ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2011年11月

北朝鮮代表団の素描

 国連工業開発機関(UNIDO)の第14回総会が28日から5日間の日程でウィーンの本部で開幕した。加盟国174カ国の中には工業担当相など閣僚級代表団を派遣した国もあるが、大多数の加盟国(日韓両国を含む)はウィーン駐在の国連機関代表部を送った。

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▲UNIDO総会に参加した北朝鮮使節団(2011年11月28日、UNIDO総会で撮影)

 その中で北朝鮮は外務省国際機関担当部のチョン・インチャン副部長と2人の上級職員を派遣した。北朝鮮がUNIDOを重要視している証拠だ。北朝鮮は総会には毎回、外務省国際機関担当部高官をウィーンに派遣してきた。前回の総会には、最高人民会議常任委員会の金永南委員長の息子、東治氏が派遣されたが、今回は彼の姿はなかった。それに代わって、駐ウィーンの金光燮大使の前任だったチョン副部長が平壌から派遣された。その他、李チョルソン上級職員が姿を見せた。駐ウィーンの参事官として勤務した事がある人物だ。5人から構成された北使節団の団長は金光燮大使が務めている。
 総会初日の午後、李上級職員と久しぶりに話す機会があったので、平壌の政界について聞いてみた。
 当方が、「金正恩氏は後継者として若過ぎませんか」と少し意地悪な質問をしたら、李氏は昔と同じように、「金正恩氏はわが国の後継者だ。若いが賢明で手腕に富む」と優等生の答えが返ってきた。そこで、「どうしてそれが分かるのですか」と問い詰めると、李氏は、「いろいろな事を通じて分る」という。
 次に、「韓国メディアでは正恩氏は昨年結婚したという情報が流れていますが、実際はどうですか」と聞くと、「その質問には答えられない」という。そこで「知らないからですか、それとも知っているが答えられないのですか」と問い詰めると、「知っているが答えられないのだ」ということだった。すなわち、正恩氏が結婚している可能性が高いわけだ。
 チョン副部長は初日の一般演説が始まると、退屈なのか、ウィーン駐在の外交官を連れて1階の喫茶店で一杯のコーヒーを楽しんでいた。総会の動向は2人の上級職員に任せた、といったところだろう。
 昼休みには、平壌から派遣された3人の代表団は「国連の売店はどこか」と探していた。無税でタバコやワインなどを購入できる国連売店で上司や家族へのお土産を買おうというわけだろう。
 金大使に質問した。「韓国のメディアによると、『北は食料不足で飢餓する国民も出ている』というが、実際はどうですか」と質すと、金大使は、「そんなことはまったくない」という。不思議なことだ。なぜならば、金大使自身が10月初めにウィーンに帰任後、オーストリア外務省を訪ね、食糧支援を要請したことが伝えられている。その本人が、「北は食料不足ではない」というのだから、分からなくなる。
 はっきりしている点は、金大使は、自国の不利となったり、イメージダウンになるようなことは絶対公言しない外交官だということだ。金大使が19年間もウィーン駐在大使を務めることができる主要理由はこの金正日労働党総書記への忠誠心があるからだろう。

