「今年は教会脱会者がナチス時代以来、最高となるかもしれない」
オーストリアのローマ・カトリック教会最高指導者、シェーンボルン枢機卿はインスブルックのチロル新聞とのインタビュー(18日付)でこのように懸念を表明した。同枢機卿によれば、今年末までに8万人の教会脱会者が出るかもしれないという。
教会脱会者数の過去3年間の動向を振り返ると、2007年度は3万6858人、08年4万0596人、そして昨年度は5万3216人だった。それが今年は8万人を超える可能性が現実化してきたというのだ。ちなみに、ナチス時代、20万人の信者が脱会した記録がある。
教会脱会者の急増の主因は聖職者の未成年者への性的虐待事件の発覚、それに伴う教会の権威失墜が考えられる。
オーストリアのローマ・カトリック教会は1995年、教会最高指導者グロア枢機卿が教え子に性的虐待を犯したことが発覚して以来、その信者数は毎年、減少してきた。その上、今年に入り、聖職者の未成年者への性的犯罪が明らかになり、信者数の減少は記録的となると予想されてきた。シェーンボルン枢機卿の発言はそれを裏付けることになったわけだ。
教会が設置した「聖職者の性的犯罪の犠牲者保護弁護士会」(ヴァルトラウド・クラスニック元州知事)によると、これまでに1142人が聖職者によって性的虐待を受けたと報告してきた。一方、性的犯罪で法的処罰を受けた聖職者は全体の4%に過ぎななかったという。教会側が過去、聖職者の性犯罪を意図的に隠蔽してきたことも明らかになったわけだ。
シェーンボルン枢機卿はインタビューの中で「教会は聖職者の性犯罪問題で多くのことを学んだ」と述べ、教会の刷新に意欲を示しているが、教会を取り巻く環境は厳しい。
教会員を失えば、教会の収入が減り、経営が厳しくなることはいうまでもない。例えば、今年約4400人の信者を失ったザルツブルク教区の来年度予算は前年度比で5%減だ。一方、聖職者不足とその高齢化は教会の牧会活動にも支障が出てきた。教区に牧会できる聖職者がいない地域もある。
世俗化が加速し、価値の相対化が広まってきている現代社会に対し、教会が神の世界を堂々と主張できれば良いが、教会自体が聖職者の性犯罪問題を抱えている状況下では、信者が教会から背を向けるのは当然の結果だ。
オーストリアのローマ・カトリック教会最高指導者、シェーンボルン枢機卿はインスブルックのチロル新聞とのインタビュー(18日付)でこのように懸念を表明した。同枢機卿によれば、今年末までに8万人の教会脱会者が出るかもしれないという。
教会脱会者数の過去3年間の動向を振り返ると、2007年度は3万6858人、08年4万0596人、そして昨年度は5万3216人だった。それが今年は8万人を超える可能性が現実化してきたというのだ。ちなみに、ナチス時代、20万人の信者が脱会した記録がある。
教会脱会者の急増の主因は聖職者の未成年者への性的虐待事件の発覚、それに伴う教会の権威失墜が考えられる。
オーストリアのローマ・カトリック教会は1995年、教会最高指導者グロア枢機卿が教え子に性的虐待を犯したことが発覚して以来、その信者数は毎年、減少してきた。その上、今年に入り、聖職者の未成年者への性的犯罪が明らかになり、信者数の減少は記録的となると予想されてきた。シェーンボルン枢機卿の発言はそれを裏付けることになったわけだ。
教会が設置した「聖職者の性的犯罪の犠牲者保護弁護士会」(ヴァルトラウド・クラスニック元州知事)によると、これまでに1142人が聖職者によって性的虐待を受けたと報告してきた。一方、性的犯罪で法的処罰を受けた聖職者は全体の4%に過ぎななかったという。教会側が過去、聖職者の性犯罪を意図的に隠蔽してきたことも明らかになったわけだ。
シェーンボルン枢機卿はインタビューの中で「教会は聖職者の性犯罪問題で多くのことを学んだ」と述べ、教会の刷新に意欲を示しているが、教会を取り巻く環境は厳しい。
教会員を失えば、教会の収入が減り、経営が厳しくなることはいうまでもない。例えば、今年約4400人の信者を失ったザルツブルク教区の来年度予算は前年度比で5%減だ。一方、聖職者不足とその高齢化は教会の牧会活動にも支障が出てきた。教区に牧会できる聖職者がいない地域もある。
世俗化が加速し、価値の相対化が広まってきている現代社会に対し、教会が神の世界を堂々と主張できれば良いが、教会自体が聖職者の性犯罪問題を抱えている状況下では、信者が教会から背を向けるのは当然の結果だ。