ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2017年04月

トランプ氏は本当に変わったのか

 トランプ米大統領の話に入る前に、テーマの関係上、現在キリスト教神学を構築した聖パウロの話に少し言及せざるを得ない。サウロ(改名前)は熱心なユダヤ教徒だった。ナザレのイエスの教えを信望するキリスト信者を弾圧することを神のみ心と考えてきた。サウロはキリスト者を迫害するためにダマスコへ向かう途上だった。その時、十字架で殺害されたイエスが突然出現、「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか」と問い詰める。激しい光を受けたサウロは目が見えなくなってしまった。アナニアというキリスト教徒がサウロのために祈るとサウロの目から鱗のようなものが落ちて、目が見えるようになった。

 復活したイエスを目撃したサウロは回心し、敬虔なイエスの弟子となった。サウロはパウロに改名し、世界の宣教に向かう。「使徒行伝」に記述されたこの話は「サウロの回心」として有名な箇所だ。

 それではトランプ氏の話に入る。トランプ氏の大統領選の公約を思い出してほしい。就任100日が過ぎる今日、トランプ氏の多くの公約は破棄され、修正されてきた。難民・移民対策の強化(壁建設)、就労ビザ発給の厳格化などを実施してきたが、トランプ氏があれほど破棄すると宣言してきたオバマケアは共和党内の不協和音のため代替案の撤回を余儀なくされたばかりだ。

 トランプ氏の変身は外交政策で顕著だ。「世界の警察官」になる気はないとし、「アメリカ・ファースト」を標榜してきたトランプ氏が現在、「世界の警察官」の役割を演じ出しているのだ。
 トランプ大統領は7日、地中海の米海軍駆逐艦からシリア中部のアサド軍のシャイラト空軍基地へ巡航ミサイル、トマホークを撃ち込む指令を出し、13日には、アフガニスタン東部のナンガルハル州のイスラム過激派テロ組織『イスラム国』(IS)の拠点に非核兵器では最高火力を持つ「MOAB」(GBU−43)を初めて投下させている。名目はIS壊滅だ。

 そしてトランプ氏は今、朝鮮半島に目を向け、軍隊を指揮し、独裁国家・北朝鮮問題の解決に意欲を示しているのだ。中国を「為替操作国」に認定すると表明してきたトランプ氏は習近平国家主席と会合し、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に積極的に関与せよと発破をかける一方、中国が対北制裁に真剣に取り組む姿勢を見せると、「為替操作国」の認定を見送るなど、ムチとアメで中国を説得する外交を展開させている。

 トランプ氏の目から「アメリカ・ファースト」の鱗を落とし、世界に目覚めさせたのは何だったのか。先ず考えられることは、米大統領が毎日情報機関から受ける最新の世界情報に関するブリーフィングだろう。ロシアの動き、イラン、北朝鮮、そして欧州諸国など世界主要国家の最新の動きに関する情報が大統領のテーブルに運ばれる。トランプ氏はそれらに接して、その世界観、政治観が変わっていったとしても不思議ではない。換言すれば、世界情報がトランプ氏を民族主義者から「世界の警察官」に変えていったというわけだ。

 興味深い点は、大統領選の参謀で、その政治路線の創案者だったスティ―ブン・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官のホワイトハウスでの地位低下と、トランプ氏の世界観の変化が同時進行していることだ。トランプ氏はバノン氏の民族主義的世界観の影響から脱皮し、世界の情勢を判断する目が開かれてきたのかもしれない。

 トランプ氏はロナルド・レーガン大統領(任期1981〜89年)を尊敬している。冷戦時代に西側の勝利をもたらしたレーガン氏のような大統領になりたい、といった願いがトランプ氏にはあるはずだ。

 トランプ氏は、経済政策では「アメリカ・ファースト」を維持する一方、外交・安保問題では「世界の警察官」の役割を担う考えかもしれない。例えが良くないが、どこか「国民生活の向上」と「核・弾道ミサイル開発推進」の並列路線を表明している北朝鮮の金正恩労働党委員長と似ている。

 トランプ氏は本当に変わったのか、現時点では即断できない。トランプ氏とロシアのプーチン大統領の首脳会談がまだ行われていないからだ。トランプ氏がプーチン氏とどのように渡り合うかを見なければならない。
 トランプ氏が21世紀の「サウロ」となり、世界の紛争解決に貢献する米大統領になるか、首尾一貫性のない、気まぐれな大統領に終始するか、予測するのは難しい。

犯罪捜査に求められる「超能力」

 当方は通常、午前4時前に起床し、簡単な朝食後、仕事に取り掛かる。そして正午ごろ、昼食を終えると、胃袋に血液が集中し頭に血が回らなくなる。そこで気分転換という意味から最近はAmazonプライムやネットフリックス(Netflix)が配信するサスペンス番組を1本、ないしは2本観る。以下は当方が観た範囲での米犯罪番組評だ。

fitness2_5592045
▲腕立てをする警察官(ORFのHPから)