欧州サッカー界を蝕む自殺・鬱病

欧州サッカー界を蝕む自殺・鬱病
 ウェールズのサッカー協会は27日、同国代表チームのゲイリー・スピード監督が自宅で亡くなっていたところを発見されたと語った。英国メディアによれば、同監督は自殺したという。42歳だった。
 同監督は昨年12月、代表監督に就任したばかりだ。14年間の選手時代には85回、ウェールズ代表チームで活躍してきた。自殺の理由は明らかではないが、ウェールズばかりか、世界のサッカー界に衝撃を与えている。
 残念なことだが、欧州サッカー界ではここ数年、自殺したり、鬱病、バーンアウト(燃え尽き症候群)に悩まされる選手や監督、そして審判員が増えてきた。
 今年に入って、独ブンデスリーグを最も驚かせた出来事はシャルケ04の監督、ラルフ・ラングニック氏が突然、「もうこれ以上できない」といって監督の座を降りたことだ。ラングニック氏のチームは今季、リーグで善戦する一方、昨季のチャンピオンリーグでも健闘したばかりだ。チームの成績不振が突然の退陣理由でないことは明らかだ。同氏は、「試合に勝っても何も喜びが沸かなくなった」と告白していたという。典型的なバーンアウト症候だ。
 最近では、ドイツのブンデスリーグ一部主審を勤めたバラク・ラファティ氏が鬱病から自殺未遂をしている。審判が自殺未遂したというニュースが流れると、ドイツのメディア界も大きなショックを受けている。同氏は選手やチームばかりか、メディアからも最悪審判員と酷評されてきた経緯があるからだ。
 ドイツでは、同国チーム代表GK、ロベルト・エンケ選手(当時32)が2009年11月10日夜、ブレーメン発ハノーバー行き列車に飛び込み自殺し、国民に大衝撃を与えたことはまだ記憶に新しい。その悲報が伝わると、多くの国民は「信じられない」と絶句したほどだ(「独サッカー代表GKの自殺」2009年11月13日)。
 エンケ選手のテレサ夫人は当時、記者会見で、「彼は鬱病に悩まされていた。入院治療が必要といわれた時、彼は拒否した。自分の病が公になることを恐れていたからだ」と述べている。
 エンケ選手が所属していたハノーバー96のマルクス・ミラー選手は現在、バーンアウトで休養を取っている。ミラー選手は自殺したエンケ選手と同様、GKだ。
 上記で挙げた選手・監督以外で自殺(未遂)した欧州のサッカー選手を挙げれば、ポーランドのアダム・レドヴァン選手がいる。その他、オーストリアの女子サッカーチームの監督エルンスト・ヴェーバー氏が自殺、そしてベルギーの審判が自殺未遂している。
 欧州サッカー界で自殺者や自殺未遂、バーンアウトになる選手、監督たちが多く出てくる背景については、慎重に調査しなければならないだろう。明確な点は、世界最高峰をいく欧州サッカー界が選手や監督にとって栄光の証明である一方、競争やストレスが大きな世界ということだろう。
 サッカー・ファンに喜びを提供する選手、監督たちの舞台裏には、想像を絶した内外の苦しみがあるのだろう。亡くなった選手、監督に哀悼の意を表する。

国連職員の「安全度」

 「国連憲章」で謳われているように、世界の紛争を解決し、世界の平和実現に努力する国連職員は、他の職種と比較すれば、「危険が多い」といわざるを得ないだろう。
 国連総会で採択された「国連機関とその職員の安全に関する包括的報告書」を入手した。データーは2009年と10年上半期だが、国連職員の安全度を理解する上で参考になる。
 国連機関に従事する職員は世界170カ国、15万人を超える。その内、約3万人は本部(ニューヨーク、ジュネーブ、ウィーンなど)に勤務し、残りの約12万人は派遣先(field offices)で従事している。
 2009年、45人の国連職員が死去。その内、31人は殺害された。主にテロ事件の犠牲だ。14人は事故死(交通事故など)だ。190人の職員が負傷。その内、110人は暴力事件で、80人は事故だ。
 死傷者の95%は非本部職員だ。国連職員の殺人犠牲率(10万人につき20・6人)は加盟国の平均率(7・6人)を大きく凌いでいる。その意味で、「国連職員は危険な職務」ということを裏付けている。
 強奪件数では男性職員より女性職員の被害件数が多い(国連全体で約60%が男性職員、約40%が女性職員)。
 254人の国連職員が09年、強奪の被害を受け、278人が脅迫やハラスメントの犠牲となった。誘拐された職員は11カ国で22人だ。
 参考までに、10年上半期では4人が殺され、32人が負傷した。その内、2人はテロ事件の犠牲(09年上半期は17人が殺され、65人が負傷している)。
 国連職員にとって最も危険地域はアフガニスタン、パキスタン、そしてソマリアの3国だ。それらの地域では国連職員はテロや誘拐、武装闘争、脅迫、ハラスメントなどに直面する危険性が他の地域より高い。


