ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2015年10月

イスラム指導者「新兵誓約式」に演説

 今月26日はオーストリアの建国記念日(ナショナル・デー)だ。アルプスの小国オーストリアはローマ・カトリック教国だ。教会から脱会する者が年々増えてきたが、国民の約6割は依然信者だ。そのナショナルデーの26日には毎年、ウィーンの英雄広場で連邦国軍の新兵忠誠誓約式が挙行されるが、今年はイスラム教指導者(イマーム)のSijamhodzic氏が参加し、演説する予定だ。オーストリア通信(APA)が19日、報じた。

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▲イスラム教徒の兵士が増えたオーストリア連邦軍(オーストリア連邦国防省提供)

 建国記念日の新兵忠誠誓約式にイスラム教指導者が参加するのは今回初めて。新兵の中にイスラム教徒が増えてきたからだ。連邦軍には約800人のイスラム教徒がいる。ウィーン市では5人に1人の兵士がイスラム教徒だ。将校レベルにも数人のイスラム教徒が含まれるという。

 オーストリアの国軍は陸軍と空軍を編成している。同国で2013年1月20日、現徴兵制の堅持か、職業軍の創設かを問う国民投票が実施され、徴兵制維持派が約59・8%と過半数を獲得し、職業軍の導入案は約40・2%に留まった。その結果、今後も引き続き、徴兵制が維持されることになった。同国は国連平和維持活動には積極的に取り組んできた(「国民投票で判明した『国防』の欠如」2013年1月22日参考)。

 ところで、国軍の忠誠誓約式では新兵は国家への忠誠を誓うが、イスラム教の教えを信奉する兵士にとって「国家(オーストリア)かアラーか」の選択を強いることになる。
 それに対し、ボスニア出身のイマームは、「国の法を守ることは全ての国民の義務だ。イスラム教徒でも同様だ。人権尊重はコーランや預言書にも明記されている。民主主義の国体とイスラム教徒の生活様式とは一致できる。生命の尊重、公平と平等、宗教の自由、報道、言論の自由でも問題は全くない」と、APA通信のインタビューの中で強調している。

 敬虔なイスラム教徒の兵士の中には、ハラールに処置された食事(イスラム法で合法と認められた食事)しかとらない者もいるが、国軍側はイスラム教徒の兵士の食事事情に配慮している。それだけではない。髭をそらないこと、宗教祝日も認めているという。イマームによれば、「私が知っている限りでは国軍の中には過激なイスラム教徒はいない」という。

 ちなみに、ボスニア紛争を体験し、2004年にオーストリアに移住したイマームは殺到する難民・移民に対して、「紛争から逃げてきた難民に対して人道的観点から対応してほしい。戦争は人間が体験する最悪のことだ」と述べ、難民・移民がイスラム教徒という理由で受け入れを拒否しないでほしいと語っている。

 なお、建国記念日の国軍新兵誓約式にイスラム教指導者が演説することに、「イスラム教の台頭を象徴的に示す出来事だ。キリスト教国家としては喜ぶべきことではない」といった声が聞かれる。
 建国記念日でイマームが演説する英雄広場(Heldenplatz)はナチス・ドイツの独裁者ヒトラーが約20万人のウィーン市民の前に、凱旋演説をした場所だ。その英雄広場の歴史に、イスラム教のイマームが建国記念日に初めて演説した場所という内容が新たに加わることになるわけだ。

殺到する難民は「トロイアの木馬」?  

 欧州諸国は北アフリカ・中東諸国から殺到する難民・移民への対応で苦慮しているが、欧州に避難する難民・移民たちを「トロイアの木馬」と見なし、欧州のイスラム化に対し脅威を感じる声が出始めている。

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▲「トロイアの木馬の行進」ジョヴァンニ・ドメ二コ・ティエポロ画(ウィキぺディアから)

 「トロイアの木馬」とは、ギリシャ神話に出てくる戦争道具で、トロイア戦争でトロイア軍を壊滅させるうえで大きな役割を果たした。ギリシャ神話の英雄、オデュッセウスの提案に基づき、トロイア軍を騙すために大きな木馬を作り、その中に兵士を隠し、トロイア軍兵舎に送り込んだ。トロイア軍兵士が戦いに勝利したと思って祝賀をあげ、酔って眠ったところ、木馬から兵士が飛び出して、トロイア軍を壊滅させたという話から、敵軍を騙す戦略として「トロイアの木馬」という表現が使われる。

