための国際聖公会・カトリック教委員会」(IARCCM)は20日、英国国教会(聖公会)とローマ・カトリック教会の歴史的な和解が近いと報じた英紙タイムズ(19日付)の報道を否定する声明文を公表した。
 聖公会はここ数年、保守派とリベラル派で内部分裂を深めてきている。タンザニアで今月19日まで開催された聖公会指導者会議(世界聖公会信者数は約7800万人)では、女性聖職者を任命し、同性愛者を公認する米国聖公会(信者数約230万人)のリベラル派聖職者に対し、保守派指導者が「6カ月以内に従来のリベラルな路線から決別しなければない」という決議案を採択して最後通牒を突きつけたばかりだ。
 米聖公会では昨年11月、ワシントンで、同性愛者を公認する女性聖職者キャサリン・ジェファーツショリ主教の第26代首座主教認証式が挙行されたが、そのリベラルな路線に反発する保守派聖職者との間で亀裂が表面化し、分離教会が続出し、資産分割問題で法的闘争が行われるなど、内部分裂が一層深まってきている。
 それで「聖公会の保守派聖職者がローマ法王の権威を認知してローマ・カトリック教会と和解する可能性が出てきた」という声が聞かれ出したのだ。それを受ける形で、英紙タイムズは「聖公会とカトリック教会は和解に向けた提案を年内に行う」と報じたというわけだ。
 ちなみに、英国国王ヘンリー8世が1534年、離婚を認めないローマ法王から決別して独自教会(聖公会)を創設して以来、カトリック教会と関係を断って来た経緯がある。
 バチカン法王庁が「聖公会との歴史的な和解」報道をあっさり否定した背景には、世界のローマ・カトリック教会内に程度の差こそあれ同性愛支持者の聖職者や女性聖職者任命を支持する聖職者がいるからだ。リベラルな聖公会聖職者を切り離して保守派聖職者を吸収するような和解はカトリック教会内にも大きな波紋を及ぼす事は必至だ。そのため、バチカン側が異例と思えるほど迅速に対応し、英紙報道を否定する声明文を公表した、というのが舞台裏ではないだろうか。
 ローマ・カトリック教会の最高指導者、ローマ法王べネディクト16世は先月23日、「キリスト教の統合は長く、困難な旅だ」と述べたが、残念ながらその旅はここ暫くは続くだろう。