 ネットフリックスとamazonプライムが製造し、配信する犯罪シリーズ番組を見ていて気がつく点は、時代の趨勢を反映してか、単にピストルを撃ち、犯人と格闘するシーンより、IT技術を駆使して犯罪捜査するストーリーや、FBIが超能力をもつ一般人をコンサルタントとして雇い、犯人を追及するストーリが増えてきていることだ。

 いつ頃からかと考えると、大きな転換となったのは多分、USAネットワーク制作の名探偵エイドリアン・モンク時代(2002〜09年放送)ではないか。妻を失い、強迫性障害に悩む警察官がその特殊な能力で犯人を追うストーリは人気を博し、日本でも放映された。そしてCBS制作の「メンタリスト」(2008〜15年)にもその傾向は受け継げられた。「メンタリスト」の主人公パトリック・ジェーンも名探偵モンクもピストルを撃ったり、犯人と格闘するシーンはほとんどない。視聴者は主人公が特殊な能力(観察力、分析力、予知力など)を駆使して犯人を見つけ出すプロットに惹かれていく。

 ちょっと変わったところでは、天災詐欺師がFBI捜査官に協力して犯罪を捜査するUSA制作の「ホワイトカラー」(2009〜2014年)や推理小説のベストセラ―作家がニューヨーク警察の女性警察官と一緒になって犯人を追う「キャッスル」(2009〜16年5月)も通常の警察物語にない面白さがあって成功している。

 特殊能力といえば、米CBS放送のテレビ番組「クリミナル・マインドFBI行動分析課」(2005年9月から放送中)に登場する捜査官の1人、スペンサー・リード博士は先天的映像記憶力の持ち主で、1度読んだ書物の内容を忘れない。最近では、「アンフォゲッタブル」の女刑事キャリー・ウェルズもその1人だ。1度見た人間、風景を決して忘れないという超記憶力の持ち主だ。

 英BBC放送の「シャーロックホームズ」ではシャーロック(べネディクト・カンバーバッチ主演)が捜査の中で「マインドパレス」という言葉を繰り返す。シャーロックの記憶パレスは脳内の海馬だろう。シャーロックは論理的な思考を駆使して犯人を追及していく。犯罪は過去に生じたものである限り、記憶が事件解明のカギとなるから当然だろう。

 ちなみに、米国の犯罪番組の傾向に反論するわけではないが、オーストリア国営放送は先日、警察官のフィットネスチェックについて報じていた。凶悪犯人を追う現場の警察官にはやはり体力と射撃技術が資本というのだ。ただし、オーストリアでも外国語能力があり、多方面に精通した若いエリートたちをリクルートすべきだという声が聞かれる。

 なお、オーストリア警察の名誉のために付け加えると、オーストリア警察官の評判は悪くない。特に、テロ対策特殊部隊コブラはドイツが誇る対テロ特殊部隊(GSG9)より能力が高いと評価されているほどだ。

エルドアン大統領が喜べない事情

 コラムのタイトルを見て、「当方氏は外電を読んでいないのか」と指摘されるかもしれない。当方は一応、アンカラから流れてくるニュースには耳を傾けている。エルドアン大統領が議会内閣制から大統領制へ移行する憲法改正を問う国民投票で僅差で勝利したことは知っている。賛成51・41%、反対48・59%だ。

2017-04-16-hitap
▲支持者に勝利宣言をするエルドアン大統領(トルコ大統領府の公式サイドから)

 この暫定結果から、権限を拡大した大統領制導入に野心を持ってきたエルドアン氏が勝利したと解釈できるが、エルドアン氏が16日夜、イスタンブールで勝利宣言している写真をじっくりと検証してほしい。「われわれはトルコの未来で歴史的な決定を下した」と強調する一方、自身の政治に批判的な欧米諸国に向かって、「投票結果を尊重すべきだ」とわざわざ述べている。その顔は決して勝利者のものではなかったのだ。

 トルコで昨年7月、軍の一部勢力によるクーデター事件が発生したが、失敗に終わった。危機を乗り越えたエルドアン大統領は警察力で強権を駆使し、根本主義的なイスラム教国の建設に乗り出してきた。それを受け、トルコ議会は今年1月21日、「議会制」から「大統領制」に移行する憲法改正を承認したが、立法化に必要な票数には満たなかった。そのため、是非を問う国民投票が今月16日に実施されることになった経緯がある。

 国民投票の結果は、国民の半分が賛成、半分が反対だった。国民は完全に2分した。エルドアン大統領と与党「公正発展党」(AKP)の支持者に対し、野党、反エルドアン派の構図だ。
 例えば、国際都市イスタンブールと首都アンカラなど都市部では反対票が51%を超え、エーゲ海に面するイズミル市では69%にもなった。南東部クルド地域でも反対票は過半数を超えた。その一方、中央アナトリア地方で賛成票が多かった。
 (有権者数は国内で5530万人、国外居住有権者約290万人で、投票率は85・5%と高かった。国民投票に対する有権者の関心の高さを示した)