 そして21世紀の欧州で「トロイアの木馬」が展開されているというのだ。多くのイスラム教徒が難民として欧州に殺到。キリスト教社会の欧州では「紛争地から逃げてきた兄弟を救え」ということで人道支援が行われているが、欧州に定着したイスラム教徒の難民・移民がある日、キリスト教社会を攻撃するというストーリーだ。この場合、「トロイアの木馬」に隠れていた兵士とは、イスラム教徒の難民・移民を意味し、酔って眠ったトロイア軍の兵士は、人道支援で難民・移民を受け入れたキリスト教社会を指す。

 ところで、イスラム教徒の難民・移民の殺到を「トロイアの木馬」に譬えたスペインのローマ・カトリック教会バレンシア大司教が「外国排斥発言」と批判され、辞任要求を受けているというのだ。

 バチカン放送独語電子版が17日報じたところによると、バレンシア大司教のアントニオ・カニサレス枢機卿は15日、殺到するイスラム教徒の難民を「トロイアの木馬」の侵略と評した。それが伝わると、バレンシア市のリボ市長は、「枢機卿は難民を批判する極右派と同じだ。困窮に瀕した難民への連帯を呼びかけるフランシスコ法王の願いに反する」と指摘した。バルセロナ市のアン・クム―市長も枢機卿の発言を「民族主義的」と批判している一人だ。

 難民・移民の殺到を「トロイアの木馬」と譬えた枢機卿の真意をハンガリーのオルバン首相の発言を通じて少し説明してみよう。
 オルバン首相は先日、オーストリア日刊紙「プレッセ」らのインタビューの中で、「欧州のキリスト社会は弱さを抱えている。少子化であり、家庭は崩壊し、離婚が多い。一方、イスラム教徒は家庭を重視し、子供も多い。人口学的にみて、時間の経過と共にイスラム教徒が社会の過半数を占めることは避けられない」と述べた(「なぜハンガリーは難民を拒むか」2015年9月20日参考)。「宗派の違いは問題ではない。神の前にはすべて兄弟姉妹だ」(オーストリアのカトリック教会最高指導者シェーンボルン枢機卿)というキリスト教社会はイスラム教徒の侵略に無残にも敗北していくという警告が含まれていた。


 記憶力の良い読者ならば、仏人気作家ミシェル・ウエルベック 氏の最新小説「服従」(独語訳タイトル)のストーリーを思い出すだろう。ローマ・カトリック教国のフランスで2022年、仏大統領選でイスラム系大統領が選出されるというストーリーで、大きな反響を呼んだばかりだ。同作家が「トロイアの木馬」の話を意識していたかは分からないが、酔って眠った(神を見失い、世俗化した社会)キリスト教信者たちに代わって、イスラム教徒がある日、実権を掌握するという近未来の話だ。

 カニサレス枢機卿の「トロイアの木馬」発言は批判に晒されたが、イスラム教徒の難民・移民の殺到に直面して多くの欧州人は「トロイアの木馬」の脅威を感じ始めている。しかし、それを口に出すことは「外国人排斥」と受け取られる一方、隣人愛を説くキリスト教の精神に反するということから、久しくタブー扱いされてきた。だから、そのタブーを破った枢機卿が批判を受けるのは避けられなかったわけだ。

「食糧輸入大国」中国の脅威

 中国海外反体制派メディア「大紀元」は2014年5月30日、「中国当局は14年2月、長年採用していた穀物生産の自給自足という方針を放棄した。この政策転換は輸入量を増加させることを意味し、13億人の腹を満たすために世界の資源が搾取されるという意味では、悪い知らせだ」と報じたが、今年の「世界食料デ―」の日(今月16日)、そのHPで「中国に迫る食糧危機」というタイトルで再掲載した。世界の政情にも影響を及ぼす重要なテーマだからだ。

 世界最大の人口13億人を抱える中国が「食糧輸出大国」から「食糧輸入大国」に転落したということは、中国が13億人の国民を食わせていくために世界から大量の食糧を輸入しなければならなくなったことを意味する。その結果、世界の食糧価格の高騰ばかりか、恒常的な食糧不足に悩む開発途上国の食糧事情の悪化など、さまざまな影響が地球レベルで出てくることが予想されるわけだ。

 今月16日は「世界食料デ―」だった。国際食糧農業機関(FAO)のHPによると、「世界食料デ―」は、「世界の食料問題を考える日」として国連が制定した日だ。1979年の第20回FAO総会の決議に基づき、1981年から世界共通の日として制定された。そして  「世界の一人ひとりが協力しあい、最も重要な基本的人権である『すべての人に食料を』を現実のものにし、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としている」という。

 中国政府は持続的な経済発展のために世界各地でエネルギー確保を目指す“資源外交”を展開させてきたが、原油や天然ガスの確保だけではなく、13億の国民の食糧を確保するために世界各地で食糧外交を大規模に実施していかなければならなくなってきたわけだ。
 中国の場合、13億人の人口、環境汚染問題、残留性有機汚染物質問題などを抱えているだけに、不足する食糧確保のためにはどうしても海外から輸入する以外に選択肢がない。実際、中国の2012年食糧自給率は90%を割ったといわれている。

