朝鮮労働党代表者会が28日、平壌で開催され、金正日労働党総書記が党総書記に再推挙された一方、人民軍大将の称号を前日、父親から受けた後継者の3男・正銀氏は党中央軍事委員会副委員長並びに党中央委員会委員に任命された。これで、正銀氏の後継が初めて公式化した、と一般的には受け取られている。
党代表者会開催中、不祥事も起きず、計画通りに進展したことは金総書記にとって少なくとも幸いなことだったろう。
ところで、訪朝したが、金総書記と会見できずに帰国したカーター元米大統領は9月13日、カーター・センターのWebサイドで訪中(9月4日〜10)報告書を掲載し、その中で、「中国の温家宝首相は、金総書記が正銀氏の後継者問題について『西側の間違った噂』と否定した、と述べた」という衝撃的な情報を明らかにしている。
正銀氏の後継が明らかになった今日、カーター氏の発言などどうでもいいことだ、と諭されるかもしれない。しかし、ここは当方と少し付き合っていただきたい。
カーター氏が北京からもたらした情報は偽情報だったのか。考えられるシナリオを挙げる。(1)金総書記から冷たい扱いを受けたカーター氏流の仕返し、(2)中国の温家宝首相は米元大統領に故意にニセ情報を流した、(3)金総書記が中国首相らにウソをいった―等の3つの可能性がある。
党代表者会の開催前に、知人の北朝鮮外交官にカーター氏の情報の真偽を聞いた。知人は「君、中国の首相が米元大統領に意図的に偽情報を流したとは考えられない。外交上、大問題となるよ。発言内容をシリアスに受け取るべきだろう」という。
これはカーター氏にも当てはまることだ。中国首相の発言といって、語ってもいない内容を自身のHPに掲載すれば、大きな問題だ。その意味で、(1)と(2)のシナリオは脱落だ。
最後のシナリオは金総書記の「ウソ」発言だ。核問題を想起するまでもなく、金総書記は過去、数多くのウソ情報を流してきた。「ウソ」発言の可能性は、中国首相、カーター氏より数段、大きい。しかし、ウソ発言の前科者とはいえ、金総書記が訪中時に中国首相らにウソをつくだろうか。後日、「ウソ」と分れば、中国側は激怒するだろうし、金総書記も将来、中国首相ら首脳と顔を合わせられなくなる。
このようにみていくと、上述した3つのシナリオはいずれも非現実的だといわざるを得ない。
意図的に書かなかったが、もう一つのシナリオがあるのだ。それは金総書記の発言内容が正しい場合だ。
「しかし、金正銀氏が人民軍大将の称号を得、党中央軍事委員会副委員長並びに党中央委員会委員に任命された。正銀氏の後継は公式化されたばかりだ」といった反論が当然出てくるだろう。
そこで冷静になる必要がある。韓国統一省は29日の段階で「正銀氏が後継者として公式化された」との判断を保留している。慎重なメディアの中には「初期の公式化」といった見出しを付けている。なぜだろうか。
金総書記の実妹、敬姫も受け取った人民軍大将の称号は後継者の公式化の裏付けとはならない。新設された党中央軍事委副委員長もその権限はまったく不明だ。党中央委員会メンバーは後継候補者でない人物も入っている。正銀氏が後継者となったことが公式化された、と断定するのには、その内容はちょっと物足りないのだ。韓国統一省が「公式化された」と断言しない理由もここら辺りにあるのではないか。
残念ながら、金総書記が語った「西側の間違った噂」という発言内容の真偽を判定するには、党代表者会が終わったばかりの現時点では時期尚早かもしれない。
なお、サプライズがあるとすれば、金総書記の発言が“正しかった時”だ。
党代表者会開催中、不祥事も起きず、計画通りに進展したことは金総書記にとって少なくとも幸いなことだったろう。
ところで、訪朝したが、金総書記と会見できずに帰国したカーター元米大統領は9月13日、カーター・センターのWebサイドで訪中(9月4日〜10)報告書を掲載し、その中で、「中国の温家宝首相は、金総書記が正銀氏の後継者問題について『西側の間違った噂』と否定した、と述べた」という衝撃的な情報を明らかにしている。
正銀氏の後継が明らかになった今日、カーター氏の発言などどうでもいいことだ、と諭されるかもしれない。しかし、ここは当方と少し付き合っていただきたい。
カーター氏が北京からもたらした情報は偽情報だったのか。考えられるシナリオを挙げる。(1)金総書記から冷たい扱いを受けたカーター氏流の仕返し、(2)中国の温家宝首相は米元大統領に故意にニセ情報を流した、(3)金総書記が中国首相らにウソをいった―等の3つの可能性がある。
党代表者会の開催前に、知人の北朝鮮外交官にカーター氏の情報の真偽を聞いた。知人は「君、中国の首相が米元大統領に意図的に偽情報を流したとは考えられない。外交上、大問題となるよ。発言内容をシリアスに受け取るべきだろう」という。
これはカーター氏にも当てはまることだ。中国首相の発言といって、語ってもいない内容を自身のHPに掲載すれば、大きな問題だ。その意味で、(1)と(2)のシナリオは脱落だ。
最後のシナリオは金総書記の「ウソ」発言だ。核問題を想起するまでもなく、金総書記は過去、数多くのウソ情報を流してきた。「ウソ」発言の可能性は、中国首相、カーター氏より数段、大きい。しかし、ウソ発言の前科者とはいえ、金総書記が訪中時に中国首相らにウソをつくだろうか。後日、「ウソ」と分れば、中国側は激怒するだろうし、金総書記も将来、中国首相ら首脳と顔を合わせられなくなる。
このようにみていくと、上述した3つのシナリオはいずれも非現実的だといわざるを得ない。
意図的に書かなかったが、もう一つのシナリオがあるのだ。それは金総書記の発言内容が正しい場合だ。
「しかし、金正銀氏が人民軍大将の称号を得、党中央軍事委員会副委員長並びに党中央委員会委員に任命された。正銀氏の後継は公式化されたばかりだ」といった反論が当然出てくるだろう。
そこで冷静になる必要がある。韓国統一省は29日の段階で「正銀氏が後継者として公式化された」との判断を保留している。慎重なメディアの中には「初期の公式化」といった見出しを付けている。なぜだろうか。
金総書記の実妹、敬姫も受け取った人民軍大将の称号は後継者の公式化の裏付けとはならない。新設された党中央軍事委副委員長もその権限はまったく不明だ。党中央委員会メンバーは後継候補者でない人物も入っている。正銀氏が後継者となったことが公式化された、と断定するのには、その内容はちょっと物足りないのだ。韓国統一省が「公式化された」と断言しない理由もここら辺りにあるのではないか。
残念ながら、金総書記が語った「西側の間違った噂」という発言内容の真偽を判定するには、党代表者会が終わったばかりの現時点では時期尚早かもしれない。
なお、サプライズがあるとすれば、金総書記の発言が“正しかった時”だ。