創設30周年を迎えた北朝鮮の欧州最大フロント組織「朝鮮再統一・平和のための国際連絡委員会」(CILRECO、本部パリ)から19日、新しい会報メールが届いたから、読者の皆さんと分かち合いたい。
 会報の最初の出足には、太字で「コリアの独立再統一への国際連帯のためにコリア民族の愛国的統合への主導的なアピール」といった内容の激文が掲載されている。そして「国の再統一はコリア民族の死活問題だ」と強調して、「このプロセスは2000年6月15日の南北共同宣言のお陰で歴史的に新しい段階に入った」と説明している、といった具合だ。
 とにかく、元気のいい文章が続く。もちろん、CILRECOの会報メールの内容はほどんどが北朝鮮労働新聞のリライティングだ。その意味で、新しい内容はないが、行間に本音がちっらと垣間見えることがあるから、CILRECO会報メールを直ぐ「ゴミ箱」に捨てるわけにはいかないのだ。
 会報では最重要ポイントとして、「南北は1つだ。北なくして国はなく、南なくしても長く存在できる国とならない。南北分断は民族の国益に合致しない」と記述している。そこには、1980年代にみられた、赤裸々な北朝鮮の韓国吸収論はない。民族の愛国心を鼓舞することで南北の再統一を実現する、といったソフトな政策が前面に出てきている。だから、「朝鮮半島での武装闘争を回避しなければならない」と訴え、「国内ばかりか海外居住の全てのコリアンは南北共同宣言を支持し、死守しなければならない」と呼びかけているわけだ。その上で、「コリア民族の独立再統合の最大障害であり、朝鮮半島の紛争の主因である、韓国駐留の全米軍の撤退」を何時ものように要求する、といった具合だ。
 当方は昨年末、「北朝鮮最高指導者の金正日労働党総書記が来年、65歳を迎えるから、世界のフロント組織が総動員されて、活発なプロパガンダが展開されるだろう」と予想するコラムを書いたが、欧州の北朝鮮フロント組織CILRECOは早速、その任務を忠実に果たしているわけだ。
 昨年10月の核実験で自信を深めた金正日労働党総書記は今年を「核保有国認知」元年として位置付け、活発な外交・メディア政策を展開していくことが予想される。それに呼応するように、CILRECO会報メールは益々、“元気良くなり”饒舌となっていくだろう。