 大紀元によれば、「2013年、中国の食糧輸入量は6年連続で過去最高を記録し、大豆、小麦、トウモロコシで267億ドルに達する。これは、中国は食糧の輸出大国から輸入大国へのスイッチが入ったことを意味している」という。ちなみに、対中食糧輸出国として米国が全体の2割を占めている。


 年々、その自供率が悪化し、食糧事情が更に深刻になると、例えば、隣国・北朝鮮への食糧支援などは不可能となる。中国の対北食糧支援が途絶えているというニュースは両国間の政治的不協和音が理由ではなく、中国国内の食糧欠如が主因というわけだ。

 国連世界食糧計画(WFP)によると、世界では約7億9500万人が飢餓に苦しんいる。すなわち、世界の9人に1人が健康で活動的な暮らしを営むための十分な食糧を得られない状況下にあるわけだ。全世界において、飢餓と栄養不良の問題は、エイズ、マラリア、結核の健康へのリスクを合わせたものよりも大きいといわれる。中国の「食糧輸入大国」入りニュースは、大紀元ではないが、世界にとって、文字通り「悪い知らせ」というわけだ。

 潘基文国連事務総長は飢餓人口をゼロにする「ゼロ・ハンガー・チャレンジ」を目標にキャンペーンを推進中だが、中国の食糧輸入の増大が世界の食糧事情を悪化させ、飢餓人口を増加させることが懸念される。

韓国は「信頼できるパートナー」か

 韓国紙・中央日報日本語電子版によると、米国を公式訪問中の朴槿恵大統領は15日、ワシントンで、「11月初旬に日韓中の首脳会談が開かれる時、日韓首脳会談も開催されると思う」と述べ、「日韓首脳会談も慰安婦問題に前進があれば意味ある会議となる」と語ったという。

 同じ日、在米ベトナム団体がワシントンで記者会見を開き、ベトナム戦争(1960〜75年)当時、韓国軍兵士から性的暴行を受けたというベトナム人女性らが、朴大統領に謝罪を求めたという記事が産経新聞電子版に報じられた(韓国軍はベトナム戦争時、最大約32万人の兵士をベトナムに派兵)。

 韓国軍兵士の犠牲となったベトナム女性の証も掲載されていた。以下、紹介する。

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 66歳の女性は、「薪を集めていたときに兵士に襲われた。その後妊娠し1970年に出産した。働くこともできず、子供に教育を受けさせることもできなかった」と訴えた。
 また、60歳の女性は、「家族でお茶やバナナなどを売る店を営んでいた。韓国兵士が来て母親が暴行され妊娠し、69年に男の子を産んだ。その後、私も暴行を受け71年に息子を出産した」と証言した。

 産経新聞によると、被害者を支援するノーム・コールマン元上院議員は被害者の数を「数千人」と見積もり、このうち生存しているのは「約800人」だと説明している。同団体は、15日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルに、被害者に対する公式な謝罪を朴大統領に求める広告も掲載したという。
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 上記の話は訪米中の朴大統領にも報告されたと思うが、大統領の反応は伝わっていない。韓国の主要メディアも訪米中の大統領の言動をフォローするのに精一杯でベトナム女性の抗議については見逃しているか、恣意的に無視している。韓国軍がベトナム戦争時、南部サイゴンに慰安所を設置していた、という内容の米公文書を週刊文春(4月2日号)がスクープ報道した時もそうだった。韓国政府は無視した。

 朴大統領は就任以来、慰安婦問題を女性の人権蹂躙と受け取り、日本を批判し、「慰安婦問題が解決されない限り、安倍晋三首相との日韓首脳会談に応じることは出来ない」といった頑迷な姿勢を取ってきた。
 ベントナム女性の謝罪要求は女性の人権蹂躙問題だ。なぜ、朴大統領は訪米中とはいえ、その抗議の声に応えないのか。大統領が無視を続けていると、「朴大統領の慰安婦発言はやっぱり単なる反日プロパガンダに過ぎず、女性の人権蹂躙云々ではなかった」といわれても致し方がなくなる。

 ところで、朴大統領は15日、ワシントンDCで開かれた「韓米友好の夜」行事に出席し、ジョン・ケリー米国務長官と共に挨拶したが、その場で、「韓国は米国が誰より信頼できるパートナーであり、韓米同盟は米国のアジア太平洋リバランス(再均衡)政策の核心軸」と述べたというニュースが流れてきた(聯合ニュース)。

