ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2015年09月

フランシスコ法王「神は泣いている」

 訪米最後の日(27日)の午前、フィラデルフィアでローマ法王フランシスコは聖職者らに性的虐待を受けた5人の犠牲者と会った。3人は女性で2人は男性だ。彼らは成人だが、性的虐待を受けた時はいずれも未成年者だった。法王と犠牲者との会合は1時間に及んだという。同会合には、フィラデルフィア大司教区の5人の聖職者のほか、バチカンの「聖職者性犯罪調査委員会」議長のショーン・パトリック・オマリー枢機卿も同席した。

 バチカン法王庁のロンバルディ報道官によると、フランシスコ法王は犠牲者の話を聞きながら、「聖職者が未成年者にこのような罪を犯すとは恥ずかしい。教会やその関連施設内でそのような犯罪を犯した者は許されないし、教会側もその事実を隠蔽してはならない」と述べ、「神は泣いている」と語ったという。

 前法王べネディクト16世も2008年4月、訪米時にニューヨークのセント・パトリック大聖堂で米教会聖職者の性犯罪に対し、「恥ずかしい」と述べている。
 ちなみに、べネディクト16世は2010年4月、マルタを訪問し、同国の聖職者から性的虐待を受けた8人の犠牲者と非公開の場で会見したが、その時、「べネディクト16世は犠牲者の話を聞きながら、その目は涙で溢れていた」という話が伝わっている(「ローマ法王の涙」2010年4月20日参考)。

 後任のフランシスコ法王は就任直後、聖職者の性犯罪を調査する委員会を設置し、不祥事の徹底的な調査を指令している。最近では、法王は未成年者への性的虐待を理由にドイツのヴルツブルク教区に従事していた神父の全ての権利を剥奪している。
 しかし、ローマ・カトリック教会では聖職者の性犯罪は絶えない。今年に入り、スペイン南部グラナダのローマ・カトリック教会の10人の神父と2人の信者が未成年者への性的虐待とその事実隠蔽の容疑で起訴されている。加害者は神父たちだけではない。司教から枢機卿まで含まれる。バチカン前教理省長官のレヴァダ枢機卿が大司教時代、未成年者へ性的虐待した聖職者の性犯罪を熟知しながら隠蔽していた疑いがもたれてきた、といった具合だ。

 「なぜ、イエスの十字架信仰で救われたと主張する教会の聖職者たちが性犯罪に走るのか」。これはいい質問だ。教会の制度にも問題があるが、カトリック教会の救済信仰の限界を示しているのではないか。後者が事実とすれば、カトリック教会は深刻な問題に対峙していることになる。フランシスコ法王が進めるバチカン機構改革では解決できない問題だからだ。

 聖職を担う者が性犯罪を犯す姿をみて「神は泣いている」という。とすれば、神はこれまで泣き続けていることになる。性犯罪だけではない。戦争、紛争、いがみ合いは絶えたことがなかった。新約聖書「マルタによる福音者」には、イエス・キリストが十字架で処刑される直前、「昼の12時になると、全地は暗くなって、3時に及んだ」と書かれている。神はその時、きっと泣いていたのだろう。

 神を全知全能であり、スーパーマンのように考えている人にとって、「涙する神」は想像できないかもしれない。だが、人が涙を流すとき、その傍で神も涙していたはずだ。

難民問題が選挙戦を独占した結果

 オーストリアのオーバーエスターライヒ州議会選挙(定数58議席)の投開票が27日、実施され、ピューリンガー州知事が率いる与党の国民党が得票率約36・4%で第1党を維持する一方、極右政党「自由党」が前回(2009年)のほぼ倍の得票率約30・4%を獲得して第2党に大躍進し、社会民主党は約18・4%で第3党に後退した。投票率は約81・6%と高く、有権者の選挙への関心の高さを示した(表参照)。

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▲躍進する自由党のシュトラーヒェ党首(オーストリア自由党のHPから)

 オーストリアの州議会選の行方は日本の読者には余りにもローカルなテーマと思われるだろう。これまではそうだったが、今回は例外なのだ。同州議会選の結果は今後、北アフリカ・中東諸国から難民が殺到する欧州連合(EU)加盟国で表面化するだろう極右派政党の躍進を告げる前奏曲となる可能性があるからだ。

 オーバーエスターライヒ州(州都リンツ)の議会選では州の経済問題、失業者対策は最後まで争点とはならず、殺到する難民への対応問題が有権者の関心を独占した。すなわち、同州議会選はファイマン連邦政府(社民党と国民党連立政権)の難民対策に対する有権者の信任投票の様相を帯びていたのだ。そして結果は、難民・移民に対して厳格な規制を求める自由党が独り勝ちし、大躍進した。

 ピューリンガー州知事(国民党)は、「選挙戦では州が抱えている諸問題に対して議論はまったくなく、難民の対応問題が独占した」と指摘、自由党が殺到する難民の受け入れで不安と恐怖を感じている有権者の票を独り占めしたと分析している。