 国民投票で圧倒的な勝利を願ってきたエルドアン氏は今回の結果に失望しているだろう。エルドアン大統領に代わってユルドゥルム首相は、「今回の国民投票で敗北者はいない。トルコ国民、愛する祖国こそ勝利者だ」と述べ、国民に連帯と結束を呼び掛けている。

 一方、野党の「国民民主主義党」(HDP)は投票と集計に不正があったとして、集計のやり直しを要求している。HDPによれば、有権者は投票会場で公式の印が付いた投票用紙をもらうが、その印のない投票用紙が多く見つかったというのだ。
 共和人民党(CHP)は、「わが国は昨年7月以来、非常事態宣言下にある。そのような状況下で国民投票を実施すること自体無謀だ」と指摘し、投票結果を受け入れる考えがないことを表明している。イスタンブールでは16日夜、国民投票の結果に反対するデモが行われている。

 興味深い点は、海外に住むトルコ人にはエルドアン支持派が多いことだ。ドイツで賛成63・1%、オランダ71%、オーストリア73・23% ベルギーでは75・1%が賛成票を投じている。その他、フランス、ノルウェー、デンマーク、ルクセンブルクで賛成が多く、反対票が多かった国はスペイン、イタリア、英国だったという(「欧州トルコ人の『2重国籍』問題」2017年3月14日参考)。

 なお、欧州連合(EU)はエルドアン氏が死刑制度を再導入したならば、加盟交渉を即ストップすると警告を発してきただけに、トルコの国民投票結果と今後の行方に強い懸念を持っている。憲法改正を問う国民投票の結果は、トルコ社会を投票前よりも一層分裂させてしまう危険性が出てきたのだ。

金正恩氏よ、勝負はついた!

 父親・故金正日総書記が得意としてきた「瀬戸際外交(作戦)」がもはや通用しないことを息子の金正恩労働党委員長は一刻も早く悟るべきだろう。

 朝鮮半島が一触即発状況に陥ったことは今回が初めてではない。しかし、金正日総書記時代と根本的に違うのは米国にトランプ大統領が登場したことだ。正恩氏はトランプ氏の性格を多分十分に理解していないのだろう。「戦略的忍耐」を表明し、北側の度重なる国連決議違反に対しても静観し続けたオバマ前米大統領とは、その出自からそのキャリアまで全く違うのだ。トランプ大統領の米国にはもはや「瀬戸際作戦」は通用しないのだ。

 朝鮮半島の政情はここにきて米国と北側の心理戦の様相を帯びてきた。なぜならば、両国とも「もし……するならば絶対に許さない」と表明し、武力行使も辞さない姿勢を見せているからだ。
 北側は国営メディアを通じて得意のプロパガンダを駆使し、「相手が望むならば核戦争も辞さない」と宣言。一方、トランプ陣営は「核実験や弾頭ミサイルの発射の兆候が見られれば、即先制攻撃で破壊する」と警告を発しているのだ。両国とも武力行使の用意があることを繰り返し表明している。すなわち、北朝鮮も米国も武器のボタンに手をかけている状況だ。

 ところで、北朝鮮と米国双方は本当に武力衝突を考えているのだろうか。北側は世界超大国の米軍と正面衝突した場合、勝算はまったくないことを軍事専門家でなくても分かるはずだ。だから、金正日総書記は瀬戸際外交を展開し、土壇場で米国が手を引くと期待していたのだ。幸い、相手側は土壇場で対話路線に転換させてきた経緯がある。正恩氏も父親と同じように瀬戸際作戦を展開させている、といった気持ちがあるかもしれない。

 一方、トランプ氏の場合、対北作戦を展開させる前に2回、派手な軍事活動を指令している。同大統領は7日、地中海の米海軍駆逐艦からシリア中部のアサド軍のシャイラト空軍基地へ巡航ミサイル、トマホークを撃ち込む指令を出し、13日には、アフガニスタン東部のナンガルハル州のイスラム過激派テロ組織『イスラム国』(IS)の拠点に非核兵器では最高火力を持つ「MOAB」(GBU−43)を初めて投下させている。

 トランプ氏の軍事デモンストレーションに対抗し、正恩氏は16日午前、弾道ミサイル1発の発射を命令したが、ミサイルはどうやら発射直後、爆発した。この段階でトランプ氏と正恩氏の脅迫作戦の勝負ははっきりしたのだ。米軍は北が弾道ミサイルを発射しようすれば、北のミサイル機能をマヒさせる電子攻撃を仕掛け、落下させるからだ。

 北は昨年10月段階で計8度、中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程3500キロ)を発射し、成功は同年6月22日の1回だけだった。グアム米軍基地まで射程に収める弾道ミサイルの開発という平壌の宣伝文句が空しくなるほどの結果だったのだ。
 弾道ミサイルを開発し、核搭載ミサイルで米本土を攻撃すると豪語した金正恩労働党委員長に対し、米国は電子戦を展開させ、軍事力の差を示したわけだ。今回のミサイル発射失敗も同じ理由が考えられるのだ(「米軍の電子戦で『ムスダン』は不能?」2016年10月21日参考)。