 ここで注意しなければならない点は、ケリー国務長官が、「韓国は米国が誰よりも信頼できるパートナーだ」と言ったのではなく、朴大統領が語ったことだ。ホスト側の米国から、「誰よりも信頼できるパートナーです」とお世辞の一つでも言ってほしいが、そうではなかったので、自分から口に出したのだろう。それは韓国が日米韓3国の中で置かれている立場を象徴的に表示しているように思える。

 朝鮮日報日本語電子版(14日)には、「日本を偏愛する米国、韓国にも戦力的価値に見合う待遇を」というタイトルのコラムが掲載されていた。その直接の背後には、韓国国産戦闘機(KFX)開発事業で米国が保有する戦闘機技術の韓国への移転を米国が拒否していることだ。今回も韓国側は米国に強く要請したが、米国は「アクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーなど4件について安全保障上の技術保護」を理由に移転を拒否した(聯合ニュース)。少なくとも、米国は「誰よりも信頼できるパートナー」としては韓国を見なしていないわけだ。

 それにしても、朴大統領は絶好の機会を逃した。ワシントンでベトナム女性たちの抗議に耳を傾け、女性らの人権蹂躙に謝罪を表明し、ローマ法王フランシスコが聖職者による未成年者への性的虐待の犠牲者の話を聞き、涙を流したように、朴大統領が涙するならば米国内できっと大きな反響を呼び起こし、極東のゲストに対する評価は急変しただろう。その上、旧日本軍の慰安婦問題に関する発言は真摯なものだったとして改めて評価されたかもしれない。

 米国民は自身や自国民の不祥事に対して正直に対応する人間を見捨てない。戦争で多くの成果を上げた兵士より、たとえ捕虜となっても最後まで信念を捨てなかった兵士をむしろ英雄と称える国民だ。米国人は嘘を嫌い、弱さを正直に告白する人間を受け入れる一方、それを隠す人間に対しては容赦なく批判する。

 朴大統領が米国人の国民性を理解し、ワシントンで抗議するベトナム女性らの前で、「私は旧日本軍の慰安婦問題で日本政府を激しく批判してきました。しかし、わが国の兵士もベトナム戦争では多くのベトナム女性を悲しませたことを知り、心から謝罪を表明します」と述べていたら、その謝罪表明は米国民の心を必ず打っただろうし、遠く離れた日本でも大きな反響を呼んでいただろう。ひょっとしたら、米国は韓国を「誰よりも信頼できるパートナー」と考え出していたかもしれない。

ローマ法王が祈りながら眠る時

 フランシスコ法王は祈りながらよく眠ってしまうという。法王の日常生活を世話している関係者の話ではない。フランシスコ法王本人が若者向け聖書「Youcat」の前文に書いた内容だ。法王は「神にとって、自分は息子だ。親子の関係だから問題はないよ」と説明しているという。

 息子が祈りながらこっくりこっくり船を漕ぎ出した時、神は「何をしているのか。目を覚まして祈りなさい」と言われないことをフランシスコ法王は知っているのだろう。神への絶対的信頼があれば、そのように考えることができるわけだ。旧約時代の戒律で生きる信仰生活ではなく、神と息子の親子関係があるからだろう。

 ところで、ローマ法王が祈りながら眠ったのは南米出身のフランシスコ法王が初めてではない。前法王のべネディクト16世(在位2005年4月〜13年2月)も在位後半、祈りながら眠ってしまうことがよくあった。
 考えてほしい。べネディクト16世が法王に就任した時は既に78歳だった。そして退位表明する85歳までその聖職を全うした。べネディクト16世の実兄(ゲオルク)は実弟がローマ法王に選出されと聞いた時、「弟は法王の激務をこなせない」とその健康を心配したほどだ。

 2013年3月のコンクラーベ(法王選出会)で第266代のローマ法王に選出されたアルゼンチン・ブエノスアイレスのホルヘ・マリオ・ベルゴリオ大司教が、自身に付けられる法王名を“貧者の聖人”と呼ばれた「アッシジのフランチェスコ」を選んだ時、彼は既に76歳だった。フランシスコ法王もべネディクト16世も高齢者だ。疲れたとしても不思議ではないし、どこか支障が出るものだ。フランシスコ法王は祈る時、「膝が痛くて座ることができないので、祈りの時は椅子に座る」と述べている。

 ところで、フランシスコ法王は、「祈れば、神のプレゼンスを身近に感じることもあるが、祈っても神を感じないことも多くある、それは空虚だ、空虚だよ。その時は忍耐強く待つだけだ」と告白している。独文のほうが法王の真意が伝わるように感じるから、紹介する。
 „Ich fuhle dann nichts, nur Leere, Leere, Leere‘。