 それに対し、同州の自由党代表ハイムブフナー氏は、「わが党は国民に不必要な不安を煽っているのではない。紛争地で迫害された難民に対しては人道的観点から受け入れるべきだが、経済目的の移民に対しては拒否すべきだと主張しているだけだ」と説明、自由党の躍進を恐れる他党が自由党への中傷誹謗を繰り返していると反論している。

 なお、自由党のシュトラーヒェ党首は、「オーバーエスターライヒ州選挙の結果は明らかだ。国民はファイマン現政権の難民受入れ政策に不安を持っているのだ。来月11日実施のウィーン市議会選では何が起きてももはや不思議ではない」と指摘、戦後からウィーン市議会を独占してきた社民党を破り、自由党が第1党に躍進する時を迎えていると自信を深めている。

 なお、ファイマン連邦首相は、「選挙結果には失望した。選挙は国民の不安を煽る扇動家が勝利した」と述べ、自由党がウィーン市議会でも躍進する可能性が出てきたとして警戒している。

 選挙の結果、州議会は国民党が21議席(7議席減)、自由党18議席(9増)、社民党11議席(3減)、「緑の党」6議席(1増)となった。今後、国民党主導の連立工作が始まるが、社民党と「緑の党」は自由党との連立を拒否しているため、国民党と社民党に「緑の党」を加えた3党間の連立工作が進められるものと受け取られている。

 いずれにしても、オーバーエスターライヒ州議会選の結果が欧州の政界に影響を与えることは必至だ。殺到する難民・移民問題は極右派政党に勢力拡大の絶好の機会を提供していることが改めて明らかになったからだ。
 来月11日に実施されるウィーン市議会選が文字通り、欧州に殺到する難民・移民の運命をも左右する一大政治イベントとなることは間違いないだろう。


■オーバーエストライヒ州議会選挙結果(集計100%)

  政党    得票率    前回比  議席(定数56議席)
 
 国民党   36・4%  10・4%減  21議席(7減)
 社民党   18・4%   6.6%減  11議席(3減)
 自由党   30.4%  15・1%増  18議席(9増)
 緑の党   10・3%   1・1%増   6議席(1増)

 ※投票率81・6% 

金正恩氏が首脳外交できない理由

 北朝鮮の最高指導者だった故金正日労働党総書記は飛行機に乗るのを恐れ、訪中でも特別列車で北京まで行ったものだ。その息子で後継者の金正恩第1書記は父親のような飛行機恐怖症はなく、戦闘機にも搭乗している写真が朝鮮中央通信(KCNA)から発信されたほどだ。だから、金正恩氏には国内の政情が落ち着けば、活発な首脳外交が展開されるだろう、といった淡い期待もあったが、今年12月で執権丸4年目が終わるが、これといった首脳外交のニュースは平壌から流れてこない。飛行機に搭乗するのを怖くない金正恩氏がなぜ首脳外交を躊躇するのか、当方はこれまで考えてきたが、朝鮮日報日本語電子版26日の記事を読んでその理由が分かったような気がした。

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▲平壌市内のフィットネスセンター(2014年1月2日、駐オーストリアの北朝鮮大使館の写真展示場から撮影)

 朝鮮日報は韓国政府筋の情報として、金正恩氏が過去5年間で30キロほど体重が増え、現在推定130キロではないかという。最近、朝鮮人民軍管轄の農場を視察した金正恩氏の写真が掲載されていたが、金正恩氏は確かに太った。大相撲の世界ではまだ小柄の部類だが、普通の社会では立派な肥満体の持ち主だ。
 当方は、一国の最高指導者をその外形から批判したり、揶揄う気はないが、この“増え続ける体重”こそが金正恩氏の首脳外交デビューを妨げる最大の障害だと信じているのだ。

 当方の確信を裏付けているのは、ロシアの対独戦勝70周年記念式典(5月9日)に招待されていた金正恩氏が最初は快諾していたが、土壇場になって参加を辞退し、金永南最高人民会議常任委員長を派遣したことだ。
 金正恩氏はかなり悩んだと聞く。険悪な関係が続く中国に代わってロシアは重要なパートナーだ。そのプーチン大統領から式典参加を求められたのだ。若き独裁者にとって最高の政治舞台だったはずだが、金正恩氏は参加しなかった。ロシア側の説明では、「北側の国内事情」というが、実際は、「金正恩氏の事情」だったのではないか。

 金正恩氏は叔父処刑後、“増え続ける体重”を持て余し、悩んでいた。その金正恩氏はプーチン大統領の前に立つのが怖くなったのだ。プーチン氏は側近や閣僚に体重制限を命じ、太った側近や閣僚は即解任すると宣言した政治指導者だ。もちろん、プーチン氏自身も健康管理に気を付け、日々、スポーツに汗を流している。その大統領の前に金正恩氏は立つ自信がなかったのだ。これが正恩氏のロシア訪問断念の真相だ。決して、外交プロトコール上の問題ではなかったはずだ。