 ちなみに、米軍は80機の戦闘機を運ぶ米原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に派遣する一方、トマホーク巡航ミサイルを発射できる駆逐艦2隻のうち1隻は現在、朝鮮半島から約480キロ離れたところで待機中だ。

 正恩氏は面子を大きく失わない段階で挑発を中止すべきだ。さもなければ、トランプ氏は米海軍特殊部隊を動員させ、奇襲攻撃に出ざるを得なくなるのだ。なぜならば、「もし、……ならば」と繰り返し表明してきた立場上、トランプ氏は一旦手をつけた刀(武器)を容易に鞘に納めることはできないのだ。

 トランプ氏と中国の習近平国家主席の間で対北政策で一定の合意が達成された兆候が見られる。米財務省は14日、中国を「為替操作国」に認定することを見送る一方、中国国際航空は17日から北京と北朝鮮の首都・平壌を結ぶ便の運航を停止するとともに、中国旅行社は北観光を全面中止するなど、人的交流の制限に乗り出してきているのだ。金正恩氏を取り巻く情勢は限りなく北に不利だ。

 正恩氏もトランプ氏も世代は異なり、国は違うが、面子を重視する点で似ている。その上、両者とも「計算できない、予想外の言動をする人物」と受け取られていることだ。換言すれば、朝鮮半島の危機とは、武力衝突の危機というより、「計算できない、予想外の言動に走る」2人の指導者の“次の一手”が読めない危険性を意味しているわけだ。データ主義が席巻する21世紀の国際社会では、次の一手が予想できないというほど怖いことはないのだ。世界は今、この恐怖と対峙しているのだ。

欧州紙が懸念する「朝鮮半島の危機」

 オーストリア代表紙「プレッセ」15日付の1面トップを見た時、驚いた。お馴染みの顔が大きく写っていたからだ。北朝鮮の最高指導者・金正恩朝鮮労働党委員長だ。

Scannen0182 (3)
▲朝鮮半島の危機を一面トップで報じるオーストリア代表紙プレッセ

 日韓メディアは一触即発の朝鮮半島情勢を連日大きく報じているが、当方が住むアルプスの小国オーストリアの代表紙で金正恩氏の写真が1面デカデカと掲載されて報じられたことはこれまでなかったことだ。

 金正恩氏の義兄・金正男氏暗殺事件(2017年2月13日)の時、プレッセ紙も金王朝の家系図を紹介しながら、かなり詳細に報じたが、15日付のプレッセ紙は1面トップだ。それも金正恩氏の大きな写真付きだ。

 オーストリアは衰退してきたとはいえカトリック教国であり、15日はキリスト教最大のイベント「復活祭」の前日だ。その国の代表紙がローマ法王フランシスコの言動を1面トップで報じるならば分かるが、朝鮮半島の政情を金正恩氏の写真付で緊急レポートしているのだ。欧州でも朝鮮半島の政情に大きな不安を感じだしていることが推測される。

 そこで15日付「プレッセ紙」の1面トップ記事の概要を簡単に紹介する。
 記事の見出しは「金正恩氏包囲網」(Drohkulisse gegen Kim)だ。海岸沿い軍事施設を視察中の金正恩氏の写真が大きく掲載されている。

 4月15日は北では「太陽節」と呼ばれ、金正恩委員長の祖父、故金日成主席の105回目の誕生日に当たる。その日を祝って、金正恩氏が核実験を計画するのではないかというのだ。中国の王毅外相は朝鮮半島の政情に危機感を高め、「状況がコントロールを失う前に、挑発と威嚇を即中止すべきだ」と要求している。もちろん、北と米国へのアピールだ。

 プレッセ紙は「極東の政情は急速に緊迫感を高めてきた。北朝鮮ウォッチャーは、1994年に死去した金日成主席生誕105年を迎えた北が核実験を実施すると予想し、朝鮮半島の状況は一挙に深刻な状況に陥ると予想している」という。その背景は、トランプ米政権が北への圧力を強化してきたからだと説明している。

 具体的には、米放送NBCが情報機関筋として、「トランプ政権は防御的先制攻撃を計画している。80機の戦闘機を運ぶ米原子力空母カール・ビンソンが朝鮮半島近海にまもなく到着する一方、トマホーク巡航ミサイルを発射できる駆逐艦2隻のうち1隻は現在、朝鮮半島から約480キロ離れたところで待機中」という。

 一方、北側は「如何なる攻撃にも応じる。核兵器には核兵器で対応する」と強調し、核戦争も辞さない姿勢を見せている。プレッセ紙は「約1000万人が住む韓国の首都ソウルから軍事境界線まで40キロに過ぎない。北軍は境界線沿いに多数の大砲や中距離ミサイルを配置している、北は核兵器を使用せずとも通常兵器で十分、韓国側を攻撃できる」と分析する軍事専門家の意見を報じている。