 フランシスコ法王の祈りの「空虚さ」を理解できるのはあの修道女テレサではないか。「マザー・テレサ」と呼ばれ、世界に親しまれたカトリック教会修道女テレサは貧者の救済に一生を捧げ、ノーベル平和賞(1979年)を受賞し、死後は、前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の願いに基づき2003年に列福された。その修道女テレサの生前の書簡が明らかになったことがある。その内容が公表された時、世界は大きなショックを受けた。

 修道女テレサは、「私はイエスを探すが見出せず、イエスの声を聞きたいが聞けない」「自分の中の神は空虚だ」「神は自分を望んでいない」といった苦悶を告白し、「孤独で暗闇の中に生きている」と嘆いていたのだ(「マザー・テレサの苦悩」2007年8月28日参考)。あのマザー・テレサ―が生前、フランシスコ法王と同じように、神の不在感と空虚さに悩まされていたのだ。

 両者に違いがあるとすれば、フランシスコ法王は「空虚さ」を平静心で受け入れてきたのかもしれない。どちらが立派という問題ではない。両者とも貧者の救済をライフ・テーマとして歩んできた聖職者だ。それゆえに、悩まざるを得なかったのだろう。ちなみに、「眠り法王」を弁解するつもりはないが、祈りは瞑想に近く、瞑想は睡眠に似ているという。

第3インティファ―ダ時代の到来

 パレスチナの一人の若者が、検問するイスラエル人兵士をナイフで攻撃し、重体を負わせた事件はパレスチナ側だけではなく、イスラエル側にも大きな衝撃を投じた。パレスチナ人青年はイスラム原理主義組織「ハマス」など過激派組織のメンバーではなく、検問するイスラエル軍兵士の横柄なやり方に“切れた”。また、若いパレスチナ女性がユダヤ人青年をナイフで攻撃、青年は応戦。両者とも負傷する事件が今月7日、起きたばかりだ。

 独週刊誌シュピーゲル電子版は14日、「新しい世代のテロ」というタイトルの記事を掲載し、従来の組織・集団によるテロではなく、個人テロと呼んでいる。ハマスやヒズボラといった過激派テロの場合、対応手段は明らかだが、個人によるテロ行為の場合、政府は対応に苦しむ。パレスチナ当局が主導した過去2回のインティファーダ(Intifada、反イスラエル抵抗運動)ではなく、個人が先導する“第3のインティファ―ダ”の時を迎えた、という声が聞かれるほどだ。

 シュピーゲル誌は「新しい世代のテロ」の特徴を列挙している。犯行者は20歳前後と若く、女性が結構多い。東エルサレムと西ヨルダン出身者で高等教育を受けたインテリが多く、自身の信念の為に犠牲となる覚悟があるという。ちなみに、イスラエルのネタニヤフ首相は記者会見で「個人のテロを防止する手段はない」と嘆いている。

 ところで、米オレゴン州の大学で今月1日、1人の若者が銃を乱射し、10人を殺害したが、犯人はどのグループにも所属せず、個人の事情から武器を持って無差別殺害を行った。オバマ大統領はその直後、「わが国ではこの種の大量殺害事件が日常茶飯事となった」と指摘し、武器の規制を強く要求している。米大学内の銃乱射事件と中東で台頭してきた個人テロは取り巻く政治事情は全く異なるが、両者とも若者が主人公であり、過激なソーシャル・メディアの影響も大きい点など酷似している。

 中東の「新しい世代のテロ」の場合、犯行者は個人的事情や信念から犯行に及ぶケースが多いが、政府や国がその蛮行に全く関与していないかといえば、そうとはいえないだろう。彼らは国の教育を受けてきたのだ。パレスチナ人の場合、反ユダヤ主義的教育を受けてきた。今風にいえば、彼らの中には反ユダヤ主義のDNAが躍動しているはずだ。

 それでは中・韓両国で実施されている反日教育はどうだろうか。中国の場合、国策として反日主義を利用している。その教育を受けた若い世代の中国人は程度の差こそあれその影響を逃れることは難しい。一方、韓国の朴槿恵大統領は13日、中学・高校の韓国史教科書を現行の検定制から「国定教科書」に一本化する政府方針を表明したばかりだ。国主導の歴史教育の徹底化を狙っているわけだ。

 問題は、国が反日教育の操縦桿を常にコントロールできるかだ。分野は異なるが、上海の株式市場が8月から9月にかけ暴落した時のことを思い出してほしい。中国共産党政権は経済活動も国がコントロールできると確信していたが、連日暴落する株価にその自信が大きく揺れ出したといわれる。

 同じように、中国共産党政権が反日教育をプロパガンダとして利用できると高ぶっていると、その操縦桿を失うような事態に直面するかもしれない。中東の「新しい世代のテロ」の台頭はその危険性を強く示唆しているように思える。