 9月3日の中国の北京で開催された抗日戦争勝利70年記念式典には最初から参加する気がなかったから、“増え続ける体重”説は当てはまらないが、故金大中大統領夫人の李姫鎬女史が8月訪朝した際も、金正恩氏は夫人と会っていない。夫人はソウルに帰国後、「金正恩氏と会いたかったですが、実現できませんでした」と残念がっていたほどだ。金正恩氏は夫人と会合するシーンが撮影され、世界に流れるのを嫌ったのだ。非政治的な出会いですら、金正恩氏は非常に神経質となってきている。全てはその“増え続ける体重”が障害となっているのだ。

 それでは、なぜ金正恩氏の体重は増え続けるのか。医者ではないが、当方はストレス説が最有力だと受け取っている。叔父の張成沢(元国防委員会副委員長)の処刑から金正恩氏はまだ完全に立ち直っていない。外的には、軍視察やコンサートにも顔を見せているが、彼の心の中には大きな葛藤と恐れが渦巻いているはずだ。それから逃れたいために、彼は食べ、飲む。コントロールを失ったのだ。

 金正恩氏の周辺には妹の金与正氏(労働党中央委員会副部長)しかいない。今月25日に34歳となった実兄・正哲氏は政治には全く関心がない。正恩氏の重荷を共に背負う親族関係者が見当たらないのだ。最側近の軍幹部たちは首領の金正恩氏を心から尊敬していないことを、正恩氏自身が一番知っている。だから、人事を繰り返し、粛清を行うことで、軍幹部の謀反な言動を抑えてきた。金正恩氏は3代目の世襲独裁者だが、最も孤独な独裁者だ。“増え続ける体重”はそのことを端的に物語っているといえるだろう。

ドイツの国運が傾きだしたのか

 欧州連合(EU)の経済大国・ドイツが大きな試練を受けている。輸出大国ドイツを支えているのは自動車メーカーだ。その大手フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車の排ガス規制を恣意的に操作していたとして、糾弾されている。同不正問題で同社の株は急落し、同社はまさに存続の危機に直面している。
 VW社は25日、監視役会で今回の不正問題で引責辞任を表明したマルティン・ウィンターコルン社長の後任にポルシェ部門責任者のマティアス・ミューラー氏を最高経営責任者(CEO)に起用し、抜本的な再建に取り組む予定だ。

 VWが22日発表したところによると、米当局に指摘されたディーゼル車の排ガス不正操作に関連し、世界で約1100万台の大規模なリコール、それに関連した賠償問題が生じるという。その為、同社は65億ユーロの引当金を計上するという。その額はVWの昨年の純利益の6割に相当する。

 VW社だけではない。「ドイツ自動車専門誌アウト・ビルト(電子版)は24日、米NPOが行った実走検査の結果、独BMWのディーゼル車「X3」の排ガスから、欧州の基準値の11倍超の窒素酸化物(NOx)が検出された」(時事通信)という。不正排気ガス問題はドイツの全自動車メーカーに及ぶ様相を深めてきているのだ。

 興味深いことは、VWの排気ガス不正規制が表面化する数日前、BMW社のハラルト・クリューガー社長が15日、フランクフルト国際自動車ショーで新車のプレゼンテーション中、突然、意識不明となり病院に運ばれるという出来事が起きていることだ。

 当方は、マイクを手に新製品を説明していたBMW社長が突然、スローモーションのごとく倒れたのをビデオで見たが、そのシーンが目に焼き付いていて忘れられない。昨年12月に社長に就任した若いクリューガー社長(49)が倒れるなんてことは予想できないから、BMWのスタンドを取り巻いていた自動車ファンはビックリした
 倒れた社長はその直後、自力で立ち上がろうとしたが出来ず、関係者が助けて直ぐに病院に運ばれた。そのシーンは今から考えると、世界に誇るドイツの自動車メーカーの近未来を象徴的に表した出来事のようでもあった。

 ギリシャの財政危機をようやく切り抜けた直後、北アフリカ・中東諸国から難民が殺到、そしてドイツ産業のシンボル、VW社が会社の存続を問われる危機に直面している。
 
 敬虔なドイツ国民ならば、「我々はこの一連の出来事の意味を真剣に考えるべきだ」というだろう。火山の噴火爆発もその前にその兆候が観測される。同じように、人間が織りなすさまざまな出来事も慎重に観察していくならば、それが表面化する前に、必ずその前兆がキャッチできるものだ。前兆の段階で対応できない場合、大きな出来事、不祥事が具体的に生じてしまう。

 戦後70年目を迎え、ドイツは文字通り欧州の指導国家となった。メルケル独首相は「世界で最も影響力のある女性」に選出された。そのドイツの主要産業界、自動車メーカーが不正問題で危機に直面し、製造分野で世界に誇ってきた“メイド・イン・ジャーマニー”の信頼性が揺れ出した。
 メルケル首相はVWの今回の不正ガス規制問題について「徹底的な解明」を要求している。今回の問題がドイツの国運が傾いてきた前兆ではないことを祈るばかりだ。

米議会で法王は安倍首相に負けた!