<2009年国連職員の被害状況>
 
 死亡      45人  
  テロなど  (31人)
  事故など  (14人)   

 身体損傷   190人
  テロなど (110人) 
  事故など  (80人)

 誘拐拉致    22人
 強奪     254人
 強姦      72人
 脅迫     249人
 ハラスメント  29人
 拘束・拘留  163人


北の“チョコパイ革命”

 韓国紙中央日報は今年3月4日、「北朝鮮漂流住民、『こんなにおいしいものは初めて』」というタイトルの記事を掲載した。そして「このようなおいしい食べ物は生まれて初めて」と絶賛された食べ物はコーラとチョコパイだった。
 当方はこの記事を読んで驚き、この欄で「コーラとチョコパイ」(2011年3月5日)というコラムを書いたほどだ。
chocopai 英日刊紙テレグラフによると、そのチョコパイが「北朝鮮の開城工業団地の労働者の副収入源となっている」というのだ。ドルやユーロなど世界の通貨が価値を失う一方、世界の金市場では金塊の価格が上昇している。一方、北では通貨ウォンがその価値を久しく失ったが、ここにきてあの甘いチョコパイが国民の間でその価値を膨らませている。なんと一個のチョコパイを手に入れる為に10ドルを支払わなければならないというのだ。信じられないような話だ。
 脱北者が吐露したように、空腹に苦しむ北国民にとってロッテ製のチョコパイは「夢のような食べ物」に映るだろう。
 開城工業団地の労働者の手取りは100ドル前後という。しかし、おやつとして配給されるチョコパイを闇市場で売れば給料以上の収入が入る、というから凄い。
 それにしても、2回の核実験を実施した核保有国・北朝鮮の「国のイメージ」と、あの「チョコパイ」が当方の頭の中でなかなか一致しない。
 故金日成主席は国民に「白いご飯に肉のスープを食べ、瓦の家で絹の服を着て暮らす生活」を約束した。その息子・金正日総書記は国民が飢餓で苦しんでいるのを尻目に、日本から寿司料理人を呼び、世界の珍味を享受。白いご飯は久しくトウモロコシ粉になった。そのような社会でチョコパイが登場したのだ。そしてそのプレゼンスが日増しに強まっているというのだ。
 チョコパイが栄養失調の国民の代用食となるとは考えられないが、「このような美味しいものをわれわれの目から隠してきた金ファミリー」といった恨みを深める契機となるかもしれない。とにかく、食べ物の恨みは怖い。
 ウクライナの民主化運動を「オレンジ革命」、チュニジアの民主化運動を「ジャスミン革命」と愛称で呼ぶことがあるが、北でも愛称で呼ばれる民主化運動が起きるかもしれない。
 金政権打倒の民主化運動が生まれ、誰かが「われわれにもチョコパイを」と叫んだならば、歴史学者は後日、北の民主化運動を“チョコパイ革命”と愛称を付けるかもしれない。
 あの甘いチョコパイを思い浮かべながら、北で民主化運動が起きる日のことを考えた。

北はLDCクラブを卒業したのか

 国連工業開発機関(UNIDO)は24日、2日間の日程で後発開発途上国(最貧国)閣僚級会合をウィーン本部で開催した。

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▲ウィーン国連で開催されたLDC閣僚級会合(2011年11月24日撮影)