 同紙は「トランプ政権はシリアでの空爆とは違い、朝鮮半島の場合、軍事攻撃が大きな危険を伴うことを知っているはずだ。興味深い点は、トランプ大統領が7日、地中海の米海軍駆逐艦からシリア中部のアサド軍のシャイラト空軍基地へ巡航ミサイル、トマホークを撃ち込む指令を出したのは中国の習近平国家主席の米国訪問中だったこと、そして米軍が今月13日、アフガニスタン東部のナンガルハル州のイスラム過激派テロ組織『イスラム国』(IS)の拠点に非核兵器では最高火力を持つ『MOAB』(GBU−43)を初めて投下している。両者の米軍の軍事活動は単なる偶然ではなく、北朝鮮への警告を含んだ軍事行動だったはずだ」と受け取っている。

 いずれにしても、欧州紙は朝鮮半島の政情の行方次第では世界的な紛争が勃発しかねないと読者に伝えているわけだ。

人は生まれ変わることができるか

 ナザレの青年イエスの33年の生涯、実質的には3年間の公生涯の言動がその後の世界の歴史を大きく変えていったことには異論がないだろう。

Czechowicz_Zmartwychwstanie
▲「復活」シモン・チェホヴィッチ作

 イエスの言動をまとめた共観福音書を読めば、イエスは30歳を迎えた後、福音を述べ伝え始めたが、当時のユダヤ教指導者たちはイエスを異端者として批判し、最終的には十字架にかけて殺害した。もし、ユダヤ教指導者、律法学者たちがイエスの教えを受け入れていたならば、イエスは十字架上で亡くなる必要はなく、旧約聖書で予言されていたように、“ユダヤ人の王”として迎え入れられたはずだ。そうなれば、キリスト教は誕生することはなく、ユダヤ教を土台としたイエスの教えは、世界に宣教されていったはずだった。しかし、その計画が実現されず、イエスは33歳の若さで十字架で殺害されたわけだ。

 キリスト教会では、イエスの十字架があたかも神の予定だったと考え、その計画に沿ってイエスは十字架で亡くなったと信じ、イエスの十字架を人類への神の愛の勝利として称え、信奉してきた。

 イエスの十字架上での祈りをどのように受け取っているのだろうか。イエスのメシア(救い主)としての使命が十字架で死去することであったとすれば、イエスのエルサレム入り後の苦難の道は不必要だったはずだ。新約聖書を読む限り、イエスは無残にも殺害されたのであって、十字架上で死ぬために降臨したのではないことは明らかだ。

 参考までに、「コリントン人への第1の手紙」2章8節では、聖パウロが「この世の支配者たちのうちで、この知恵を知っていた者は、ひとりもいなかった。もし知っていたならば、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう」と嘆いている。

 人類の救い主を殺害した、という余りにも重い罪科を背負いきれないので、選民ユダヤ民族からその後発生したキリスト教会は「十字架の救済説」という神学を構築していったわけだ。

 イエスの十字架を信じる人々に一定の恩恵を与えてきたことは事実だが、キリスト教神学の土台を築いた聖パウロ自身が告白しているように、十字架の救済には限界があるのだ(「ローマ人への手紙」7章22節)。それ故に、イエスは生前、「私はまた来る」と再臨を約束したわけだ。イエスの使命が2000年前に成就されていたならば、イエス自身は再臨に言及する必要はなかったはずだ。 

 「復活祭」を明日(16日)に控え、イエスの生涯を再度、振り返ってみたいものだ。イエスの降臨の目的とその使命は何だったのか、そしてなぜ33歳の若さで十字架上で亡くならざるを得なかったのか、等、キリスト教の根本的背景を再度検証すべきだろう。

 イエスは「よくよくあなたに言っておく。誰でも新しく生まれなければ、神の国を見ることはできない」(「ヨハネによる福音書」3章3節)と諭し、「新しいぶとう酒は新しい皮袋に入れなければならない」(「マルコによる福音書2章22節)と述べた。われわれは生まれ変わることが出来るだろうか。

欧州の若者は「神」を必要としない

 ローマ・カトリック教会では14日は「聖金曜日」と呼ばれ、イエスが十字架にかけられ処刑された日だ。その3日後、イエスは復活し、散らばっていた弟子たちを呼び集めていった。そしてキリスト教がスタートしたわけだ。

 その「聖金曜日」にこのような報告をするのは気が引けるが、キリスト教社会の欧州の現状を知るうえで参考となると思うので、紹介する。

 18歳から34歳の欧州の若者たちを対象とした意識調査「Generation What、ジェネレーション・ホワット」が実施されたが、その結果によると、欧州の若者は幸せになるためには「神」を必要としないと考えていることが明らかになったのだ。
 欧州の10カ国、約20万人の若者を対象に昨年4月から今年3月の間に実施された今回の意識調査は過去最大規模だ。テーマは仕事、家庭、友人、愛、セックス、政治、宗教と多方面に渡る。その結果、欧州の若者の85%が「神がいなくても幸せ」と考えていることが判明し、キリスト教会関係者に衝撃を投げかけているのだ。

