ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2014年06月

有害化学物質が世界を亡ぼす

 世界が滅ぶとすれば、核兵器による戦争勃発、地球の温暖化が直ぐに思い浮かぶが、「最もリアルなシナリオは化学物質による地球汚染だ」という声が聞かれる。化学物質による地球環境の破壊、土壌の汚染、化学物質から生産された食料(食品添加物など)によるアレルギーの脅威、化学物質過敏症、化学物質から生産された合成麻薬類の拡大など、化学物質による脅威は今日、地球規模で悪影響を与えてきているというのだ。

 例えば、ウィーンに本部を置く国連薬物犯罪事務所(UNODC)が26日公表した「2014年世界麻薬報告書」は化学物質から合成された麻薬類の拡大に警戒を与えている。特に、麻薬製造に利用される化学物質、前駆物質の管理の重要性を強調している。ちなみに、20世紀前半、化学物質を生産する国は欧米諸国に限られてきたが、2010年現在、化学物質の世界最大生産地はアジア諸国(全体の44%)に移動している。同時に、化学物質が合成麻薬の前駆物質として利用されるケースが急速に広がっている。アジア地域で合成麻薬が拡大してきたのは決して偶然のことではない。

 国連は1988年、「麻薬および向精神薬の不正取引に関する国際条約」を最訳して、化学物質の管理に乗り出している。具体的には、国際薬物統制委員会(INCB)が前駆物質の管理を担当している。前駆物質には今年1月現在、エフェドリン、無水酢酸など23の化学物質がリストアップされているが、その数は年々増加傾向にある。

 実例を挙げれば、北朝鮮が風邪薬製造に利用されるエフェドリンを独薬品会社に大量注文したことがある。コール独政権(当時)が「北朝鮮の国内需要量を上回るエフェドリンの注文は怪しい」として独企業に輸出禁止を要請したことがある。北はエフェドリンで大量の合成麻薬を製造する計画だったと見られている。

 化学物質による土壌汚染問題では留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs)がある。ストックホルム条約は2001年5月に採択され、04年5月に発効した。POPsとは、毒性が強く、分解が困難で長期間、人体や環境に悪影響を与える化学物質だ。ダイオキシン類やDDTだ。DDTは有機塩素系の農薬でPOPsの規制対象物質だ。日本では1971年に使用が禁止されたが、同条約に加盟していない北朝鮮はDDTをまだ使用している(「北朝鮮のPOPs問題」2007年5月19日参考)。

 POPsの怖さは、悪影響が一国だけに留まらず、地球全土に拡大することだ。平壌がDDTの使用を中止しなければ、土壌が汚染し、その影響は時間の経過と共に他国にも拡大する。簡単にいえば、北朝鮮のPOPsは偏西風やグラスホッパー現象などを通じて日本にも影響を与える。日本で久しく使用されていないPOPsが国内の土壌から検出されたということが度々起きる理由だ。その意味で、POPsは国際規制が不可欠となるわけだ。急速に経済発展する中国の環境汚染問題は最近、大きく報道され、その影響はアジア近隣諸国だけではなく、地球規模に及ぶと指摘され出した。大気汚染から水質汚染、土壌汚染まで、その汚染影響は計り知れない。

 化学物質の生産は国家の経済発展を久しく支えてきたが、21世紀に入って地球を覆う有害化学物質が人類の健康を蝕む主要要因となってきた。そこでPOPs条約、「有害廃棄物の越境移動に関するバーゼル条約」などの国際条約が採択され、国際的な化学物質管理戦略的アプローチ(SAICM)が2006年2月、国際化学物質管理会議で採択され、「2020年までにすべての化学物質を人の健康や環境への影響を最小化する方法で生産、利用する」ことを目指している。

「韓国訪問」は法王の健康上リスクか

 ローマ法王フランシスコは27日、予定していたローマ市のガメリ病院創設50周年記念行事の参加を「体調不良」を理由に見合わせた。バチカン法王庁からの情報によると、予定された記念ミサはミラノのスコラ枢機卿が代行したという。フランシスコ法王の体調問題については、「法王が突然、体調の不良を訴えただけだ。法王の健康には問題がない(ロムバルディ報道官)というが、今年12月で78歳を迎える南米出身のフランシスコ法王はここにきて体調不良を訴える回数が増えている。


 フランシスコ法王は5月24日から3日間、ヨルダンの首都アンマンを皮切りに、ベツレヘムとエルサレムの中東の3都市を訪問し、その直後(6月8日)、ユダヤ教代表のイスラエルのペレス大統領(当時)とイスラム教代表のパレスチナ自治政府アッバス議長をバチカンに招いて中東和平の祈祷会を開いたばかりだ。そして8月14日から18日、韓国を公式司牧し、大田や忠清南道一帯で開かれる「第6回アジア青年大会」に参加する。来年初めにスリランカとフィリピンの訪問が控えている。年内にアルバニア訪問の話も流れている、といった具合だ。

