ウィーン少年合唱団は天使の歌声と呼ばれ、その名は世界に知られている。その世界的な少年コーラス団の保護者会会長を務めるヘルバート・フリザッハー氏と会食する機会があった。同氏は今月7日、少年合唱団の保護者会会長(任期1年間)に選出されたばかりだ。
 ウィーン少年合唱団には10歳から14歳までの約100人の少年が所属し、4コーラス団に分かれている。各コーラス団は「アントン・ブルックナー」「ヨーゼフ・ハイドン」「ウォルフガング・モーツァルト」、そして「フランツ・シューベルト」といった世界的作曲家の名称で呼ばれる。4コーラス団は国内や海外で年平均300回のコンサートに参加する。(www.wsk.at)
 ウィーン少年合唱団には国際結婚の両親が多く、子弟を合唱団に所属させることを誇りとしている。フリザッハー氏によれば、「2人の日本人少年が合唱団に所属している。合唱団に入るために日本からウィーンに来た」という。その他、ドイツ、米国、スイス、イタリアからも少年が参加している。
 合唱団に入るには、筆記試験はなく、歌唱力と声の質がチェックされ、合格すれば入団できる。ただし、集団生活への適応力や性格が重要となる。少年たちは週日、寄宿舎生活で学校とコーラスの練習、コンサートと多忙なスケジュールをこなす。
 オーストリアでは一時期、ウィーン少年合唱団に子弟を送るのを躊躇する傾向が見られた。それについて、フリザッハー氏は「オーストリアの家庭は通常子供1人だ。その子供を寄宿舎生活させるのを両親が嫌う傾向があった」と説明、同国の少子化を指摘する一方、「幸い、ウィーン少年合唱団に応募する子供が増えてきている」という。
 声変わりする14歳になれば、少年たちは合唱団から卒業して、通常の学校に通う。フリザッハー氏は「合唱団での4年間、集団生活を学び、世界を旅することで見識が大きくなる。卒業しても合唱団時代の4年間を懐かしむ子供たちが多い。合唱団での生活は子供の成長にいい影響を及ぼしている」と強調した。ちなみに、ウィーン少年合唱団卒の著名人には作曲家フランツ・シューベルトがいる。
 フリザッハー氏は「日本人ファンの皆さんに良い知らせがある。ウィーン少年合唱団が来年5月から6月にかけて日本でコンサートを開く予定だ」と明らかにしてくれた。天使の歌声が再び日本全土に響き渡ることだろう。