トランプ米大統領は30日、核実験の即再開を米国務総省に指示した。同大統領は自身のプラットフォーム「Truth Social」に投稿し、「他国の核実験計画を踏まえ、私は国防総省に対し、公平な条件で我が国の核兵器実験を開始するよう指示した。このプロセスは直ちに開始される」と述べた。実験対象となる核兵器や核実験の種類(大気圏内、地下、大気圏外、水中)については言及されていない。

▲中国の最初の核実験(1964年10月16日、CTBTO公式サイトから)
トランプ氏の核実験再開宣言は、韓国で中国の習近平国家主席と会談する直前に出された。核実験の主な目的は、核兵器の開発・性能確認と性能維持だ。また、核爆発を伴わない臨界前核実験という形では、核兵器の近代化や維持管理に必要なデータを収集する目的がある。
西側の核専門家は「トランプ氏の核実験再開宣言はロシアや中国へのプレゼントとなる」という。米国が核実験を実施すれば、両国は国際社会から大きな批判を受けずに堂々と核実験できるからだ。特に、中国にとって核実験の回数が米国やロシアと比較して圧倒的に少ない。核実験を増やすことで核兵器の性能を向上したいはずだ。
ちなみに、米国の核実験回数は約1030回、ロシア(旧ソ連時代を含む)715回、中国45回、フランス210回、英国45回だ。中国の回数が少ないことは明らかだ。トランプ氏は「4、5年も経過すれば、中国は我々と同じ水準になるはずだ」と警戒している。
米国が実施した最後の核実験は1992年9月23日だ。同年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は地下核実験のモラトリアムを発表した。米国が核実験を再開すれば33年ぶりとなる。国際社会からの批判は必至だ。また、ウイーンに拠点を置く包括的核実験禁止条約(CTBT)は決定的なダメージを受けるだろう。従来の核保有国5か国(米露中英仏)は核実験のモラトリアムを堅持してきたが、そのモラトリアムが消滅した場合、核の拡散にストップをかけることが一段と難しくなるからだ。
ところで、トランプ大統領が核実験の再開に踏み切った背景については、ロシアによる最近の核兵力の強化があると受け取られている。プーチン大統領は29日、ロシアが原子力ポセイドン型超大型魚雷の実験に成功したと宣言した。この魚雷の性能は大陸間弾道ミサイル「サルマート」を凌駕するという。米ロの専門家は、ポセイドンを海中に爆発させれば、放射能波を発生させ、沿岸都市を居住不能に陥れる可能性のある新たなタイプの報復兵器と位置付けている。
それに先立ち、ロシアは10月21日に新型のブレヴェスニク・ミサイルの試験を実施し、10月22日には核兵器演習を実施している。「ブレヴェスニク」(9M730)は、ロシアが開発中の原子力推進式巡航ミサイルだ。原子力エンジンによるほぼ無限の長距離飛行が可能で、アメリカのミサイル防衛網を突破することを目的としている。核弾頭を搭載できる。クレムリンは核ミサイルの配備準備に入ったという。北大西洋条約機構(NATO)では、9M730は「SSC-X-9スカイフォール」というコードネームで呼ばれている。
ロシアと中国の核戦力の強化に対し、米国は33年ぶりに核実験再開に踏み切らざるを得なくなったわけだ。ドイツ連邦情報機関関係者は「寛容、自制、そして寛大さは、ロシアのような敵対国にとっては弱さとして解釈される」と警告を発していた。トランプ氏は露中に米国の「力」を見せつけたくなったのだろう。ただし、それは危険が伴う冒険だ。

▲中国の最初の核実験(1964年10月16日、CTBTO公式サイトから)
トランプ氏の核実験再開宣言は、韓国で中国の習近平国家主席と会談する直前に出された。核実験の主な目的は、核兵器の開発・性能確認と性能維持だ。また、核爆発を伴わない臨界前核実験という形では、核兵器の近代化や維持管理に必要なデータを収集する目的がある。
西側の核専門家は「トランプ氏の核実験再開宣言はロシアや中国へのプレゼントとなる」という。米国が核実験を実施すれば、両国は国際社会から大きな批判を受けずに堂々と核実験できるからだ。特に、中国にとって核実験の回数が米国やロシアと比較して圧倒的に少ない。核実験を増やすことで核兵器の性能を向上したいはずだ。
ちなみに、米国の核実験回数は約1030回、ロシア(旧ソ連時代を含む)715回、中国45回、フランス210回、英国45回だ。中国の回数が少ないことは明らかだ。トランプ氏は「4、5年も経過すれば、中国は我々と同じ水準になるはずだ」と警戒している。
米国が実施した最後の核実験は1992年9月23日だ。同年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は地下核実験のモラトリアムを発表した。米国が核実験を再開すれば33年ぶりとなる。国際社会からの批判は必至だ。また、ウイーンに拠点を置く包括的核実験禁止条約(CTBT)は決定的なダメージを受けるだろう。従来の核保有国5か国(米露中英仏)は核実験のモラトリアムを堅持してきたが、そのモラトリアムが消滅した場合、核の拡散にストップをかけることが一段と難しくなるからだ。
ところで、トランプ大統領が核実験の再開に踏み切った背景については、ロシアによる最近の核兵力の強化があると受け取られている。プーチン大統領は29日、ロシアが原子力ポセイドン型超大型魚雷の実験に成功したと宣言した。この魚雷の性能は大陸間弾道ミサイル「サルマート」を凌駕するという。米ロの専門家は、ポセイドンを海中に爆発させれば、放射能波を発生させ、沿岸都市を居住不能に陥れる可能性のある新たなタイプの報復兵器と位置付けている。
それに先立ち、ロシアは10月21日に新型のブレヴェスニク・ミサイルの試験を実施し、10月22日には核兵器演習を実施している。「ブレヴェスニク」(9M730)は、ロシアが開発中の原子力推進式巡航ミサイルだ。原子力エンジンによるほぼ無限の長距離飛行が可能で、アメリカのミサイル防衛網を突破することを目的としている。核弾頭を搭載できる。クレムリンは核ミサイルの配備準備に入ったという。北大西洋条約機構(NATO)では、9M730は「SSC-X-9スカイフォール」というコードネームで呼ばれている。
ロシアと中国の核戦力の強化に対し、米国は33年ぶりに核実験再開に踏み切らざるを得なくなったわけだ。ドイツ連邦情報機関関係者は「寛容、自制、そして寛大さは、ロシアのような敵対国にとっては弱さとして解釈される」と警告を発していた。トランプ氏は露中に米国の「力」を見せつけたくなったのだろう。ただし、それは危険が伴う冒険だ。