 ローマ法王に就任した直後、「海外訪問を抑えたい。ローマ法王は本来、ローマ教区の司教の立場だ。ローマの信者たちとの接触を増やしていく」と述べていたが、気さくで陽気、貧者、病人に熱い思いを持つフランシスコ法王は教会内外で人気が高いこともあって、法王の訪問を要請する国が増えてきている。

 バチカンは典型的な高齢社会だ。ローマ法王を筆頭に枢機卿は60代後半から70代が大多数を占める。次期法王を選出するコンクラーベ(法王選出会)に属する枢機卿の数が上下するのは高齢枢機卿の死去が多いからだ。フランシスコ法王も健康管理が大変だろう。
 10月5日にはシノドス(世界代表司教会議)が開催される。そこで「福音宣教から見た家庭司牧の挑戦」(仮題)について協議される。フランシスコ法王は昨年4月、8人の枢機卿から構成された提言グループ(C8)を創設し、法王庁の改革<使徒憲章=Paster Bonusの改正>に取り組んできた。10月のシノドスは法王が進めるバチカン改革の最初の正念場だ。バチカン・ウオッチャーによると、教会の改革に反対する高位聖職者や関係者がフランシスコ法王の改革を挫折させるためさまざまな画策を行っているという。

 オーストリアの著名な神学者、パウル・ツ―レーナー(Paul Zulehner)教授が昨年、「カトリック教会内の根本主義者らによるフランシスコ法王の暗殺計画が囁かれている」と警告し、関係者を驚かせたが、著名な高位聖職者、ヨアヒム・アンゲラー元修道院長が今春に出した新著「ローマ法王フランシスコ、ローマ司教」の中でも「法王暗殺の危険性がある」と同じように警告を発するなど、法王暗殺の憶測情報が昨年末以来バチカン内部で流れている(「フランシスコ法王には『敵』が多い」2014年3月18日参考)。

 高齢、海外訪問の増加、反改革派との熾烈な戦いなど、フランシスコ法王を取り巻く環境は一段と厳しくなってきている。ローマ法王が突然体調の不調を訴えたとしても決して不思議ではない。バチカン消息筋は「10月の司教会議が今年最大の行事だ。それを成功させるためには法王の健康管理が急務だ。アジアの蒸し暑い夏、15時間以上の飛行機に乗って韓国を訪問することは健康上、リスクが大きい」と指摘、8月の韓国訪問の日程に変更もあり得ると予想している。

北、国連に「麻薬報告書」を提出せず

 「国際麻薬乱用撲滅デー」の26日、国連薬物犯罪事務所(UNODC)はウィーンの本部で「2014年世界麻薬報告書」を公表した。それによると世界の成人人口(15歳から64歳)の約5%に相当する2億4300万人が2012年、不法麻薬を摂取した。麻薬中毒者数は約2700万人で世界成人の約0・6%だった。また、麻薬関連死者数は約20万人だ。

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▲UNODCが発表した「2014年世界麻薬報告書」

 フェドートフ事務局長は、「麻薬対策を成功させるためには国際連帯が必要だ。麻薬の需要と供給問題では、防止、治療、社会復帰と統合などを考慮したバランスのある包括的アプローチが大切だ」と述べている。

 当方はUNODCの麻薬問題専門家に北朝鮮の麻薬問題について質問した。読者のために北朝鮮と国際麻薬条約との歴史を簡単に紹介する。北朝鮮は2007年3月、麻薬関連の3つの国際条約に加盟した。北が加盟した国際条約は、「麻薬一般に関する憲章」(1961年)、「同修正条約」(71年)、「麻薬および向精神薬の不正取引に関する国際条約」(88年)の3件だ。

 北が麻薬条約に加盟したことを受け、国際麻薬統制委員会(INCB)のコウアメ事務局長は当時、「北朝鮮政府が加盟国となったということは、国際条約の義務を履行する決意があるからだ。平壌が国際条約加盟国として真摯にその義務を履行すると確信している」と述べ、大歓迎したものだ。「国家ぐるみで麻薬犯罪に関与」を疑われてきた北が国際麻薬条約に加盟したことは世界を少なからず驚かせたものだ。

 UNODC担当の北外交官は当時、「わが国内では欧米諸国のような不法麻薬の乱用は皆無に等しいが、海や国境線を越えて不法麻薬がわが国に密輸入されるケースはある。そのために、密輸入対策や関税当局の対応が急務となる。UNODCにはそれらの技術支援を要請しているところだ」と説明し、「米国は過去、わが国が国家ぐるみで麻薬密売に関与していると批判してきたが、全ては中傷誹謗に過ぎないことが実証されたはずだ」と主張したものだ。