 バチカン放送独語電子版(4月6日)は独司教会議青年問題委員会議長のステファン・オスター司教に今回の意識調査の結果についてインタビューしている。

オスター司教は、

 「欧州社会は物質的には豊かだ。その上、平和だ。だから、欧州の若者はその欲望を簡単に満たすことができる。その一方、人生の内的な深い願望と真摯に対峙することが難しいのだ。幸せは市場とメディアに主導されて決められている」

 「自分の人生を享受することが出来、ロマンチックな人間関係を築き、旅行を楽しみ、自由と可能性を保有する、これらが人間の幸せとリンクされている。人間の深いところの諸問題についてはもはや敢えて問うことをしなくなってきた」

 「調査結果によると、86%が宗教機関に対し信頼を有していない。機関、組織に対する信頼感は一般的に減少してきている。例えば、ドイツのカトリック教会では依然、66万人の青年信者がいるが、教会に対して関心が薄く、教会生活と人間の幸せが結びつかなくなってきている。もちろん、若者たちの中には人生の目的を真摯に求める者もいるが、多くの若者は教会という機関に対して距離を置き、もはや信頼しなくなってきている」

 「現代社会には多くのオファーがある。神への接近を覆い隠してしまうようなチャンネルも少なくない。若者は今日、インターネットを利用し、デジタルな世界に生きている。若者はインターネットの世界に埋没し、方向性を失ってしまっている。デジタルの世界がオファーするものは現実生活とは異なっている。多くは代用品だ。それが分からなくなってきている」

と警告する。

  ・・・・・・・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・・・・・

 若い世代が「神」を必要としなくなったという調査結果は、“85%”という数字には少し驚かされるが、決して新しいことではない。神への無関心さは久しく社会に見られるからだ。そしてスマートフォンで全ての問いに素早く答えを見いだせる時代に生きている。情報や知識だけではない。心の悩みですら教会に足を運ばなくてもスマートフォンでその解答を見つけ出せる世の中だ。フェイスブックは会ったこともない仮想友人で溢れている。データ主義が席巻し、人間の生活でデジタル化できない世界は削除されていく。 

 欧州の若者たちも悩み、苦しむ。その時、彼らの多くはもはや「神」に問い掛けない。「神」という言葉自体がもはや何の新鮮さも感動も与えなくなってきたからだ。スマートフォンをオンにし、仮想友人にメールを送信する。「寂しいアメリカ人」という本が昔、日本でベストセラーとなったことがあったが、欧州の若者たちもひょっとしたら寂しいのではないか。

 「人間に必要なものは全てオフラインの世界に存在する。空気から水までオフラインだ」…独社会学者ハラルド・ヴェルツァー氏は独週刊誌シュピーゲルとのインタビューの中で強調している(「『オフラインの世界』の再評価」2016年5月2日参考)。
 欧州の若者たちは、神を見いだせるか否かは不明だが、オフラインの世界に飛び出すべきだろう。

金正恩氏は最高人民会議に出席!

 北朝鮮最高人民会議(国会に相当)の第13期第5回会議が11日平壌で開催され、金正恩朝鮮労働党委員長が出席した。同委員長が今回の最高人民会議に参加するかどうか注目されていたが、前回と同様、参加したことが明らかになった。

 最高指導者の金正恩委員長の出欠が注目されたのには様々な理由があったからだ。本来、党と政府の最高責任者が重要な議題について議論する会議に出席して当然だが、北の場合はやはり異なるのだ。

 最高人民会議は憲法上は国の最高機関で、憲法問題から指導部人事、国家の予算問題など広範囲の議題を審議するが、実質的な権限は朝鮮労働党にある。毎年、1、2回開催される。

 今回は金正恩氏が最高責任者に就任して5年目を迎えた節目の年だ。最高人民会議開催は同氏にとって今回で8回目だが、過去7回のうち2回、欠席している。2014年9月の時は足のケガ、15年4月の欠席の理由は不明だ。

 当方は今回、金正恩氏は欠席すると予想していた。だから、朝鮮中央テレビが同日夜、最高人民会議の開催と金正恩委員長の出席を報じたニュースを聞いて、「へェー」という声を発したほどだ。

 ブックメーカーの金正恩氏の最高人民会議の出欠のオッズ(倍率)はどうだったろうか。欠席を予想した人も少なくなかったはずだ。理由があるからだ。

 まず、金正恩氏を取り巻く安全問題だ。米国の原子力空母「カール・ビンソン」が朝鮮半島周辺の海上に接近中というニュースが報じられている。トランプ米大統領は中国の習近平国家主席との首脳会談でも「武力行使の可能性」を示唆したばかりだ。それに先立ち、トランプ氏は7日、地中海の米海軍駆逐艦からシリア中部のアサド軍のシャイラト空軍基地へ巡航ミサイル、トマホークを撃ち込む指令を出したばかりだ。これらの情報を金正恩氏は当然知っていたはずだ。

