「欧州では統一したテロ警戒システムを確立する必要はない。なぜならば、欧州諸国の治安状況は国によって大きく違うからだ」
ルクセンブルクで今月7日に開催された欧米治安担当相会議でドイツのトーマス・デメジエール内相はこのように主張し、「わが国にテロが差し迫っているとの情報を入手していない」と述べ、米国のテロ警告を「ワシントンの警告主義」「パニック・メーカー」と批判している。
それに先立ち、米英両国は拘束中のドイツのイスラム過激派からの情報として、英国、フランス、ドイツでテロが発生する危険が高まっているとして、国民に欧州旅行を注意している。
記憶力のいい読者ならば、昨年も同じ頃、同じようなテロ警戒の警告が米国から通達されたことがあった、と思い出すだろう。当時は、ドイツでは連邦議会選挙(2009年9月27日)を控え、テロの危険は現実的に高いと受け取られていた。具体的には、国境警備が強化され、全ての空港、主要鉄道駅で警備が強められた、警察官は防弾チョッキを着用し、機関銃で武装したほどだ。
しかし、シュタインマイヤー外相(当時)は、米国政府が同月23日、テロの危険性が高いとしてドイツ旅行を控えるように国民に呼びかけた時、「旅行制限する理由を見出せない」と、米国政府のテロ警告を退けたほどだ。
米紙ワシントン・ポストは10月4日、「民主党は過去、ブッシュ政権が頻繁にテロ警告を発す、国民の間に不安を拡大させ、政情を有利の操作してきた、と批判してきた」と指摘する一方、11月2日に中間選挙を控えたオバマ政権が今度は同じようにテロ警告を発し、世論操作している可能性がある、と示唆する記事を掲載している。
中東テロ専門家のアミア・バヤティ氏も「どの国でも与党政権は国民にテロの危険を警告することで何らかの得点を稼ごうとする。米国の場合も例外ではないだろう」と冷静に判断している。
例えば、欧米間では「テロ警戒システム」が異なる。赤(高度の危険)、オレンジ(高い)黄(高まっている)などカラーコードで危険度を表示する米国に対し、英国では低い、中程度、高いなど、かなり高い、といった5段階のコートで示す。ドイツの場合、「カラーコード」も「数字コード」も導入していない、といった具合だ。
しかし、テロ問題は、欧米間の立場の相違とか、「テロ警戒システム」の相違といって済ませられるテーマではない。テロが起きれば、多くの国民が犠牲となる。欧米間の緊密な協調がどうしても重要だ。
テロ関連情報は基本的には各国の情報機関が入手したものだ。それだけに、情報を開示し、他国と交換することは容易ではないが、テロ対策上、不可欠だ。
ルクセンブルクで今月7日に開催された欧米治安担当相会議でドイツのトーマス・デメジエール内相はこのように主張し、「わが国にテロが差し迫っているとの情報を入手していない」と述べ、米国のテロ警告を「ワシントンの警告主義」「パニック・メーカー」と批判している。
それに先立ち、米英両国は拘束中のドイツのイスラム過激派からの情報として、英国、フランス、ドイツでテロが発生する危険が高まっているとして、国民に欧州旅行を注意している。
記憶力のいい読者ならば、昨年も同じ頃、同じようなテロ警戒の警告が米国から通達されたことがあった、と思い出すだろう。当時は、ドイツでは連邦議会選挙(2009年9月27日)を控え、テロの危険は現実的に高いと受け取られていた。具体的には、国境警備が強化され、全ての空港、主要鉄道駅で警備が強められた、警察官は防弾チョッキを着用し、機関銃で武装したほどだ。
しかし、シュタインマイヤー外相(当時)は、米国政府が同月23日、テロの危険性が高いとしてドイツ旅行を控えるように国民に呼びかけた時、「旅行制限する理由を見出せない」と、米国政府のテロ警告を退けたほどだ。
米紙ワシントン・ポストは10月4日、「民主党は過去、ブッシュ政権が頻繁にテロ警告を発す、国民の間に不安を拡大させ、政情を有利の操作してきた、と批判してきた」と指摘する一方、11月2日に中間選挙を控えたオバマ政権が今度は同じようにテロ警告を発し、世論操作している可能性がある、と示唆する記事を掲載している。
中東テロ専門家のアミア・バヤティ氏も「どの国でも与党政権は国民にテロの危険を警告することで何らかの得点を稼ごうとする。米国の場合も例外ではないだろう」と冷静に判断している。
例えば、欧米間では「テロ警戒システム」が異なる。赤(高度の危険)、オレンジ(高い)黄(高まっている)などカラーコードで危険度を表示する米国に対し、英国では低い、中程度、高いなど、かなり高い、といった5段階のコートで示す。ドイツの場合、「カラーコード」も「数字コード」も導入していない、といった具合だ。
しかし、テロ問題は、欧米間の立場の相違とか、「テロ警戒システム」の相違といって済ませられるテーマではない。テロが起きれば、多くの国民が犠牲となる。欧米間の緊密な協調がどうしても重要だ。
テロ関連情報は基本的には各国の情報機関が入手したものだ。それだけに、情報を開示し、他国と交換することは容易ではないが、テロ対策上、不可欠だ。