 そこでUNODC麻薬専門家に「北加盟後7年目の成果」について質問した、というわけだ。同専門家は、「残念ながら北側から年次麻薬報告書が提出されたことがない。質問事項を送付したが、何の返答も記述されずに戻ってきた」という。UNODC加盟国は毎年、自国の麻薬状況、統計などを報告する義務を負っている。にもかかわらず、北側は加盟後、一度も自国の麻薬関連報告をウィーンに送ってきていないというわけだ。

 当方は「義務履行の違反として北に制裁を行ったのですか。例えば、加盟国の資格停止といった制裁などです」と聞くと、「UNODCは加盟国に対する制裁条項がない。国際条約の履行を監視しているINCBには制裁事項があるから、加盟国に対して制裁を科すことはできるが、INCBが北に制裁を実施したとは聞かないね」という。

 「条約違反国に対し何もできないというのでは仕方がないですね」というと、専門家は「UNODCとの連携を拒否しているのは北朝鮮だけではない。残念ながら、君の日本もそうだよ」というではないか。聞くと、「日本がUNODCに提出した年次報告書の中で『北から密輸された合成麻薬が日本国内で拡大している』と記述されていた個所があったので、日本側に詳細な情報提供を要請したことがある。しかし、日本側からは何の返答もなかった」というのだ。

 UNODC事務局長が指摘するように、麻薬問題はもはや一国では解決できない。国際社会の連携が不可欠だ。報告書の提出義務を無視する北側はもちろんだが、UNODCの情報提供要請に応じない日本側も協調性に欠けると批判されても仕方がないかもしれない。

プーチン氏を赤絨毯で迎えた理由

 報告が遅れたが、アルプスの小国オーストリアのウィーンにロシアのプーチン大統領が24日、実務訪問した。数日前からプーチン氏のウィーン訪問がウィーン子の大きな話題だったので、読者に報告する。

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▲プーチ大統領を迎えるファイマン首相(2014年6月25日、オーストリア連邦報道局提供)

 プーチン氏のウィーン訪問は公式訪問ではなく、6時間余りの短時間の実務訪問だったが、ウクライナのクリミアを併合したプーチン大統領に対して欧米諸国が結束して批判し、対ロシア制裁を実施中の時だけに、「なぜ、オーストリアは欧米諸国の結束を崩すような一方的な外交をするのか」といった批判がEU諸国内から聞かれる。換言すれば、国際社会で孤立化してきたプーチン氏にどうして赤じゅうたんを敷いて迎えたかだ。

 プーチン氏を招待したオーストリアのフィッシャー大統領は「欧米とロシアの関係が険悪している時だけに対話がこれまで以上に重要となる」と懸命に弁明。クルツ外相は「わが国はEUの対ロシア制裁を支持している。クリミア併合でもはっきりとモスクワを批判してきた」と述べる一方、「ウィーンは冷戦時代から東西両欧州の橋渡し的役割を果たしてきた。わが国の伝統的な外交だ」と説明し、同盟国の理解を求めた。それに対し、スウェ―デンのビルト外相は「ロシアとの対話交渉の窓口はEU機関だ。加盟国の一国が勝手に対ロシア外交を行うものではない」と不快感を表明している。

 プーチン氏のウィーン訪問のプロトコールによると、同氏は同日午後2時過ぎ、ウィーンの空港に到着するとホーフブルク宮殿に直行し、フィッシャー大統領の歓迎を受け、実務対談後、ファイマン首相やクルツ外相などを交えや昼食会。その後、経済商工会議所で講演、ウィーン市内のロシア兵追悼碑に献花、そして欧州安全保障協力機構(OSCE)事務局長とのショート会談等をこなし、同日夜、帰国の途に就いた。

 プーチン氏の訪問のハイライトは、ウクライナを経ず欧州にロシアのガスを輸送するサウス・ストリームのガス・パイプライン建設に関する合意書の調印式だったが、調印式の場にはプーチン、フィッシャー両大統領は参席せず、関係会社の責任者が行った。EU側が同パイプライン建設について難色を示している時だけに、両大統領参席の華々しい調印式は不味い、という配慮がオーストリア側にあったからだという。

 オーストリア側は「プーチン氏のウィーン滞在中、ウクライナ問題の和平に関する意見の交換が行われた」と説明し、パイプライン建設に関する調印式はあくまでサイド・イベントに過ぎないと強調したが、ロシア側は「プーチン氏のウィーン訪問の主要関心事はガス・パイプラインの調印だ。ウクライナの和平問題については、ウィーンで話す必要はない。ウクライナの当事者同士が話せばいいことだ」と述べている。