 だから、党、政府の首脳陣が結集する最高人民会議を開催することは危機管理上、非常に危険だ。トマホークが数発、平壌で開催中の最高人民会議の会場に打ち込まれたら、その瞬間、北の首脳陣の多くは犠牲となる。ひょっとしたら、金正恩氏もその中に入るかもしれない。米軍としてはターゲットがはっきりとしているから攻撃しやすい。

 米軍の武力行使だけではない。中国人民軍の特殊部隊の奇襲だって十分に考えられるのだ。北京の意向を無視して核実験、弾道ミサイル発射を繰り返す金正恩氏に対し、習近平国家主席の怒りは高まっている。トランプ大統領から「北京が北を抑制できないのならば米国がする」と脅迫されたばかりだ。米軍の奇襲が現実味を帯びてきた今日、中国側も静観しているわけにはいかなくなった。朝鮮半島を米韓主導に委ねる結果となるからだ。中国側は決断を強いられることになる。最終的には金正恩政権打倒に乗り出す可能性があるわけだ。

 トランプ氏にとって幸いなことは、国連決議を無視する北側に武力行使を履行したとしてもロシアや中国以外は強い反対が出てこないことだ。実行力を誇示することでトランプ氏の国際社会での評価が一新するかもしれないのだ。

 最後に、異母兄の金正男氏の暗殺(今年2月13日)は北国内では報じられていないが、党・政府幹部たちは知っている。その意味で国内の正男派を敵に回したことになる。いつ謀反が起きるか分からなくなってきた。特に、軍部内には不満をもつ将校たちが少なくない。軍クーデターの可能性はもはや完全には排除できなくなってきた。中国人民軍の支援を受けた北軍指導者が飛び出すかもしれない。

 以上、金正恩氏を取り巻く状況は安泰どころではないのだ。にもかかわらず、金正恩氏は米軍の標的となる危険性がある最高人民会議に出席したというのだ。
 考えられるシナリオは、―仞癖麁擦魯侫Дぅで実は欠席していた。報道写真は合成か、昨年の労働党大会と同様、撮影会場は全く別だった。∪権5年目の自信を内外に誇示したい、といった独裁者特有の野望が安全問題を退けて、出席を決意させた。

 いずれにしても、金正恩氏の最高人民会議への出欠問題は、学校児童の出欠取りとは違い、生命の危険性すら孕んだ最高度の政治問題なのだ。

「聖金曜日」と「国家の祝日」論争

 世界のキリスト教会は16日、1年で最大のイベント「復活祭」(イースター)を迎える。イエス・キリストが十字架で亡くなった後、3日目に蘇ったことを祝う「復活祭」は移動祭日だ。東西両キリスト教会のカレンダー(グレゴリオ暦とユリウス暦)が異なるために「復活祭」の日は異なってきたが、今年は両教会とも16日に「復活祭」を共に祝う。

 今回のコラムのテーマに関係するので、先ず9日から始まった聖週間(受難週)を簡単に復習する。
 「復活祭」前の最後の日曜日(9日)はエルサレム入りするイエスをシュロの枝で迎えた故事に倣って「シュロの主日」と呼ぶ。13日はイエスが弟子の足を洗った事から「洗足木曜日」だ。イエスは十字架磔刑の前夜、12人の弟子たちと最後の晩餐をもった日だ。ローマ法王はサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂でイエスの故事に倣って聖職者の足を洗う。そして14日は「聖金曜日」でイエスの磔刑の日であり、「受難日」「受苦日」とも呼ばれる。そして「復活祭」の16日、ローマ法王は復活祭記念礼拝を挙行し、サン・ピエトロ大聖堂の場所から広場に集まった信者たちに向かって「Urbi et Orbi」(ウルビ・エト・オルビ)の公式の祝福を行う。これが毎年バチカンで挙行される一連の「復活祭」の行事だ。

 ところで、今回は「聖金曜日」の話だ。しかし、イエスの十字架に関する神学論争ではない。「聖金曜日」を国民の祝日とすべきかの議論についてだ。

 オーストリアでは「聖金曜日」を法的祝日と認知されているのはプロテスタント教会だけだ。だから、プロテスタント信者の労働者がその日、仕事をすれば当然、祝日手当が出る。通常、時給は平日の倍だ。一方、大多数のローマ・カトリック教会信者の労働者にとっては「聖金曜日」は祭日だが、祝日となっていない(オーストリアは1934年、バチカンとの間で宗教条約を締結済み)。だから、その日に働いたとしても特別手当は支給されない。もちろん、無神論者の労働者にとっても「聖金曜日」は祝日ではないので、カトリック教徒と同様だ。