パレスチナの国旗掲揚式の「話」

 ウィーンの国連広場で12日午後3時(現地時間)、パレスチナの国旗掲揚式が挙行された。国連のオブザーバー国の国旗掲揚式を承認した9月10日の国連総会の決定に基づくものだ。ニューヨークの国連本部では先月、パレスチナの国旗掲揚式が行われた。水平3色旗(上から黒、白、緑)で、旗竿側に赤色の3角形が描かれているパレスチナの国旗は10月のウィーンの空に掲げられた。

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▲国旗掲揚式で挨拶するパレスチナ自治政府のアル・マルキ外相
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▲ウィーン国連で掲揚されたパレスチナ国旗(2015年10月12日、ウィーンの国連広場で撮影)

 掲揚式に参加したパレスチナ自治政府のリヤド・アル・マルキ(Riad Al-Malki)外相は国連関係者に感謝の辞を述べ、「パレスチナは主権国家へ更に一歩踏み出した」とその意義を強調し、「パレスチナ人は占領状態から解放され、完全な主権国家を実現するまで困難を乗り越えていく」とその決意を表明した。
 式典にはウィーン国連代表のフェドトフ国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局長が参加し、パレスチナの国旗掲揚を歓迎するスピーチを述べた。国連職員やウィーン居住のパレスチナ人も招かれ、国旗掲揚式を共に喜び合った。

 国連総会は12年11月29日、パレスチナを「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案を採択。パレスチナを国家承認している国は既に130カ国を超える。パレスチナは2011年10月末、パリに本部を置くユネスコ(国連教育科学文化機関)に加盟し、今年4月1日には国際刑事裁判所(ICC)に正式に加盟し、国際社会での地位向上に努めてきている。

 ところで、ウィーンからパレスチナとイスラエルの中東の現状に目を移すと、楽観的にはなれない。エルサレム旧市街の聖地を巡って、ユダヤ人とパレスチナ人が9月に入り、衝突を繰り返し、これまでにユダヤ人4人、パレスチナ人20人以上が死亡した。
 今月に入ると、ヨルダン川西岸とエルサレムで、パレスチナ人がユダヤ人を殺害する事件が発生。今月9日には、パレスチナ自治区ガザの住民がイスラエル側に投石し、ガザからロケット弾が撃ち込まれるとイスラエル軍が報復攻勢に出ている、といったいつものパターンが繰り広げられてきた。


 イスラルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長は事態のエスカレートを回避するために国民に冷静を呼びかけたが、イスラム原理主義組織ハマスのガザ地区最高幹部ハニヤ氏は「新たなインティファーダを」と叫ぶなど、事態が収拾できるかは不透明だ。

 なお、アッバス議長は先月30日、国連総会の一般討論演説で、イスラエルとパレスチナの和平合意(1933年、オスロ合意)の破棄を示唆し、注目されたばかりだ。オスロ合意は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区をパレスチナ自治区と承認するものだ。

 米政界の焦点は来年の次期大統領選に移っている一方、欧州連合(EU)はウクライナ危機、難民・移民の殺到に直面し、パレスチナ問題に時間を費やすことが難しくなっている。国連は紛争解決能力を失って久しい。パレスチナとイスラエル両民族を取り巻く和平の見通しは、国旗掲揚式の日の午後の空のようには明るく、すっきりとはしていない。

金正恩の「ゲティスバーグ演説」 

 韓国聯合ニュースによると、北朝鮮の金正恩第1書記は朝鮮労働党創建70年記念行事の演説の中で、「人民」という言葉を約90回使ったことから、韓国統一省は「人民思いの指導者というイメージ作りを狙った」と分析しているという。

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▲「リンカーンのゲティスバーグの演説」(ウィキぺディアから)

 独裁者が重要な政治イベントで演説し、特定の言葉や表現を繰り返した場合、独裁者は必ずそこに特別の思惑を込めている、と受け取ることができる。金正恩氏の演説で「人民」という言葉の繰り返しを聞いた時、当方は直感的に、「金正恩はエイブラアム・リンカーンのゲティスバーグの演説(1863年11月19日)を意識しているな」と思った。「人民の、人民による、人民のための政治」というリンカーン米大統領の有名な演説だ。
 北朝鮮は独裁国家であり、主権者としての人民は存在しない。にもかかわらずというべきか、それ故にといった方が当たっているかは別として、金正恩氏は「人民」という言葉を繰り返し使った。金正恩氏は「人民」という言葉を果たして理解しているのだろうか。これを今回のコラムのテーマとして考えた。