 訪米中のローマ・カトリック教会最高指導者フランシスコ法王は24日、ワシントンの米議会の上下両院合同会議でローマ法王としては初めて演説をした。当方は同日午後4時頃(ウィーン時間)から、オーストリア国営放送のライブ中継で法王の演説を聞いた。

 フランシスコ法王は時たま、用意されていた水を飲みながら聴衆の米議員たちの方に顔を向け、微笑む余裕すら見せつつ、演説テキストを見て、ゆっくりと語った(ちなみに、米・キューバ10日間訪問で、フランシスコ法王は18回の演説を予定)。

 78歳のフランシスコ法王の演説を聞きながら、安倍晋三首相の米議会演説(4月29日)を思い出した。安倍首相は徹夜で英語による演説を準備したといわれている。その甲斐があって、演説は米国内で高く評価され、大成功に終わった。

 米議会の演説は国連総会の基調演説とは舞台だけではなく、その政治的重みも違うといわれる。どちらが、政治家にとって名誉かはそれぞれの立場で違ってくるだろうが、国連総会の演説の場合、国家の首相や大統領であるならば、演題に立つことができるが、米議会となれば、招待されない限り、出来ない。実際、ローマ法王と同時期に訪米中の中国の習近平国家主席は米議会に招待されていないし、ロシアのプーチン大統領も同様だ。安倍首相はそれらの指導者に先駆けて米議会で演説したわけだから、少しは自慢できるかもしれない。

 さて、ローマ法王の場合、演説の最初の段階で、米国の歴史に言及し、「米国は自由の国であり、勇気ある人たちの故郷だ」と外交辞令を飛ばした時、ほぼ全聴衆者が立ち上がって法王に拍手を送った。しかし、演説が進み、法王が堕胎問題や家庭問題に言及した時、聴衆者の議員の反応は分かれた。特に、「家庭が今日、内外ともに危機に直面している」と指摘した時、同性婚を合憲と判断した米国では共和党議員の間から拍手があったが、拍手せず座ったままの議員(多分、民主党委員)も見られた。法王が死刑問題や武器輸出問題で米国の再考を促した時、聴衆者の議員の反応は明らかに分かれた。

 フランシスコ法王は欧州で目下、多くの難民・移民たちが殺到していると述べ、「自分は移民の子供であり、あなた方の中の多くもそうだったろう」と語り、移民たちに「人道的、公平で、兄弟愛に基づく対応」を求めた時、移民受け入れに反対の共和党議員は渋い顔をして拍手せずに聞いていたのが印象的だった。

 産経新聞電子版によれば、安倍首相の45分間の演説で計14回のスタンディングオベーションがあったという。日米両国の関係深化と世界の平和に積極的に責任を担う決意を表明し、米国の支援に感謝し、両国の絆を強調した安倍首相の演説には強い反対の意思表示をする議員はなく、全体的に好意的な反応で終始していた。

 その点、フランシススコ法王の演説は、議会が民主党と共和党に2分しているように、その反応も複雑であり、あからさまに嫌な顔を見せる議員もいた。法王の1時間余りの演説で一環して拍手を送った議員はなく、そのテーマごとに拍手したり、無視したりして聞いた議員がほとんどだっただろう。

 「米国とあなた方の上に神の祝福がありますように」と言って演説を終えたローマ法王はバイデン副大統領とベイナー下院議長(両者はカトリック信者)の方に顔を向けて軽く挨拶し、足早に議会を後にした。

 演説の内容や目的は全く異なっていたが、安倍首相の演説はフランシスコ法王のそれより拍手とスタンディングオベーションの回数で明らかに上回っていた。換言すれば、米議会は同盟国の政治指導者への対応とは異なり、道徳・倫理的観点から間違いを諭す宗教指導者に対しては複雑な反応を見せたわけだ。

 なお、安倍首相はフランシスコ法王を日本に招待しているという。東京でフランシスコ法王が安倍首相の前で演説する場面を見たいものだ。法王の口から辛辣なアドバイスが飛び出すかもしれない。

「法王」と「習氏」は案外似ている

 ローマ法王フランシスコと中国の習近平国家主席は案外似ている、といえば、どちらが気分を害するだろうか。両者とも22日から米国入りし、オバマ米大統領のゲストだ。旅行日程が重なったことから、国際社会の注目が今売り出し中の南米出身のフランシスコ法王に注がれる結果、大国・中国を米国発で発信したいと密かに腐心してきた習氏が気分を害しているかもしれない。しかし、習主席は国賓として米国を訪問できたのだから、文句を言える立場ではないだろう。習氏には、自国に対する誇大妄想があって、非現実的な夢を追いかける悪い癖がある。