 ちなみに、オーストリアとロシア両国の経済関係は良好だ。昨年のオーストリアの対ロシア輸出総額は34億8000万ユーロで前年比で10・4%急増。輸入総額は31億8000万ユーロだった。オーストリア企業はロシアに対して85億ユーロ相当を投資している。ソチ冬季五輪大会誘致プロジェクトでもロシア側から多くの商談を受け取った。なお、オーストリアはガス供給の約60%をロシアから輸入している。

 いずれにしても、オーストリアのフィッシャー大統領やクルツ外相は「ウクライナ問題解決への橋渡し」を強調し、プーチン氏のウィーン訪問の意義を強調してきたが、その説明通り信じる欧州同盟国は残念ながらいない。同国日刊紙ザルツブルガー・ナハリヒテンは「扱いが難しいゲスト」とプーチン大統領を評する一方、同大統領を赤絨毯を敷いて迎えたホスト国の後ろめたさについても言及していた。

日本人選手に欠ける“野生の叫び”?

 24日夜(ウィーン時間)、ブラジルのワールドカップ(W杯)グループ戦D組の第3ラウンドのウルグアイ対イタリア戦を観戦した。当方は知り合いが多いこともあってイタリアを応援していた。グループ戦を勝ちぬくためには、イタリアは引き分けで十分だが、ウルグアイは勝利しなければならない。必然的に、ウルグアイは攻撃を仕掛け、イタリアは伝統的に強い守備を一層固めて試合に臨んだ。結果はウルグアイが1−0でイタリアを破り、Dグループ上位2位内に入った。
 今回のW杯では、イギリス、スペイン、イタリアといった欧州の強豪チームがグループ戦で敗退するという番狂わせが多い。W杯を中継放送中のドイツ公営放送は「欧州チームは南米チームの勢いに押されている」と指摘していた。幸い、オランダ、ベルギー、フランスといった欧州チームは勝ち上がった(ドイツもほぼ確実)。これからチリ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなど南米強豪チームとの一騎打ちが待っている。

 ところで、ウルグアイ対イタリア戦前半は0−0に終わり、後半に入ると、ウルグアイが必死の攻撃に出てきた。引き分けでは予選通過できないから当然だ。ウルグアイでは国民のW杯への期待は高い。グループ戦敗退となれば大変だ。そのように考えていた時だ。英プレミアリーグのリヴァプールで活躍し、今季最優秀選手と得点王を獲得したFWのスアレス選手が後半80分、ゴール間際でイタリアのDFキェリニ選手の肩を噛んだのだ。キェリニは主審に噛まれた肩をアピールしたが、無視され、試合は続行された。
 ビデオでみると、キェリニ選手の肩には噛まれた痕が鮮明に残っていた。主審は本来、スアレス選手にレッドカードを言い渡さなければならなかったわけだ。イタリアはウルグアイの激しい攻撃を必死に耐えていたが、試合終了間際にウルグアイにゴールを決められてしまった。主審がスアレス選手にレッドカードを与えていれば、試合の流れは当然変わっただろう。今回のW杯では主審のミスで試合が決定するケースが少なくない。

 当方は過去、サッカー選手が試合中、相手選手に噛みつくシーンを見たことがなかったので、スアレス選手の噛むシーンには正直驚いた。ボクシングの世界ヘビー級戦でマイク・タイソンが相手ボクサーのホリフィールドの耳を噛むといったハプニングがあったことは覚えているが、サッカー選手が相手を噛む、といったことは考えられないことだ。ただし、スアレス選手は過去、2度、相手選手を噛んだ前科があるのだ。

 独公営放送で試合を解説するオリバーカーン氏(元バイエル・ミュンヘンのゴールキーパー)は「彼はこれで3度、相手選手を噛んだことになる。スアレスはなぜ噛むのかを精神分析する必要があるだろう。ウルグアイ国民の彼への期待が余りにも大きい。そのうえに、さまざまなストレスがあるのだろう。それらが限界まで溜まると、そのエネルギーを何とか放出しようとする衝動が高まるはずだ。スアレスの場合、相手選手を噛むという衝動的行動として表れてくるのだろう」と分析する。
 ちなみに、FIFAは目下、スアレス選手に対する制裁を協議している。初犯でなく、3回目ということもあって、「最悪の場合、2年間の試合出場停止処分も十分考えられる」という。英紙デイリー・テレグラフは「スアレスを英プレミアリーグから追放すべきだ」と助言しているほどだ。

 同日、グループ戦C組で日本チームがコロンビアに1−4で完敗し、グループ戦敗退が決まった。サポーターが試合後、ゴミ拾いをしたという記事を読んで、「日本人は選手もサポーターも悪童スアレスとは全く逆だな」と感じた。同時に、スアレスのような破格の野性的な選手が日本サッカー界に生まれてくるだろうか、と考えさせられた。

