ドイツの代表紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)は7日、偽造米紙幣(スーパーダラー)を製造しているのは北朝鮮ではなく、米中央情報局(CIA)だ」というショッキングな記事を掲載した。ドイツの有力紙のこの報道に対し、米国側は即、反応し、「そんなことはありえない。荒唐無稽だ」と、文字通り一蹴している。大部分の欧米メディアは「情報の信頼性に問題がある」と判断し、記事の転載や引用を避けている。ただ、韓国メディア(朝鮮日報)が紹介しているだけだ。
 ところが、当方はちょうど10年前の1997年、ある外交官から「米国がアフリカ用に特別なドル紙幣を使用している」という話を聞いたことがある。それによると、通称「ブラック・ドル」と呼ばれるドル紙幣は文字通り紙幣の表面は真っ黒だが、特別な化学液体をかければ、その色が落ちて本物の紙幣が現れてくるようになっている。大量紙幣の運送の安全のために、紙幣と化学液体は通常、別々に運ばれるという。米国はアフリカではその紙幣を久しく使用してきたという。
 例えば、米国は1989年、ダイヤモンドや鉄鉱石などの地下資源に恵まれたリベリアで、当時のドウ政権が米国離れを示すと、素早く武装勢力を結成し、同政権打倒に乗り出したことがある。その資金源は米国から提供されたが、そのドル紙幣は通常の紙幣ではなく、ブラック・ドル紙幣だった可能性がある。ただし、それは「偽造紙幣」ではなく「戦略用紙幣」というべきだろう。なぜならば、米政府自体がそれに関与しているからだ。
 ちなみに、アフリカ大陸では、米国やフランス、ここにきて中国が地下資源の利権独占のために地元の武装勢力を扇動、自国の武器を購入させて紛争を起こさせ、漁夫の利を得るために、熾烈な外交戦を展開していることは周知の事実だ。その手先というべき情報機関はアフリカで西側メディアの目が少ない事をいいことに、要人殺人計画や武装蜂起の画策など、さまざまな非常手段を駆使してきた。アフリカ大陸では、欧米が誇る「人権外交」は影が薄いわけだ。「ブラック・ドル紙幣」もその一環だ。
 FAZの報道とは異なり、当方は北朝鮮が偽造米ドル紙幣を製造していると信じている。一方、少なくともある期間、米国は対アフリカ戦略用にもう1つのドル紙幣を使用していたと見ている。