 さて、両者が現在米国をたまたま訪問中という以外に似ている点はあるのだろうか。あるのだ。最大の酷似点は、フランシスコ法王は世界に「約12億人の信者」を抱えるキリスト教会最大の教会指導者である一方、習主席は世界最大の「人口13億人以上」を有する国家の最高指導者だという点だ。すなわち、両者は10億人以上の組織・国家の長なのだ。

 考えてみてほしい、「12億人」「13億人」を有する組織、国家の頂点に立っている気分がどのようなものか、残念ながら実際に体験しない限り分からないが、「わが世の春」を謳歌するといった思いが湧いてくるかもしれない。フランシスコ法王はローマ・カトリック教会の12億人の羊たちを指導し、習主席は中国共産党最高指導者として13億人の民をその配下に置いているわけだ。

 それではフランシスコ法王と習主席の酷似点は米国訪問中という事実と12億人以上を有する組織・国家の長という2点だけだろうか。フランシスコ法王は78歳であり独身、習氏はまだ62歳で、人民軍歌手の彭麗媛夫人と結婚している。似ていない点の方が多い、と反論されるかもしれない。

 結論を急がず、考えて頂きたい。似ている点は「12億人」」13億人」という恐ろしい数字だけではなく、実はその内容にあるだ。フランシスコ法王は清貧を主張し、気さくで典礼など気にしない典型的な南米出身のローマ法王だ。教会の教義に対しても、同性愛問題、再婚・離婚者の聖体拝領問題まで寛容な姿勢を見せて教会内外で人気者だが、教会から去っていく脱会信者数はその後も増加しているのだ。フランシスコ法王の出身大陸、南米教会でも脱会傾向は深刻だ。世界最大教会と言われるブラジルでも多数の信者が教会に背を向けている。ローマ法王は人気者だが、教会は信者たちをもはや引き留めることができないでいる。ローマ法王の人気はあくまでも個人レベルで留まっているのだ(「教会は“賞味期限切れ”の組織?」2015年7月20日参考)。

 一方、中国13億人の頂点にある習主席はどうだろうか。フランシスコ法王より深刻なのだ。世界最大人口を有する中国は共産党一党独裁制度だが、共産党から脱退する党員数が今年2億人を超えたのだ(「中国には十分な空間がある」2015年5月19日参考)。共産党内でも党員証より企業の社長の名刺の方が人気があるのだ。また、共産党幹部やその子弟たちの海外移民、海外留学が盛んで、中国離れが進んでいるのだ。習主席は党幹部の腐敗対策に力を入れてきているが、なにせ人口が多い国だけに隅々まで監視の目が届かない、というのが現実だ。すなわち、中国共産党の実態はローマ・カトリック教会と同様、その土台が大きく震撼しているのだ。

 ちなみに、フランシスコ法王も習主席にも「暗殺情報」が流れている。フランシスコ法王に対する暗殺情報についてはこのコラム欄で報道したばかりだが、習主席も同様だ。中国の海外反体制派メディア「大紀元」によると、「習近平政権は精力的に進める反腐敗運動で、これまでに省高官以上の高級幹部100人あまりを取り締まった。一方で、習氏に対する暗殺未遂情報が中国国内でしばしば浮上している」というのだ(「ローマ法王の危険な10日間の『旅』」2015年9月18日参考)。


 まとめる。フランシスコ法王と習主席の最大の酷似点は崩壊寸前の10億人以上を有する組織、国家の指導者である点だ。ただし、法王は困窮に落ちた時、神に救いを求め、慰めを受けることができるが、習氏の場合、多くの政敵に囲まれ、自身以外に頼ることが出来ない孤独な指導者だ。換言すれば、有神論者と無神論者の違いだ。

 ひょっとしたら、フランシスコ法王はローマ・カトリック教会最後の法王に、習氏は中国共産党の最後の国家主席となるかもしれない。そうなれば、両者の酷似点はさらに1点、増えるわけだ。

「江沢民告訴」要求の署名活動拡大

 当コラム欄で先日、スイスの国会議員ら10人が中国の習近平・国家主席宛てに連署の書簡を送り、法輪功の集団弾圧を命令、執行した江沢民元国家主席の刑事責任を追及するよう求めていると報じたが、ウィーン市でも19日、海外に住む法輪功メンバーたちが江沢民元国家主席を告訴要求するデモ集会が行われた。

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▲法輪功メンバーたちのデモ行進(2015年9月19日、ウィーン市内で撮影)