 日本チームは姿を消したが、ブラジルのW杯もいよいよKO戦に入り、南米チームと欧州チームの覇権争いが始まる。当方のTV観戦にも熱が入ってきたところだ。

イラクが“第2のシリア”となる日 

 イラク出身の中東問題専門家アミール・ベアティ氏(72)は23日、国際テロ組織アルカイダ系スンニ派過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)の軍事攻勢を受けるイラクの現状についてインタビューに応じた。

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▲インタビューに応じるベアティ氏

 欧州の中東専門家としてBBCアラブ放送、ドイチェ放送、アルジャジーラ放送などに中東情勢やテロ問題を分析してきた同氏は、「最悪のシナリオはイラクが第2のシリアとなって内戦下に陥ることだ」と指摘。オバマ米政権のイラク対策については、「遅すぎる。問題はもはやISIS対策だけではない。イラク国内で反マリキ政権勢力が結集してきているのだ」と強調し、「シーア派主導のマリキ政権を早急に退陣させ、シーア派とスンニ派、クルド系など、イラク全民族、宗派から構成された民族統合政権を樹立して危機を乗り越えるべきだ」と述べた。


以下、一問一答


 ――ISISが首都バグダッドに迫ってきた。ISISは軍事的に強いのか。

 「ISISが強いからではなく、マリキ政権が弱いのだ。マリキ政権は脆弱で政治的にも腐敗した政権だ。米英のイラク進攻後、米国やイランの外部支援を受け、これまで政権を担当してきただけだ。ISISが国境を越え、イラク第2の都市モスル市に差し迫ってきた時、イラク情報機関はモスル市長と同市駐留の軍司令部(2師団、約3万人兵士)に連絡。それを受け、彼らはマリキ首相に通報した。。ちなみに、モスル市は50%から60%のイラク軍将校を育成してきた由緒ある軍隊があるところだ。彼らはマリキ政権から良き待遇を受けていないことに恨みを持っている。マリキ首相に連絡したが、同首相は救援部隊を派遣する意思のないことを伝えたのだ。そこにクルド自治政府のバルザニ議長が戦闘に参加してきたわけだ。イラク軍が職務を放棄すると、バルザニ大統領は軍指導権を掌握し、ISISに占領された石油都市キルクーク市を奪い返すなど勢力を拡大していったわけだ。バルザニ派はモスル市を奪い返す力を有していたがやらなかった。それはバグダッドのマリキ政権にイラクの状況が危機であることを理解させ、その退陣を強いる狙いがあったからだ。クルド系はISISの攻撃を巧みに利用して地域を拡大していったわけだ」

 ――ISISを支援している勢力は。

 「西側メディアによれば、ISISの勢力は約1万5000人程度とみられる。本来、イラク軍が恐れる勢力ではない。スン二派の盟主サウジアラビアは直接軍事関与はしていないが、対イラク国境を意図的にオープンし、多くのテログループをイラクに送っている。武器の支援はしていない。なぜなら、ISISはイラク軍が放置した大量の武器を入手したからだ。その他、イラク軍関係者、フセイン政権時代の与党バース党関係者、そして反マリキ政権グループが支援、ないしは黙認している。すなわち、ISISの軍侵攻はイラク国内の反マリキ政権勢力を結集させてきたのだ」

 ――シーア派のイランはマリキ政権に軍事支援を申し出る一方、米国と軍事連携すら示唆する発言を流している。

 「米国とイランは2003年のイラク戦争の時から間接的な軍事連携があった。イラク戦争の時、米国はイランと軍事提携を結ぶことでフセイン政権を打倒できた。一方、イラン側はフセイン政権崩壊後はイラク領土から撤退することを米国側に約束する一方、イラクのシーア政権に対し政治的的影響力を行使することを米国側に認めさせている。繰り返すが、米国とイランの軍事連携は公式には表明されていないが、今回が初めてではない」

 ――ケリー米国務長官がバグダッドを訪問し、マリキ政権と協議した。オバマ米政権はイラクの秩序を回復させるために何ができるか。

 「米国がマリキ政権を長期間、認知したことが間違いだった。状況は既に遅すぎる。問題はもはやISIS対策だけではなくなくなったからだ。繰り返すが、反マリキ政権で多くの政治勢力が結集してきたのだ。米国としては可能な限り早期にマリキ政権を退陣させ、イラク民族救援政権の樹立を支援することだ。イラク情勢の見通しは決して楽観的ではない。シーア派、スン二派、クルド系の3地域にイラクが分断される可能性も考えられる。イラク紛争はスンニ派の盟主サウジとシーア派代表イランの代理戦争の様相も帯びてきている。最悪の場合、イラクが第2のシリアとなる危険性がある」

「神の名」による殺し合いの“異常さ”  

