北朝鮮・金正日労働党総書記の後継者は昨年9月28日に開催された党中央代表者会で三男・金正恩氏にほぼ決定し、その後、後継者の公式化が加速していったことは周知のことだが、正恩氏の後継決定が決してスムーズに運んだわけではなく、「突然、決定を強いられた形跡」があるという情報が流れているのだ。
金総書記は昨年5月、中国を訪問したが、その時、中国の温家宝首相に対し、「西側の金正恩後継者決定報道は間違った噂」と語ったというのだ。これは金総書記と会見できずに帰国したカーター元米大統領が同年9月13日、カーター・センターのWebサイドで訪中(9月4日〜10)報告書の中で明らかにしている内容だ。
「正恩氏後継報道は間違い」という金総書記の衝撃的な発言について、当方はこのコラム欄で「真偽が検証できない金総書記発言」(2010年9月30日)で紹介済みだ。
当時、考えられるシナリオを3つ挙げた。(1)金総書記から冷たい扱いを受けたカーター氏流の仕返し、(2)中国の温家宝首相は米元大統領に故意にニセ情報を流した、(3)金総書記が中国首相らにウソをいった――等の3つの可能性だ。そして最後に、「実はもう一つのシナリオがある。金総書記の発言が正しい場合だ」と述べた。
当方はその後も金総書記の発言の真偽を考え続けてきたが、今年に入りこの件で知人の北朝鮮外交官に聞く機会があった。
同外交官は「金総書記の発言内容は5月の段階では正しかったが、9月末の党中央代表者会開催直前、正恩氏の後継が急遽決定されたと受け止めることが出来るよ」と示唆した。
すなわち、5月から9月の党代表者会開催の約4カ月の間で金総書記を取り巻く環境に大きな変化が生じ、後継者の決定で苦慮してきた金総書記が正恩氏の後継を決め、その公式化を急いだというシナリオが浮上してくるのだ。
このシナリオならば、カーター氏はもちろん、温首相、そして金総書記に対し、「うそ発言」といって批判できなくなる。3者ともその発言段階で「事実」を述べていたことになるからだ。
それでは、「なぜ、金正日総書記は後継決定を突然、急いだのか」という新たな問題が浮上してくる。換言すれば、「金総書記に後継決定を急がした何かが生じた」と推測できるわけだ。
その「何か」とは、政変か、総書記の健康問題か、それとも金ファミリーの内紛か、さまざまなシナリオが考えられる。
そういえば、44年ぶりに開催された党中央代表者会の日程がなかなか決まらず、一旦、平壌に上京した地方の党代表者が帰郷せざるを得なかったなど、当時、平壌周辺はゴタゴタしていたっけ。
金総書記は昨年5月、中国を訪問したが、その時、中国の温家宝首相に対し、「西側の金正恩後継者決定報道は間違った噂」と語ったというのだ。これは金総書記と会見できずに帰国したカーター元米大統領が同年9月13日、カーター・センターのWebサイドで訪中(9月4日〜10)報告書の中で明らかにしている内容だ。
「正恩氏後継報道は間違い」という金総書記の衝撃的な発言について、当方はこのコラム欄で「真偽が検証できない金総書記発言」(2010年9月30日)で紹介済みだ。
当時、考えられるシナリオを3つ挙げた。(1)金総書記から冷たい扱いを受けたカーター氏流の仕返し、(2)中国の温家宝首相は米元大統領に故意にニセ情報を流した、(3)金総書記が中国首相らにウソをいった――等の3つの可能性だ。そして最後に、「実はもう一つのシナリオがある。金総書記の発言が正しい場合だ」と述べた。
当方はその後も金総書記の発言の真偽を考え続けてきたが、今年に入りこの件で知人の北朝鮮外交官に聞く機会があった。
同外交官は「金総書記の発言内容は5月の段階では正しかったが、9月末の党中央代表者会開催直前、正恩氏の後継が急遽決定されたと受け止めることが出来るよ」と示唆した。
すなわち、5月から9月の党代表者会開催の約4カ月の間で金総書記を取り巻く環境に大きな変化が生じ、後継者の決定で苦慮してきた金総書記が正恩氏の後継を決め、その公式化を急いだというシナリオが浮上してくるのだ。
このシナリオならば、カーター氏はもちろん、温首相、そして金総書記に対し、「うそ発言」といって批判できなくなる。3者ともその発言段階で「事実」を述べていたことになるからだ。
それでは、「なぜ、金正日総書記は後継決定を突然、急いだのか」という新たな問題が浮上してくる。換言すれば、「金総書記に後継決定を急がした何かが生じた」と推測できるわけだ。
その「何か」とは、政変か、総書記の健康問題か、それとも金ファミリーの内紛か、さまざまなシナリオが考えられる。
そういえば、44年ぶりに開催された党中央代表者会の日程がなかなか決まらず、一旦、平壌に上京した地方の党代表者が帰郷せざるを得なかったなど、当時、平壌周辺はゴタゴタしていたっけ。