 最貧国は英語では「Least Developed Countries」と呼び、国連では略してLDC諸国と呼ぶ。国民総所得が750ドル以下で、人的資源も乏しく、経済的、政治的にも十分発展していない国だ。LDCは現在、48カ国、総人口は約8億8000万人。その内32カ国はアフリカ諸国だ。今年5月、第4回国連後発開発途上国会議がトルコ・イスタンブールで開催されたばかりだ。
 UNIDO主催の閣僚級会合では代表の一般演説や3テーマ別の会合が開かれた。25日には「閣僚級会合宣言」を採択して閉幕した。
 会合の詳細な内容はUNIDOのHPを見れば分るのでここでは言及しない。会合を取材した当方の印象を報告する。
 会合初日は午前9時半から開幕する予定だった。当方はカメラを持って開幕式が始まるのを待っていたが、なかなか始まらない。当方の隣席のUNIDO職員に尋ねた。
 「スケジュールでは9時半にスタートとなっていますが、どうして始まらないのですかね」
 「閣僚や使節団が登録に時間がかかっているのだろう」という。
 そこで「国民経済を発展させようと真剣に考えるのならば、時間を厳守することは基本ですよね」と少し嫌味をいうと、職員は「君のいう通りだが……」と頷いた。
 結局、会合の開幕式は10時から始まった。計画より半時間遅れだ。不思議なことに、使節団の誰一人として会合が遅れたことに不満や批判する者はいなかった。
 当方は開幕式が終わると記者室に戻った。ロシア人記者がいたので、LDC会合の進行の遅れを話すと、同記者は笑いながら「30分間遅れか、少しは良くなったな」というではないか。「LDC会合は計画通りに進行されることは希で、遅れるのが常だが、今回は30分間の遅れで済んだ」ということから、「少し改善された」ということになるわけだ。
 もう一つ、LDC48カ国に北朝鮮の国名はない。北朝鮮国民の国民総所得が750ドル以上とは考えられない。そこで前アジア地域担当のUNIDO職員(現香港事務所所長)のチャン氏に聞いた。
 「どうして北朝鮮はLDCに入らないのですか。飢餓に苦しむ北の国民総所得が1人当たり750ドルを超えているとは思えませんが」
 「どの加盟国がLDCに入るかニューヨークの国連で決定される。UNIDOが独自判断しているわけではない」と弁解した。
 北朝鮮は核兵器を製造し、2度核実験した国だ。その国が「最貧国」クラブの一員ということは普通、考えられない。その上、北当局は国民経済の統計を国連側に提出していないから、同国の実情は不明だが、当方には北がLDCを卒業したとはどうしても思えないのだ。
 ちなみに、国民総所得が一人当たり900ドル以上を達成し、それが最低2年間続いた場合、LDCクラブから卒業できる資格を得ることになる。
 いずれにしても、48カ国のLDC国が経済的、社会的にも発展して、LDCクラブから早期卒業できることを期待する。

 

「戦車を売ります」

 当方は「『教会』をプレゼントします」(2011年11月16日)というタイトルのコラムを書いたばかりだが、今回は「教会」ではなく、「戦車」だ。プレゼントではなく、「売りに出す」というのだ。
Darabos オーストリアのダラボス国防相(Darabos)=写真(国防省サイトから)=は23日、保有する戦車1147台の3分の2を売りに出すという。それによって1700万ユーロを獲得する一方、保有のためにかかった維持費や修理代など年間経費1500万ユーロを節約できるという。要するに、国家財政の節約政策の一貫だ。
 ダラボス国防相は、「戦車部隊が戦場で活躍する時代はもはや過去となった」と説明、2014年までに戦車部隊の約66%を売ったり、破棄するという。すなわち、1147台を保有してきた戦車部隊は3年後、389台に減少するわけだ。
 具体的には、防衛戦車432台(SaurerA1)、戦闘戦車(Kuerassier)126台、山岳用戦車(M587)32台を全て売るか、破棄する。その上、最新型戦車(Leopard2A4)も114台から56台に減少させるというのだ(減少率51%)。
 中立主義を国是とするオーストリアは冷戦時代、連邦軍を構築して国境線を守ってきたが、冷戦も終焉し、旧ソ連・東欧諸国が民主国家となった今日、「戦車部隊が戦場で敵国と対峙するといったシナリオはもはや考えられない。現代はサイバー戦争の時代であり、国際犯罪組織との戦いだ」(ダラボス国防相)というのだ。「近代戦では戦車は不必要」というわけだ。
 社会民主党と国民党の2大政党の連立政権はダラボス国防相の戦車保有台数削減計画を基本的には支持しているが、国民党国防問題担当のクリコヴィッツ議員は「最新型戦車Leopardまで売りに出す必要はないのではないか」と述べている。
 一方、野党「緑の党」ピルツ議員は「わが国の戦車を何処に売るのかが問題だ。多くはアフリカ諸国の独裁国家に払い下げる形で売られるのだろう」と指摘、オーストリアの戦車が独裁国家の軍隊に利用されるのではないか、と懸念を表明している。
 ちなみに、隣国のドイツ連邦軍も今日、改革が進められている。国土防衛任務中心から海外派遣任務中心へとその主要活動目標を変更させる一方、徴兵制度の廃止などを実施してきた。オーストリアでも同様の動きが既に見られる。

