アナバステスト運動をご存じだろうか。幼児洗礼を拒否し、成人になってからの意識的な洗礼を重視することで再洗礼派と呼ばれ、絶対平等の社会と財産の共有などを主張する。この運動はプロテスタント思想とキリスト教共同体の発展に強い影響を与えた。

▲コンクラーベ参加有資格者の135人の枢機卿の顔写真、イタリア通信ANSAから
16世紀に起きた宗教改革の文脈から生まれ、今日でもメノナイト派、アーミッシュ派、フッター派などのグループに受け継がれている。アナバプテスト運動は、スイスの宗教改革者ツヴィングリから始まった改革運動から分かれてチューリッヒで台頭した急進的改革運動だ。そして最初の成人洗礼が行われてから今年で500年を迎えることから、運動の発祥地チューリッヒで記念イベントが行われた。
バチカンニュースが29日に報じたところによると、ローマ・カトリック教会最高指導者ローマ教皇レオ14世はアナバプテスト運動創設500年を契機にカトリック教会と和解し、その歴史を共同で検証するようにメッセージを送っている。
レオ14世は英語のメッセージで、「必要なのは、痛ましい傷や物語を含む我々の共通の歴史を振り返る際の誠実さと優しさだ」と記した。そして「真に和解したエキュメニカルな未来を築くためには、記憶の浄化と歴史の共通の再読が必要だ」と語っている。
宗教改革の本流から独立した同運動は創設後、カトリック教会と改革派教会の両方から何世紀にもわたる迫害を受けている。大人に洗礼を施した人,大人になって洗礼を受けた人は当時、死刑になる恐れもあった。例えば、同運動は1534年、ドイツのミュンスターで市政を掌握し、一種の共産主義社会を出現させたが、周辺の領邦と諸侯の攻撃を受け、1年後に崩壊した。
同運動はスイス、チロル、南ドイツに始まり、モラビアなど中欧全域に広まっていった。再洗礼派の基本的な信条は,1527年のミハエル・ザトラー起草の「シュライトハイム信仰告白」で明らかになっている。
なお、教皇はメッセージの中で、アナバプテスト運動の精神的な関心について言及し、「彼らの元々の関心はキリスト教の信仰を刷新したいという願望に特徴づけられた」と強調し、「戦争と分裂が蔓延する世界において、エキュメニズムには特別な責任がある。キリスト教徒の団結が深まるほど、平和の君であるキリストへの彼らの証言は、愛に満ちた出会いの文明を築く上で、より効果的となるだろう」と述べている。
最後に、レオ14世はアナバプテスト派への精神的な親近感を表明し、「私たちの兄弟愛が深まり、成長することを心からお祈りいたします」と述べている。
バチカンニュース(2025年5月29日)は「アナバプテスト運動は、福音に完全に志向した生き方をしようとする試みとして始まり、暴力の使用の放棄と、多くの人にとって財産の共有が含まれていた。教会への入会のためには、洗礼を受ける人の意識的な信仰と意志の行為が必要であると理解していた。そのため、幼児洗礼を拒否した。アナバプテスト派とその後継者たちの目には、信仰による洗礼だけが有効だ。今日、成人の洗礼はキリスト教において再び一般的な慣習となっている」と報じ、アナバプテスト運動の名誉回復をしている。
このコラム欄で「『洗礼』を受ける成人が増えてきた」(2020年8月25日)を書いたが、数はまだ少ないが、成人洗礼者が増えてきている。成人洗礼の場合、1年間の準備期間が必要だ。それから最初の聖体拝領を受けることになる。
ちなみに、日本の代表的カトリック作家・遠藤周作は「体に合わない服を勝手に着せられたような思いが付きまとった」と、自身の幼児洗礼の体験を表現している。

▲コンクラーベ参加有資格者の135人の枢機卿の顔写真、イタリア通信ANSAから
16世紀に起きた宗教改革の文脈から生まれ、今日でもメノナイト派、アーミッシュ派、フッター派などのグループに受け継がれている。アナバプテスト運動は、スイスの宗教改革者ツヴィングリから始まった改革運動から分かれてチューリッヒで台頭した急進的改革運動だ。そして最初の成人洗礼が行われてから今年で500年を迎えることから、運動の発祥地チューリッヒで記念イベントが行われた。
バチカンニュースが29日に報じたところによると、ローマ・カトリック教会最高指導者ローマ教皇レオ14世はアナバプテスト運動創設500年を契機にカトリック教会と和解し、その歴史を共同で検証するようにメッセージを送っている。
レオ14世は英語のメッセージで、「必要なのは、痛ましい傷や物語を含む我々の共通の歴史を振り返る際の誠実さと優しさだ」と記した。そして「真に和解したエキュメニカルな未来を築くためには、記憶の浄化と歴史の共通の再読が必要だ」と語っている。
宗教改革の本流から独立した同運動は創設後、カトリック教会と改革派教会の両方から何世紀にもわたる迫害を受けている。大人に洗礼を施した人,大人になって洗礼を受けた人は当時、死刑になる恐れもあった。例えば、同運動は1534年、ドイツのミュンスターで市政を掌握し、一種の共産主義社会を出現させたが、周辺の領邦と諸侯の攻撃を受け、1年後に崩壊した。
同運動はスイス、チロル、南ドイツに始まり、モラビアなど中欧全域に広まっていった。再洗礼派の基本的な信条は,1527年のミハエル・ザトラー起草の「シュライトハイム信仰告白」で明らかになっている。
なお、教皇はメッセージの中で、アナバプテスト運動の精神的な関心について言及し、「彼らの元々の関心はキリスト教の信仰を刷新したいという願望に特徴づけられた」と強調し、「戦争と分裂が蔓延する世界において、エキュメニズムには特別な責任がある。キリスト教徒の団結が深まるほど、平和の君であるキリストへの彼らの証言は、愛に満ちた出会いの文明を築く上で、より効果的となるだろう」と述べている。
最後に、レオ14世はアナバプテスト派への精神的な親近感を表明し、「私たちの兄弟愛が深まり、成長することを心からお祈りいたします」と述べている。
バチカンニュース(2025年5月29日)は「アナバプテスト運動は、福音に完全に志向した生き方をしようとする試みとして始まり、暴力の使用の放棄と、多くの人にとって財産の共有が含まれていた。教会への入会のためには、洗礼を受ける人の意識的な信仰と意志の行為が必要であると理解していた。そのため、幼児洗礼を拒否した。アナバプテスト派とその後継者たちの目には、信仰による洗礼だけが有効だ。今日、成人の洗礼はキリスト教において再び一般的な慣習となっている」と報じ、アナバプテスト運動の名誉回復をしている。
このコラム欄で「『洗礼』を受ける成人が増えてきた」(2020年8月25日)を書いたが、数はまだ少ないが、成人洗礼者が増えてきている。成人洗礼の場合、1年間の準備期間が必要だ。それから最初の聖体拝領を受けることになる。
ちなみに、日本の代表的カトリック作家・遠藤周作は「体に合わない服を勝手に着せられたような思いが付きまとった」と、自身の幼児洗礼の体験を表現している。