 中国共産党政権は国内の気効集団「法輪功」メンバーに対して激しい弾圧を繰り返してきた。法輪功メンバーを監視する機関は通称「610公室」と呼ばれ、旧ソ連邦時代のKGB(国家保安委員会)のような組織だ。江沢民前国家主席が1999年6月10日、共産党員が減少する一方、メンバー数が急増してきた法輪功の台頭を恐れ、法輪功メンバーの取締りを目的として創設した専門機関だ。ちなみに、「610」という数字は6月10日の日付から由来する。
 
 610公室は現存の法体制に縛られない超法的権限を有し、法輪功の根絶を最終目標としている。610公室のメンバーは都市部だけではなく、地方にも送られている。そればかりではなく、海外の中国大使館にも派遣され、西側に亡命した法輪功メンバーの監視に当たっている。中国反体制派活動家たちは「610公室」を中国版ゲシュタポ(秘密国家警察)と呼んでいる。

 このコラムで数回、中国当局が拘束した法輪功メンバーから生きたままで臓器を摘出し、それを業者などを通じて売買していると報じた。2000年から08年の間で法輪功メンバー約6万人が臓器を摘出された後、放り出されて死去したというデータがあるほどだ。

 海外反政府メディア「大紀元」は今月22日、「江氏の刑事告発に向けた署名活動が世界で展開されている。企画した台湾の弁護士団・法輪功人権救済弁護団によると、7月から9月までに台湾、香港、韓国、日本などのアジア諸国で35万人が署名した。弁護団は、署名を国際刑事裁判所や大陸の司法関係当局に送る予定だ」と報じたばかりだ。

 大紀元によると、中国本土でも「江沢民を告訴」と書かれたステッカーが街の電柱や看板に貼られているという。当局の弾圧を恐れない法輪功メンバーや国民が国内でステッカーを張り続けているという。

 習近平国家主席は米国と並ぶ大国建設を夢みて腐心しているが、国内の人権弾圧、宗教者、少数民族への迫害政策が続く限り、中国はいつまでも2等国家の地位に甘んじざるを得ないだろう。

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【短信】 あす金正哲氏の34歳の誕生日

 北朝鮮の故金正日労働党総書記の次男、金正哲氏は25日、34歳の誕生日を迎える。平壌で身内だけで誕生日祝賀会が開かれるものと見られる。
 正哲氏については、余り知られていない。正哲氏は1981年9月25日、金総書記と高英姫夫人との間に生まれた。
 正哲氏については、.好ぅ垢離ぅ鵐拭璽淵轡腑淵襯好ールに偽名で留学していたこと、■娃暁6月、欧州を訪問し、エリック・クラプトンのコンサートを何度も訪れたことぐらいしか知られていない。
 弟の正恩氏は労働党第一書記に就任し、北朝鮮最高指導者の立場であり、妹の金与正氏は労働党中央委員会副部長の公職に就任し、正恩氏を支えていると言われている。

国連創設70周年と「朝鮮動乱」

 国連は今年10月24日、創設70周年を迎える。世界の平和促進と紛争解決を明記した国連憲章を抱える国連の過去の業績に対して評価は分かれるだろうが、国連は地球レベルの諸問題を協議できる数少ない貴重な外交舞台だ。ただし、193カ国の加盟国から構成された国連では各加盟国がその国益推進のために腐心する舞台ともなる。世界の首脳たちが結集する国連総会は一見、華やかだが、その舞台裏では激しい外交戦が展開されているのだ。

 国連外交で実質的権限を握っている機関は安全保障理事会だ。もう少し厳密にいえば、米英仏露中5カ国の常任理事国だ、常任理事国は拒否権を持っているから、5カ国のうち1国でも反対すれば議題は採択されない。最近では、シリア紛争を見れば分かる。シリアのアサド大統領を支持するロシアが拒否権を行使するため、抜本的な紛争解決案は採択できない、といった具合だ。日本やドイツは、「第2次世界大戦の終戦直後に創設された国連機関は21世紀の現状に合致していない」として国連の抜本的な改革を要求しているわけだ。

 国連は過去、世界の様々な紛争解決に努力してきたが、国連の機能が一番発揮しやすい分野は開発途上国への支援だろう。今年の総会(9月25日〜27日開催)では、今年で終了するミレニアム開発目標(MDGs)を継承して来年からの「持続可能な開発目標」(SDGS)が採択される予定だ。ただし、17項目からなるSDGSが採択されたとしても問題はその履行だ。その段階に入ると、加盟国間の国益争いが表面化し、履行が難しくなるケースが出てくる。例えば、気候変動問題だ。

 残念なことだが、国連機関は腐敗、堕落の巣窟でもある。最近、メディアで暴露された国連平和維持活動(PKO)要員の派遣先での性的虐待問題はその氷山の一角に過ぎない。PKO要員が2008年から13年の過去6年間で約480件の性的虐待を犯していたことが国連内部監査部の報告書で明らかになったばかりだ。
 ウィーンに本部を置く専門機関の国連工業開発機関(UNIDO)は過去、モントリオール・プロジェクト担当官が北朝鮮へ化学兵器製造可能な器材や物質を送っていたことが発覚すると、簡単な調査を実施するだけで関係者の腐敗を隠蔽する、といった具合だ。