「中東非核化地帯」実現への挑戦

 知人の記者は、「IAEA(国際原子力機関)のアリバイ会合に過ぎない。それ以上でもそれ以下でもない」という。
 「何のことか」というと、IAEAが21日と22日の両日、ウィーンの本部で主催した「中東の非核化地帯(NFZ)創設」関連フォーラムのことだ。
 IAEAがイランやシリアの核問題を厳しく追及する一方、中東の核保有国イスラエルの核脅威については無視してきたことに、イランやアラブ諸国から強い反発と批判があった。中東NFZ構想もイスラエルが消極的だったこともあって、IAEAの枠組みで議論されることはほとんどなかった。それが今回、フォーラムが開催されたのだ。知人の「アリバイ会合」発言はそのような背景から飛び出した意見だ。
 イランは11月定例理事会で対イラン決議案が採択されたことに反発、会合をボイコットしたが、アラブ諸国やイスラエルは参加した。
 天野之弥IAEA事務局長は開会演説で、「世界には既に5カ所の核フリー地帯が創設され、113カ国を網羅している。各地域の事情は異なるが、その体験を学びあうことは重要だ」と主張し、「今回のフォーラムが中東核フリー地帯創設を促進させると期待している」と語った。
 会合では、現存する5地域のNFZと2地域検証アレンジメントの関係国代表がその体験を語り、それを受け、積極的な意見の交流が行われた。
 理事会や専門家会合とは異なり、決議案や提案はなく、ヤン・ペーターソン議長(IAEA担当のノルウェー大使)が参加国の意見をもとめた議長総括を発表した。
 同大使は22日、閉会後の記者会見で、「フォーラムでは建設的な意見や見解が飛び出し、いい討論が出来た」と強調。中東NFZ地帯の実現の見通しについては、「現存のNFZも実現まで多くの時間がかかった。自分は現実的な人間だから根拠のないことはいえないが、今回のフォーラムが中東のNFZ構想実現に向け少なくとも小さなステップとなったと思っている」と述べた。
 イランが欠席、正味1日半の日程の会合で現実的な実りのある議論は期待できないが、IAEAが中東NFZ構想をテーマに会合を主催したという事実は重い。
 IAEAができることは余り多くないが、今回のフォーラムのような拘束力のない会合を頻繁に開催し、関係国に真剣に取り組む契機を提供できればいい。「IAEAのアリバイ会合」と揶揄されないためにも、IAEAは今後も中東NFZ構想の実現に積極的に関与していくべきだ。


 <地域非核化地帯>

.薀謄鵐▲瓮螢・カリブ地域非核化地帯(Treaty of Tlateloco)
 1960年の冷戦時代に創設された。署名開始は64年だが、同地域の全てが署名完了するまで30年以上かかった。

南太平洋非核化地帯(Treaty of Rarotonga)
 関係国の最大の懸念は核実験と放射能による環境汚染だった。核保有国(NWSs)との交渉が不可欠だった。

F鄒哨▲献非核化地帯(Bangkok Treaty)
 核保有国が非核化地帯創設交渉の最初の段階から積極的に関与してきた。

ぅ▲侫螢非核化地帯(Pelindaba Treaty)
 非核化地帯関連条約に署名するまで1964年から96年まで32年間の年月が必要だった。南米の核兵器放棄が条約プロセスを大きく進展させた。条約発効前に、IAEAが非核化、核兵器の解体まで検証したユニークなケースだ。