 イラクでシーア派主導のマリキ政権に対して少数派スンニ派の巻き返しが始まった。 国際テロ組織アルカイダ系スンニ派過激派武装組織「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」が占領していった街々には多数のイラク軍兵士やシーア派民兵の死体が放置されているという。欧米メディアに報じられるイラクのシーア派とスンニ派の抗争は目を蓋いたくなるほどの悲惨なシーンが多い。それも両派とも「神の名」で相手を殺しあっているのだ。

 ローマ・カトリック教会の前法王ベネディクト16世が2006年9月、訪問先のドイツのレーゲンスブルク大学での講演で、イスラム教に対し「モハメットがもたらしたものは邪悪と残酷だけだ」と批判したビザンチン帝国皇帝の言葉を引用したため、世界のイスラム教徒から激しいブーイングを受けたことを想起する。しかし、その引用内容がひょっとしたら大きな間違いではなかった、といった思いすら湧いてくる。

 ただし、キリスト教側がイスラム教の宗派抗争を「程度の低い」とばかり言っておられない。というより、「神の名」で殺しあった歴史は実はキリスト教側の方が先輩格なのだ。中世時代、ローマ・カトリック教会とプロテスタント派教会は「30年戦争」(1618年〜48年)を体験している。「30年戦争」は「最後の宗教戦争」と呼ばれている。ということは、その前から、数多くの宗教戦争があったわけだ。その意味で、欧州もイスラム教の宗派紛争を冷笑できないわけだ。
 「30年戦争」はボヘミアのプロテスタントの反乱から始まった。勃発当初はカトリック教会とプロテスタント教会の戦いといった宗教的様相が強かったが、時間の経過とともにハプスブルク家、ブルボン家、ヴァ―サ家の政治的権力抗争の様相を深めていった。

 オーストリアのローマ・カトリック教会最高指導者、シェーンボルン枢機卿は自身のコラムの中で「新旧教会は多くの犠牲を払い、共倒れ寸前まで戦いを続けた、多くの犠牲を払った後、相手を理解することを学び、相手宗派に対して寛容になれるようになった」と指摘している。キリスト教会指導者の正直な告白だろう。

 イラク紛争の前、シリア内戦でシーア系とスン二派の戦いが展開され、自爆テロ、大量虐殺など野蛮な戦いが連日、繰り広げられていった。彼らは等しく「聖戦」、「神の名」を掲げ白昼堂々と殺しあってきた。最大宗派スンニ派と少数派シーア派間の単なる宗派争いだけでは終わらず、ここにきて政治的紛争の様相を深めてきている。スンニ派の背後にはサウジアラビアが、シーア派にはイランがその政治的勢力の拡大のために腐心している、といった構図だ。

 イランのロウハニ大統領は22日、「石油で得た金でテロリストを支援すべきではない」と警告を発し、イラクで攻撃を繰り返すISILを支援しないよう呼び掛けている。ロウハニ大統領は具体的な国名を挙げなかったが、スンニ派の盟主サウジアラビアを念頭に置いた発言であることは間違いない。イラクとシリア国内の両派抗争はサウジとイランの代理戦争ともいえるわけだ。

 ちなみに、イスラム教の宗派間の戦いの狭間で少数宗教キリスト教信者たちが迫害され、故郷を追われている。例えば、ISILがイラク第2の都市モスル市を占領した際、約3000人のキリスト信者たちが避難を余儀なくされている、といった具合だ。イスラム教内の紛争は他宗教にも影響が出ているわけだ。

 悲しい点は、これら一切の紛争が「神の名」で行われていることだ。信仰の祖アブラハムから派生した宗教、宗派同士(兄弟同士)が殺しあっているのだ。宗教者はこの異常さに気が付き、激しく自省すべきだ。

パレスチナの子供たちは優秀だ

 当方は5年前、「国連開発計画(UNDP)の『人間開発報告書』によれば、パレスチナ人の教育水準が一般的に高く、難民キャンプなどに住む子供たちは非常に優秀だ」という内容のコラムを書いた。その内容は今日でも変わらない。

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▲踊りだしたパレスチナの人々(2012年11月29日、ウィーン国連内にて撮影)

 イラク出身の中東問題専門家アミール・ベアティ氏は、「パレスチナの子供たちも非常に優秀だ。アラブの大国エジプトより、就学率は高い。子供たちは幼い時から親から教えられなくても自分でものを考え、早い時期から政治意識にも芽生える。換言すれば、祖国が他国に占領されている場合、自然に『どうして占領されているのか』、『なぜ、母国が戻ってこないのか』等の疑問を抱く。ハマス(イスラム根本主義組織)がガザ地区でパレスチナ人の子供の教育に力を入れる。多くのパレスチン人は故郷を追われ、隣国ヨルダンや他のアラブ諸国に移住する。だから、パレスチナ民族は他国や他文化社会に適応する能力も有している。もちろん、親たちはどこに移住しても子供たちに教育の重要さを教え、高等教育への機会を何とか与えようと努力する」という。
 “世界のディアスボラ”と呼ばれてきたユダヤ人が子弟の教育に熱心であることは良く知られている。異国に住んでいる場合、財物は余り価値がない。いつ無くなったり、奪われたりするか分からないからだ。だから、彼らは生き延びていくために教育に投資する。ノーベル賞受賞者にユダヤ人が多いのは偶然ではないわけだ。