 国連の主要課題は紛争解決だが、先述したように5カ国の常任理事国が拒否権を握っている限り、公平な調停役はあまり期待できないのが現状だ。日本の国民が国連を紛争解決の理想的機関と考えるとすれば、失望は避けられないだろう(日本は1956年、国連加盟)。

 しかし、国連70周年の歴史の中で忘れることができない出来事もある。朝鮮動乱(1950年6月25日〜53年7月27日休戦)だ。韓国と北朝鮮間で朝鮮半島の主導権争いが生じた。北朝鮮が韓国領土に侵略して動乱が始まった。国連で対北非難決議が話し合われ、国連軍の派遣問題が協議された時、ソ連代表は欠席だった。そこで国連軍の派遣案は採択され、安保理決議84に基づき、マッカーサー連合国総司令官を中心とした国連軍が守勢にあった韓国軍を支援、仁川に上陸し、北軍を攻撃し、中朝国境線まで追いやることに成功した(その後、中国人民解放軍の参戦で戦況は膠着状況となり、53年7月、休戦に入った)。

 あの時、国連軍が参戦していなかったら、朝鮮半島は完全に赤化され、日本は冷戦時代、共産国と直接対峙する状況下に置かれたはずだ。そうなれば、日本のその後の発展もまったく違ったものとなっていただろう。少なくとも、韓国と日本両国は国連軍に感謝しなければならないわけだ。

難民問題の焦点が「人道」から「テロ」?

 メルケル独首相は8月末、「シリア難民は受け入れる」と表明した。その結果、オーストリア経由で先月、数万人の難民が独バイエルン州のミュンヘンに殺到した。その数日後、バイエルン州の与党「キリスト教社会同盟」のホルスト・ゼ―ホーファー党首が、「押し寄せる難民をバイエルン州だけでは対応できない」と悲鳴を上げると、メルケル首相は他州に難民の公平な受け入れを呼びかけた。しかし、状況は改善しない。そこで今月13日、トーマス・デメジエール内相は、オーストリアからバイエルン州に殺到する難民・移民への国境検問を再開し、欧州連合(EU)域内での人の自由な移動を明記したシェンゲン条約の一時停止を表明した。独政府の発表を受け、隣国オーストリア側も対ハンガリー、スロべニアなどの国境の検問を再開した。

 ドイツ側は、「難民受入れ政策に変化はないが、規律と秩序ある受け入れが求められる。殺到する難民を無条件では受け入れることは出来ない」と述べ、オーストリア国境での検問を始めた。クロアチア、ハンガリーにいた難民たちが19、20日の両日、一斉にオーストリアの国境ニッケルスドルフなどに殺到している。その数は2万人を超える。

 以上、23日開催予定の難民問題に関するEUの緊急首脳会談直前の状況だ。

 興味深い点は、難民に紛れてイスラム過激派テロリストたちが入り込んできた、という情報がここにきて流れてきたことだ。例えば、ドイツ紙ウェルト日曜版は20日付、「ドイツ入りした難民の中にイスラム教スンニー派過激テロ組織『イスラム国』メンバーが紛れ込んでいた疑いが出てきた。警察当局が現在捜査中」と報じたばかりだ。
 メルケル首相ら政治家が人道的対応を訴え、難民収容所を訪問、シリア難民に対して暖かい連帯を表明。メディアもドイツ側の難民への人道的対応を報道してきた。しかし、難民はどんどん増え、一国ではもはや対応できなくなってきた。EU加盟国へ難民に公平な負担を呼びかけたが、東欧諸国では依然、反発が強い。そのような時、「難民の中に『イスラム国』のシンパや関係者が紛れ込んでいた」という情報がメディアに流れてきたのだ。あたかも、それ故に、難民をこれ以上無条件では受け入れられない、と間接的に表明しているかのようにだ。

 イスラム過激テロ問題の専門家、アミール・ベアティ氏は、「殺到する難民の中に、『イスラム国』メンバーや『ムスリム同胞団』関係者が紛れ込んでいると考えるのは当然だ。欧州治安関係者は最初から懸念してきた。難民収容が難しくなってきたこの段階でそのような情報が流れだしたというのは、単なる偶然ではないだろう。『イスラム国』は欧州でテロを行うと何度も宣言してきた。テロリストにとって、今回のように難民が欧州の地に流れている時、欧州に潜入するのは容易いことだ」と主張する。

 要するに、難民の中にテロリストが紛れ込んでいる可能性は最初から想定内のことだったが、難民対策で人道的受け入れが優先されてきた段階では、その懸念は抑えられてきた。しかし、もはや収容できなくなったので、テロ情報を恣意的に流し、難民収容のテンポにブレーキを掛けようとしている、と解釈できるわけだ。