 金正恩氏は「人民」の生活向上に関心があるのだろうか。父親の故金正日労働党総書記から政権を譲り受けて以来、その実績を見ると、決して皆無とはいえない。綾羅人民遊園地の完成、平壌中央動物園の改修、そして世界的なスキー場建設など、国家プロジェクトと遊戯用インフラの整理に腐心してきた。空の窓口、平壌国際空港が近代的に改築オープンしたばかりだ。
 金正恩氏の言葉を借りれば、全ては「人民の生活向上」のためというが、空腹に悩まされる一般市民が遊園地やスキー場に足を運ぶだろうか。海外旅行の自由もない人民に、国際空港の近代化はどんな意味があるのだろうか。
 申し訳ないが、金正恩氏の口癖の「人民の生活向上」は、大多数の生活苦にあえぐ人民のためというより、指導部エリート層の生活向上のためのインフレ整備といった性格が濃厚だ。

 隔離された住居エリアで幼少時代を過ごし、人民と直接接触する機会がなかった金正恩氏は、「人民」という概念を果たして正しく理解しているだろうか。130キロの体重を持て余し、足を引きずらざるを得ない30代の北朝鮮青年はいるだろうか。彼が演壇から「人民の」「人民の生活向上」を繰り返し叫んだとしても、どれだけの人民が感動するだろうか。金正恩氏は人生で共に生活したことがない「人民」という言葉を繰り返し、その「人民の生活向上」を熱っぽく語ったわけだ。

 金正恩氏は今回の軍事パレードのため兵力2万人と群衆13万人を動員した。人民の、人民による、人民のための政治を目指す国の統治とはとても思えない浪費だ。家族の食糧を確保するため全てのエネルギーを投入しなければならない北の大多数の人民は金正恩氏にとって永遠の異邦人であり続けるだろう。

極右政党「10月革命」の夢果たせず

 ウィーン市議会選挙(定数100議席)の投開票が11日行われ、その結果(暫定)によると、戦後から今日まで政権を維持してきた与党「社会民主党」が第1党を維持した一方、極右政党「自由党」は前回(2010年)比で得票率を大きく伸ばし第2党に躍進したが、「第1党になり、ホイプル市長を辞任に追い込み、赤の砦ウィーンを奪回する」と選挙戦で宣言してきた、その野望は実現できずに終わった。

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▲ウィーン市議会選で大躍進した自由党(中央・シュトラーヒェ党首)=自由党のHPから

 ホイプル市長が率いる社民党は得票率約39・5%で前回比で4・8%減だったが、44議席を確保し、政権パートナー「緑の党」(得票率11・6%)の10議席を合わせ、過半数を上回る54議席を確保したことから、第2次「社民党・緑の党」連立政権が樹立される可能性が濃厚となった。

 シュトラーヒェ党首が率いる自由党は前回比で5・3%増の約31%の得票率を得、30%大台に初めて達し、第2党となったが、ホイプル市長を辞任させ、ウィーンを奪回するといった“10月革命”は実現できなかった。シュトラーヒェ党首は「社民党を抜くという目標は実現できなかったが、得票率30%を超えたのは党の歴史上初めてのことだ。他党も自由党の躍進を無視できないはずだ」と述べている。

 市議会選で最大の敗北者は、ファイマン連邦政権の政権パートナー、保守派政党「国民党」だ。同党は戦後初めて得票率10%以下(約9・2%)に急落し、第4党となり、「緑の党」の後塵を拝することになった。同党のウィーン市ユラツカ党首は同日、選挙戦の敗北の責任を取って辞任表明した。

 ウィーン市議会選は先月27日に実施されたオーバーエスターライヒ州(州都リンツ)の議会選と同様、失業対策、停滞する経済問題などは争点とならず、殺到する難民・移民への対応問題が有権者の関心を独占した(「難民問題が選挙戦を独占した結果」2015年9月29日参考)。すなわち、ウィーン市議会選はファイマン連邦政府(社民党と国民党連立政権)の難民対策に対する有権者の信任投票の様相を帯びていた。
 そして結果は、難民・移民に対して厳格な規制を求める「自由党」が大躍進する一方、社民党が選挙戦終盤、党員を大動員し、自由党に政権を渡すな、ということで大奮闘、第1党の地位を守った。選挙戦は社民党と自由党の2政党の第一党争いに有権者の関心が集中、国民党、緑の党、今回初めて議席を取った新党「ネオス」(得票率約6・2%、5議席)といった他政党は最後まで苦戦を余儀なくされた。投票率は約74・4%で前回(約67・63%)より高かった。

 ちなみに、ウィーン市議会選の動向は隣国ドイツでも関心を呼んできた。大量の難民・移民が北アフリカ・中東諸国から殺到するドイツでは、難民・移民対策が目下、最大の政治課題だ。「世界で最も大きな影響を持つ女性」に選出されたメルケル独首相も11日夜(現地時間)、ウィーンからのニュースが気になって落ち着かなかったのではないか。独週刊誌シュピーゲル電子版は同日、「極右政党、果たせず」という見出しで、自由党が第1党に躍進できなかったことを速報で報じている。