 今年5月、ヨルダンの首都アンマンの国際会議でパレスチナ人医師、現トロント大学准教授のイゼルディン・アブエライシュ氏とインタビューする機会があった。インタビュー内容はこのコラム欄でも紹介した(「憎しみは自らを亡ぼす病だ」2014年5月14日参考)。同氏は2人の娘さんをイスラエルの砲撃で失っているが、その娘さんは生前、将来は医者、もう一人は弁護士になりたいという願いを持っていたという。彼女たちは難民キャンプで両親と共に大きくなった。そして勉強をしろと強制したわけではないが、娘さんは学んでいった。自分から「父親のように医者になって人々を助けたい」と考え、もう一人は弁護士となってパレスチナ人の人権を守りたいと考えていたというのだ。

 その2人の娘さんを失った同氏は学業に励む中東女生たちを支援する奨学金基金「Daughters for life Foundatoin 」を創設し、多くの学生たちを応援してきた。同氏自身、パレスチナ人難民キャンプで成長し、エジプトのカイロ大学医学部を卒業後、ロンドン大学、ハーバード大学で産婦人科を習得。その後、パレスチナ人の医者として初めてイスラエルの病院で勤務した体験を有する。「学ぶ」ことの大切さを誰よりも知っているパレスチナ人だ。

 日本は長い平和な時代を過ごしてきた。日本人の就学率は現在、ほぼ100%といわれている。単一民族ということもあって相互の意思相通には余り苦労がないが、外国語学習では多民族国家の国民と比べると見劣りする面がある。それ以外の学問分野では日本人の優秀さは国際社会で久しく認められている。
 パレスチナ人と日本人は正反対の環境下にあるが、双方とも教育に熱心な民族だ。前者は厳しい環境で生きる知恵を学んでいく一方、平和で恵まれた環境下の日本人の子供たちの場合、学習の動機が国家、民族のためというより、個人的な願いが優先され、将来、国のために貢献したいといった考えは少なくなった。いずれにしても、パレスチナ人の子供たちが優秀であるというニュースは、パレスチナ人の未来を明るくさせるものだ。

 「世界難民の日」の20日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は昨年の難民総数を公表した。それによると難民総数は約5120万人で、その内訳は、ジュネーブ難民協定に一致する難民数約1270万人、国内避難民3330万人、難民申請者約110万人だった。難民が最も多かった国はアフガニスタン、そしてシリア、ソマリア、スーダンと続く。そして難民のほぼ2人に1人が18歳以下の子供たちだ。そのニュースを読んだ時、先述した5年前のコラムを思い出した次第だ。難民の子供たちが厳しい環境下にも負けず多くのことを学んでいくならば、難民出身の世界的な指導者が近い将来、生まれてくるかもしれない。

「河野談話」は実は妥協の産物だった

 時事通信は20日、「日本政府が同日、従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与を認めて謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話の検証結果に関する報告書を公表し、(1)談話作成時に韓国側と文言調整していた(2)元慰安婦とされた女性への聞き取り調査では、事後の裏付け調査を行わなかった―ことを明記。日韓両政府が文言調整の事実を対外的に非公表とすることで一致していたなどを明らかにした」と報じた。

 両国政府の事前の「文言調整」が行われたことが判明し、調整はなかったと主張してきた両国政府のこれまでの発言が虚言であったことが判明する一方、文言調整プロセスで韓国側から圧力があったこと、慰安婦への聞き取り作業がなかった等が分かった。その結果、「河野 談話」の信憑性が土台から崩れる可能性が出てきた。

 報告書によると、韓国側から「問題を解決させるためには韓国国民から評価を受け得るものでなければならない」として、日本側に慰安婦の「強制連行」の記述を要求していたことが明らかになった。それに対し、日本側は「軍当局の意向」という表現で問題を決着しようと努力した。最終的には「要請」で落ち着いたが、「河野談話」は慰安婦問題で最重要ポイント、「旧日本軍の強制連行」に関して事実確認ではなく、文言調整プロセスの妥協の産物であったことが確認されたわけだ。韓国側はその後、日本批判の武器として「河野談話」を拡大解釈して利用してきたことは周知の事実だ。
 一方、日本側は慰安婦問題の外交的早期解決を優先し、「事実関係をゆがめることのない範囲で、韓国政府の意向・要望は受け入れる」といった妥協姿勢を貫いてきた。その結果、慰安婦問題が後日、両国間の政治問題となる道を開いてしまったわけだ。その点で、日本側の責任も見逃すことはできない。