 トルコ経由、バルカン・ルートで欧州入りを目指す難民たちはオーストリア入りすると素早くスマートフォンや携帯電話の充電のために電源を探す姿が見られる。欧州に住む親族、家族に連絡するためであり、情報収集のために必要だからだが、ヨルダン、レバノン、トルコの難民収容所に長期滞在する難民たちとは明らかにその言動は異なっている。“豊かな難民”と“貧しい難民”の違いだけではないようにも感じるのだ。

北のクリスチャンの「祈り方」

 世界のキリスト信者の迫害状況を発信してきた非政府機関、国際宣教団体「オープン・ドアーズ」は今年、創設60周年を迎えた。それを祝して19日、ウィーン工科大学内で記念イベントが開催された。当方も招待されたので参加した。

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▲創設60周年を迎えた「オープン・ドアーズ」の記念イベント(ウィーン工科大学内で、2015年9月19日撮影 )

 「オープン・ドアーズ」によれば、世界でキリスト信者たちがその信仰ゆえに迫害され、犠牲となるケースが増えてきている。その数は1億人にもなると推定されている。特に、北アフリカ・中東諸国では少数宗派のキリスト信者たちはイスラム過激派テロ組織の襲撃対象となり、家を追われ、難民となって彷徨っている。キリスト信者への迫害状況は2000年間のキリスト教歴史でも最悪だという。

 イベントでは3人のメイン・スピーカーが報告した。読者にその概要を紹介する。
 最初は、テュ―ビンゲン大学のライナー・ロートフス教授がイラクを視察してきた体験と信者たちとのインタビューの内容を踏まえて報告した。

 同教授は、「イラクやシリアではキリスト信者たちが虐殺されたり、追放されている」と報告する一方、「イスラム教スン二派過激テロ組織「イスラム国」(IS)は今日、単なる過激テロ集団というより、機能する国家形態の構築を目指してきた」と警告を発した。人質の首を斬り、歴史的遺産を破壊している一方、占領地の武器や原油を資金源とし、労働者に対しては高給な賃金を払うなどを通じて、ISへの忠誠心を獲得してきた。若い女性たちは売られ、結婚年齢を過ぎた中年以上の女性たちは負傷したIS兵士への血液供給源となっている。すなわち、血液バンクだ」と指摘した。

 2番目はナイジェリアのイスラム過激テロ組織「ボコ・ハラム」(Boko Haram)について、同国のキリスト教会の Yakubu Joseph 牧師が報告した。「国際社会はボコ・ハラムの蛮行については報道されているから知っているだろう。ナイジェリアは北部がイスラム教徒、南部がキリスト教徒が多数を占める国だ。キリスト信者たちはいつ襲撃されるかと不安の中で生きている。私は市場で買い物に出かけたとしても、安全で帰宅できるか分からないといった感じだ。キリスト信者たちは神の加護を求め祈っている。ナイジェリアのキリスト信者たちのために祈ってほしい」と述べた。

 3番目のスピーカーは脱北者の金ヨンソク(Kim Yong Sook)女史だ。「オープン・ドアーズ」が毎年発表するキリスト教弾圧インデックスでは北朝鮮は毎年、最悪の「宗教弾圧国」だ。その国で生きてきたキリスト信者の金女史の証は壮烈なものがあった。

 聖書を持っているだけで拘束され、悪くすれば収容所に送られ、強制労働を強いられる。そこでは生きて帰ることが難しい状況だという。金女史が幼い時、父親が座って首を垂れている姿をよく目撃した。歳をとれば皆あんな風になるのかと思っていたという。実際は、父親は祈っていたのだ。北では祈ることは許されないから、祈っていることが分からないように祈らなければならないことを知ったという。

 金ファミリーがキリスト信者と分かったために、家族は収容所に送られた。刑務所では父親と一度会ったが、その後は会うことが出来なかった。食事は普通なら食べることができないものだったが、生きていくために口に運んだ。

 「北では1990年代、飢餓が席巻していた。食べるものがなく、路上には多くの人が飢えで亡くなった。路上の亡くなった人を見て、生きている人は『彼らはもはや飢えで苦しむことがない』と羨ましく思った。それほど飢餓は激しかった。そのような中で、キリスト信者たちは生き延びていかざるを得なかった」と報告した。

 2度目の脱北で亡命し、キリスト系支援団体の助けなどを受けて第3国を経由して韓国に亡命した。金女史は「私は今、北朝鮮のキリスト信者支援運動に関与している。自分の息子が牧師となって歩んでいる姿を見て神の手を感じている」と証した。

 当方は北朝鮮の政治家、外交官、ビジネスマン、学者とは会見したことがあるが、北のキリスト信者に遇ったのは今回が初めてだった。その信者が語る内容は多分、普通の生活しているわれわれには想像できないだろう。小柄な金女史がしっかりとした声で神を証する姿を見て、感動を覚えた。
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