ッ羆アジア非核化地帯
 国連、IAEA、そして核保有国の積極的な支援を受け創設された。
 全ての国はIAEAとの間で包括的セーフガードと付属議定書の加盟が要求されている。北半球の最初の非核化地帯。

<地域検証アレンジメント>

A・EURATOM

 欧州原子力共同体。1958年年、フランス・西ドイツ・イタリア・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクの6カ国が設立した機関。原子力産業の開発・資源管理を目的とする。

B・ABACC
 
 世界で唯一の2カ国間、ブラジルとアルゼンチン間のセーフガード機関。

“冬の季節”を迎えた欧州の政界

 スペインで20日、中道右派政党の国民党が単独過半数を獲得して7年ぶりの政権を奪回し、与党・社会労働党は緊縮政策への批判を受けて惨敗した。
 スペインの「政権交代」は欧州の財政・金融危機が表面化して以来、ユーロ国(17カ国)では5カ国目だ。
 財政危機下のアイルランドでは今年2月25日、下院総選挙で与党・共和党が敗北し、最大野党「統一アイルランド党」が大躍進した。ポルトガルでは6月5日、議会選挙で野党第一党の中道右派・社会民主党がソクラテス首相の与党社会党を破り、約6年ぶりに政権交代を実現。巨大な債務を抱えるギリシャでは今月、ババンドレウ政権が解散し、暫定連立政権のパパデモス新政権が発足したばかりだ。そしてユーロ圏第3番目の経済大国イタリアでも信用不安を機にベルルスコーニ首相が辞任に追い込まれ、モンティ新政権が誕生した。
 その他、年金改革など財政建て直しを迫られているスロベニアの中道左派の現連立政権は9月21日、議会の不信任を可決されている。また、スロバキアも先月、ラディツォバー首相が政権交代を条件に欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充を承認したばかりだ。その為、近い将来、両国で政権交換が実施される公算が高いわけだ。
 上記の5カ国プラス2カ国での「政権交代」の背景には、国の政情や事情は異なるが、経済・金融危機、それに伴う緊縮政策の実施が有権者の反発を買ったという共通点がある。
 経済・金融危機が発生後、総選挙が行われ、政権を維持できた国は欧州連合(EU)加盟国ではポーランドだ。同国で10月9日、議会選挙が行われたが、トゥスク首相率いる中道保守政党「市民プラットフォーム」が勝利。今月18日に第2次内閣が発足したばかりだ。ユーロ未加盟の同国国民経済はEU27カ国の中でも最も安定成長を続けている。ウィーンの国際経済研究所(WIIW)によると、ポーランドの国内総生産(GDP)は今年、3・8%、来年度は4・2%のプラス成長が予測されている。
 問題は、政権交代に成功した政党も政権発足後、健全財政を実現するために緊縮政策を継続していかなければならないことだ。その意味で、欧州の政界は今、文字通り、“冬の季節”を迎えている。そして、緊縮政策を継続していくためには、国民の理解が不可欠だ。政府と国民の間のコミュニケーションが一層、大切となるわけだ。