 ドイツでは、難民の人道的受入れを基本とするメルケル首相に対し、バイエルン州の与党「キリスト教社会同盟」(CSU)のゼーホーファー党首は難民の無条件受入れ対策を批判したばかりだ。それだけではない。メルケル首相が率いる「キリスト教民主同盟」(CDU)の中でも首相の難民受入れ政策に批判の声が出ている。だから、ウィーン市議会選の動向は決して他人事として受け取ることはできないのだ。「もし、明日選挙が実施された場合」、ウィーン市議会選の結果はドイツでも再現される可能性が高いと受け取られているからだ。

 ウィーン市議会選は、社民党が第1党の地位を守って幕を閉じたが、難民・移民対策が最大の政治問題であり、その行方に国民、有権者が懸念を抱いていることを改めて明らかにした。

ユネスコの横暴に制裁を下せ! 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は中国が提出した「南京大虐殺文書」を世界記憶遺産に登録した。中国外務省の華春瑩報道官は9日の定例記者会見で、「歴史を銘記し、平和を大切にし、ともに人類の尊厳を守ることだ」とその意義を強調した。北京からは今回の世界記憶遺産登録を「平和の勝利」と豪語する声すら聞こえるという。

 南京大虐殺は1937年12月13日、旧日本軍の占領下にあった南京市で多くの市民が殺された事件だ。中国側はその死者数を「30万人」と主張してきたが、日本側の研究で虚偽と受け取られて久しい。なぜならば、南京市の人口は当時、20万人から多くても25万人程度と見積もられていたから、「30万人虐殺説」はあり得ない。

 ここで問題を整理する必要があるだろう。中国や韓国が日本の戦時中の行為を批判し、反日活動に利用するのは両国の国策であり、他国が止めることはできないが、歴史的出来事に対して関係国間の見解が分かれている問題をユネスコが世界記憶遺産に登録したという事実こそ問題とすべきだ。
 もちろん、史実が正しいかを調査しただろうが、膨大な歴史資料を精読し、歴史学者や関係者とのインタビューをしなければ判断できない問題だ。短期間で史実の真偽を判断できるものではないはずだ。

 ユネスコによると、「世界記憶遺産の審査は14人から構成された国際諮問委員会(IAC)が行う」というが、「委員の選考基準は明確ではないうえ、基本的には2年交代でメンバーは変わる。歴史学者の中で意見が分かれている問題の真偽を判断することは元々できない」という声が聞かれる。

 にもかかわらず、ユネスコは中国側の主張内容が正しいと判断し、登録したわけだ。その決定の背後に何らかの政治的打算が働いたのではないか、という憶測を排除できない。ユネスコは関係国の間で不一致の歴史問題について距離を置くべきだ。

  日本側はユネスコに対して、「日本側の要請を無視して記憶遺産に登録した。ユネスコに対して強く対策を講じる」と異例の警告を発したという。当然だろう。繰り返すが、中国が南京事件を国策として反日プロパガンダに利用することを止めさせることは出来ないが、ユネスコが史実の是非を一方的な判断で決定したことに対し、責任を追及すべきだ。具体的には、ユネスコへの資金拠出をストップすべきだ。

 日本政府は国連機関の横暴に対し制裁を課すべきだ。国連常任理事国入りを願う日本は国連機関への資金援助を拒否しないと他国から受け取られている。卑近な表現をすれば、なめられているわけだ。常任理事国入りの可能性は中国が拒否権を保持している限り、不可能だ。だとすれば、ユネスコへの資金拠出拒否への批判を恐れる必要はない。日本を怒らせたら怖いと思わせたほうが今後の国際外交の舞台では有利になるだろう。“世界の小切手”と重宝がられている段階では日本はどの国からも真の尊敬を受けられないだろう。

 ところで、ギリシャ神話によると、幽冥界にレテ河が流れているが、その河の水を飲むと全てを忘れてしまうという。最後の追い込みのため徹夜で勉強に励む受験生が間違って飲んでしまったら大変だが、中国指導者にはぜひとも一度、レテ河の水を飲んで頂きたい。彼らは過去を恣意的に粉飾し、それを政治プロパガンダに利用することを躊躇しない。その彼らがレテ河の水を飲めばどうなるだろう。反日プロパガンダのために莫大の資金とエネルギーを投入してきたこれまでの言動が馬鹿らしくなるのではないか。プロパガンダはあくまでプロパガンダで、事実ではないからだ。中国指導者を偽りの過去から解放すべきだ。
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