 この差別を苦々しく感じてきた無神論者やカトリック教徒は「差別禁止法に反している」として裁判に訴えた。そして最高裁裁判所がこのほど「差別禁止法に該当するかの判断を欧州司法裁判所に委ねる」と決定したのだ。どちらに転んだとしても、反発は必至の判決を下したくない、というオーストリア裁判官の計算も働いているのだろう。

 欧州司法裁判所がどのような判決を下すかは目下、不明だが、はっきりとしている点は今年の「復活祭」は従来通り、プロテスタント信者だけが特別手当を受けることになることだ。

 参考までに、「聖金曜日」が国家の祝日となれば、オーストリア国民は「聖金曜日」、土曜日、日曜日(復活祭)、そして「聖月曜日」と4日間の大型連休を享受できるわけだ。

 もちろん、オーストリア経済界では「聖金曜日の国家祝日」化には強く反対している。経済界の計算では祝日が1日増える度に6億ユーロの損失が出てくるというのだ。それだけではない。「『聖金曜日』を祝日とするのならば、ユダヤ教徒の祭日『ヨム・キプル』(贖罪の日)も『国民の祝日』とすべきだ」という声が聞かれる。また、「イスラム教徒の『犠牲祭』(イード・アル=アドハー)は次期祝日の最有力候補だ」という意見すら出てきている、といった具合だ。

 ちなみに、オーストリアでは有給休暇日数と祝日数を合わせると年間の休日日数は38日間だ。そのうち、祝日日数は13日間で、リトアニアと共に世界で2番目に多い。「聖金曜日」が「国民の祝日」となれば、リトアニアを抜いて単独2位だ。いずれにしても、オーストリア国民は他国の国民と比較しても十分、休日が与えられている。

復活祭前の「枝の主日」のテロ事件

 キリスト教最大の祝日に当たる「復活祭」前の最後の日曜日の9日、エジプト北部タンタ市とアレクサンドリアの2カ所でキリスト教の少数宗派、コプト派正教会を狙った爆発テロが発生し、40人以上が犠牲、100人以上が負傷した。コプト派正教会を狙ったテロ事件としては過去最大の犠牲をもたらした。イスラム過激派テロ組織「イスラム国」(IS)は同日、犯行を声明した。

 復活祭は通常、移動祝日で東西両キリスト教会ではグレゴリオ暦とユリウス暦で日付けは異なっているが、今年は両暦とも16日に復活祭を祝う。復活祭前の最後の日曜日の9日はイエスがエルサレム入りする「枝の主日」(棕梠の主日)に当たる。

 タンタではコプト派正教会(聖ゲオルグス教会)で男声合唱隊が聖歌を合唱していた時に祭壇近くに仕掛けられた爆弾が爆発し、祝日に集まっていた信者たちが犠牲となった。一方、アレクサンドリアのコプト派の聖マルクス聖堂では爆発が聖堂の外で起き、少なくとも16人が死亡した。同聖堂にはコプト派最高指導者のタワドロス2世がいたが、爆発時には既に礼拝を終えて聖堂を後にしていたので無事だったという。

 エジプトでは昨年12月、カイロ中心部にあるコプト派正教会のペーター・パウル教会内で自爆テロがあり、29人が死亡、47人が負傷している。同テロ事件もISが犯行声明を出した。今年2月にはシナイ半島北東部でISの分派がキリスト信者を次々と殺害している。エジプトのコプト正教徒は非イスラム教最大少数派で、人口9338万人(2016年)の約10%と推定されている。

 エルシーシ大統領は同日、2件のテロを厳しく批判するとともに、国家防衛評議会を招集し、軍に国内の重要拠点の警備強化を指令した。

 エジプトの2件のテロ事件について、世界各地から批判の声が挙がっている。ドイツのガブリエル外相は「宗派間の対立の先鋭化を狙う計算されたテロだ」と指摘。ヨルダン、カタール、バーレーンなどイスラム教国でも批判の声が高まり、レバノンのサード・ハリーリー首相は「全ての宗教価値観への攻撃だ」と非難した。

 ローマ・カトリック教会最高指導者、フランシスコ法王は9日、エジプトの2件のテロ事件の犠牲者を慰霊するとともに「テロや暴力の種をまく人々や、武器を製造、密売する人々の心を、神が改心させますように」と述べ、テロ事件を非難した。

 ちなみに、フランシスコ法王は今月28日から2日間の日程でエジプトの首都カイロを訪問する。同訪問は、エジプトのエルシーシ大統領、同国のカトリック教会司教会議、キリスト教少数宗派コプト正教会の最高指導者タワドロス2世、そして同国のイスラム教スンニ派の最高権威機関「アズハル」のタイイブ総長らの招請に応じたもの。なお、バチカンからの情報によると、「ローマ法王のエジプト訪問は予定通り実施する」という(「ローマ法王のエジプト訪問の背景」2017年3月21日参考)。
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Recent Comments
Archives
記事検索
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