犬たちの「運命」

 ウクライナとポーランドで来年、サッカーの欧州選手権が共催される。サッカー・ファンには待ち遠しい。既に参加国16カ国が予選を通過した。当方のオーストリアは残念ながら予選で敗北、本選には出場できないが、英、独、仏、スペイン、ポルトガル、イタリアなど欧州強豪チームはいずれも予選を通過、総揃いすることから、「最強大会」と今から期待が盛り上がっている。
 その開催国ウクライナで野犬狩りが密かに進められている、というニュースが流れてきた。開催地のサッカー場付近に屯(たむろ)していた野犬たちが毒物で殺されているというのだ。テレビで映し出された苦しむ野犬たちの姿は見るに耐えない。ウクライナ側が欧州選手権開催を契機に街の浄化に乗り出したという。野犬狩りはそのひとつだろう。
 欧州選手権の開催がウクライナに決定していなければ、野犬狩りといったこともなかったかもしれない、とウクライナの犬たちの運命を考えていた時、犬を心から愛する婦人のことを思い出した。日本に帰国する家族から犬を託された婦人は犬のお世話を徹底的にする。犬は非常に神経質で子供たちが周囲で騒ぐと怯える。だから散歩も難しかった。“問題犬”だったのだ。
 犬がそのようになったのは元の飼い主が夜の仕事が多く、帰りは遅く、その間、犬はいつも一人でアパートで留守番をしていた。散歩は深夜、飼い主が帰ってきた時だけだ。だから、人間世界との付き合い方を学ぶことができなかったのだ。
 当方は5年前、この犬をしばらく預かったことがある。犬好きな当方もこの犬には苦労した。その辺の状況をコラムで書いたことがある。その一分を紹介する(「動物は人生の同伴者」2006年9月26日)。
 「当方はこの冬、知人から犬を預かったことがある。血筋(ゴールデンレットリバー)はいいのだが、この犬も哀しい育てられ方をしてきた。上目使いで当方を見るその犬は、『僕のことを知ってほしい』と叫んでいるように感じた。この犬は一時期、ドイツ語を話す人を恐れていたという。日本人家庭で育ってられたため、日本語しか聞いていなかったからだ。犬もカルチャーショックを受けるのだ」
 その犬の世話を託された婦人は仕事を持っていたが、犬をできるだけ散歩に連れだし、社会との交流を広げる努力をしてきた。胃腸系が弱いので消化のいい餌を与え、真夏の時は湿った布を犬のベットに敷いたりした。婦人のお陰で、犬は社会復帰ができ、散歩ももはや問題ではなくなった。電車や地下鉄にも乗れるようになった。その婦人は最近結婚してドイツに引越した。もちろん、犬も一緒だ。その直前、最後のお別れということで、婦人は当方宅を犬と共に訪ねてきた。犬はまだ当方を覚えていた。年をとったが、犬らしくなった。長生きして欲しい。

交通事故死が若者の最大死亡原因

 11月20日は「交通事故犠牲者への世界追悼日」だった。国連情報サービス(UNIS)から潘基文国連事務総長のメッセージが送られてきた。
 それによると、世界で1日、約3500人が交通事故で死亡し、数万人が負傷している。特に、15歳から29歳の青少年の最大の死亡原因は病気ではなく、路上の自動車事故死だという。潘事務総長は「自動車事故で一瞬にして若者の未来が断絶される」と述べ、交通事故の悲しみを述べている。
 国連は今年5月、2011年から20年まで「10年計画路上安全行動計画」をスタートしている。目標は交通事故対策の強化と生命の救済にある。同計画では、政府、市民社会、民間機関などが連携して路上管理、運転手と歩行者の安全教育などを推進していく。同時に、事故犠牲者へのケア、救済、リハビリも重要な課題だ。
 交通事故発生原因としては、スピードの出し過ぎ、飲酒運転、運転中の携帯電話使用による注意不足、安全ベルトやヘルメットの未使用などが挙げられる。2020年までに自動車利用者数が現在の2倍に膨れ上がると予想されるだけに、路上の交通事故対策は急務のテーマとなるわけだ。
 日本でも交通事故死数を減少する努力が行われてきたと聞く。1990年に11227人だった事故死数が昨年度は4863人と半減以下となったという。過去20年間の自動車メーカーを含む関係者の努力の成果だろう。
 当方が住む音楽の都ウィーンでも市当局が率先して車から自転車に乗り換える運動を市民に呼びかけている。具体的には、住宅エリアでは一律速度30キロ地帯が設置され、公共運輸機関(地下鉄やバス)の利用を促進するため地下鉄やバスの年間定期代を安くするなどの対策が取られている。
 交通事故で突然、家族や友人を失うショックは表現できないほどだという。「もっと注意していたら……」「ゆっくりと走るべきだった」等の後悔の念が沸いてくるからだ。交通事故を起こさない為にも各自が最大の努力と注意を払っていくべきだろう。
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