 予想されたことだが、韓国政府は20日、外交部報道官声明を通じ「日本政府が河野談話を継承するとしながら検証を行ったこと自体が矛盾した行為だ」」(聯合ニュース)と、日本政府を激しく批判した。韓国側は日本政府が「河野談話」の検証を公表した時、「河野談話」否定は韓日関係を破綻させる」と警告し、日本側の検証への試みに強い警戒心を見せてきた経緯がある。

 「河野談話」の検証結果のニュースを見ていると、韓国側が「河野談話」の検証を恐れ、安倍政権を批判してきた背景が少し理解できた。韓国側が「河野談話」の外交舞台裏の暴露にパニック反応を見せる理由も分かる。検証結果は慰安婦問題を反日攻勢の武器として利用してきた韓国にダメージを与えるからだ。繰り返すが、韓国の反日攻撃の最大武器であった「河野談話」が事実検証の結果ではなく、日韓両国政府の外交の文言調整の妥協の産物だったことが判明したからだ。

 付け加えるが、河野官房長官(当時)が「河野談話」には記述されていない「旧日本軍の強制連行」を認める発言を記者会見でしてしまったことは、日本外交上、消すことができない汚点となった。いずれにしても、日本側は「河野談話」の見直しの考えがないことを発表済みだから、韓国は「河野談話」の検証問題について、これ以上、批判を広げるべきではない。

「全てはあの2人が悪いのだ」

 イラクで国際テロ組織アルカイダ系スンニ派過激派武装組織「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」が首都バグダッドに侵攻する気配を示してきた。イラクでは目下、シーア派勢力が支配するマリキ政権に対して少数宗派のスンニ派が巻き返しを図っている。1万5000人のスン二派過激派勢力に対し、マリキ政権は守勢を余儀なくされ、2011年に軍を撤退させたオバマ米政権はペルシャ湾に空母を派遣し、約300人の軍事顧問を送るなど、イラクの崩壊を防止するため乗り出してきたばかりだ。気の早い中東問題専門家の間では「イラクはスンニ派とシーア派、それにクルド系の3分割が現実味を帯びてきた」と予想しているほどだ。

 ところで、欧米メディアではここにきて、「全てはあの2人が悪い」といった声が聞かれる。人は困難な状況に陥るとその責任を追及しだすものだが、ここでは英国のイスラム問題専門家とフランス人外交官が批判にさらされている。2人は既に亡くなったが、「中東の民族・宗派闘争の原因を作った張本人」ということから、糾弾されてきたわけだ。
 具体的には、イギリスの中東専門家マーク・サイクス(1879年3月〜1919年2月)とフランスの外交官フランソワ・ジェルシェ=ピコ(1870年12月〜1951年6月)だ。彼らは1916年5月、大戦後のオスマン帝国領土の分割について英国、フランス、ロシアの3国が秘密裏に締結した協定の原案作成者だ。歴史学者が「サイクス・ピコ協定」と呼んでいるものだ。

 それではどうしてサイクス・ピコ協定がシリアやイラクの現状に責任があるのか、といえば、2人はアラブ・中東の国境線を宗派や民族の相違を無視して線引きし、現在のイラク、シリア、ヨルダンの国境線を作成していったのだ。その結果、クルド系、アラウィー派、シーア派、スン二派など異なる宗派・民族が混ざった国が生まれてきたわけだ。2人が原案作成段階で、宗派・民族の相違を配慮し、国境線を引いていたならば、イラクの現在の混乱は生じなかったかもしれない。だから、「あの2人がシリアの内戦、イラクの混乱を生み出した責任者」ということになるわけだ。
 
 独週刊誌シュピーゲル(6月16日号)は「部族、宗派を無視した不安定な秩序を破壊するのがISILの狙いだ。彼らはイラクとシリアの国境線を作成し、それに基づき、スンニ派の神の国を建設するため、軍攻勢を進めている」と分析している。皮肉なことだが、米軍が2003年、イラクに軍事介入した結果、少数派スンニ派のフセイン政権が崩壊し、多数派のシーア政権が誕生した。同じように、シリアでも少数派アラウィー派が政権を牛耳ってきたアサド政権に対し、スンニ派反体制勢力が政権打倒に立ち上がってきた。イラクとシリアの状況は、部族、宗派を無視した「サイクス・ピコ協定」の見直しを迫っているわけだ。


 いずれにしても、サイクスとピコの2人は墓場でイラク、シリアの現状をどのように見ているだろうか。2人は宗派と部族を無視した国境線が後々の紛争の原因となるとは考えていなかったのだろう。「全ては2人が悪い」という批判は少々責任逃れの感がするが、責任の一部はやはり、2人にあるだろう。
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